軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔物達の力関係

森の中を進み、数日が経過した。現在俺は前にマオを抱え、タタを後ろに背負っている状態で動いている。あの紫髪さんと金髪さんの盗賊に出会った後から、何故か1人ではなく、2人を同時に運ぶ事がサローナ達の間で決まった。まぁいいんだけどさ、別に2人でも全然疲れないし、軽い軽い!!と最初は思っているのだが、今は非常に困っている。前に抱えている状態だけなら、せいぜいそれぞれ個別のいい香りが鼻腔をくすぐる程度だったのだが、後ろに背負っている方は、俺の両手が前で塞がれている以上、しがみついているような状態で……それはつまり、背中にもろに其々の柔らかいものを押し付けている胸の感触を感じる訳で、正直言って理性を保つのに必死だった。その事をカガネは敏感に察したようで、前に抱えた時に

「お兄ちゃん、何やらお尻に固いモノが当たってるような感触があるんだけど?」

と、嬉しそうににやにやしながら言われたのにはまいった。空気しか出ていない口笛を吹きながら咄嗟に顔を逸らし「気のせいじゃないか?」と言ったけど、この行動はむしろ肯定しているようなものだと後になって気付いた時には少し落ち込んだ。そして、このカガネの言葉と俺の行動で全てを察したサローナ達は後ろに背負った際に更に俺へと胸を押し付け、反応を見てくるようになる……勘弁して下さい……

そんな思いをしながら俺とサローナ達にフロイドはとうとう山へと突入する。この山の雲から下の中腹辺りは天候が入り乱れてるので、タタとナミニッサとカガネの3人による結界魔法で俺達の身を守りながら先へと進む。結界の張り方は朝昼と夜の2交代制で朝昼はタタとナミニッサ、夜はINT値が限界突破しているカガネが寝ながら結界を張るという技を披露した。まぁいざという時は俺が神格化して結界を張ろうと思っていたのだが、どうやら鍛えて強くなった3人にはその心配も杞憂だったようで、問題無く進む事が出来た。

結界の中は快適だったのだが、結界の外は草木も枯れるような日光が降り注いだり、極寒の嵐が巻き起こったり、極大の雨が降り注いだりと大変な光景だったのだが、それら全て3人の結界によって防がれて俺達に届く事は無かった。しかも、そんな天候など関係ないと言いた気に魔物達も俺達へと襲いかかってくるのだが、その全てがカガネの魔法によって倒されていく。どや?俺の妹は凄いだろ?と少し自慢したくなったけど、普通に自慢する相手が居なかったので、その思いはカガネを撫でまくる事で発散したのだが、その事に頬を膨らませたハオスイが手刀で真空波を生み出して魔物を斬り裂くという離れ技をしだした。どや?俺の嫁さんは凄いだろ?と以下略でハオスイの頭を撫でると、今度は全員が石を思いっきり投擲して的確に頭を潰したり、結界魔法を魔物の上部に生み出し押し潰したりと、我先にと魔物を追い求める獰猛なハンターのようになったので、一旦皆を落ち着かせて結局全員を撫でる事になった。強くなったね皆……魔物に関しては後々に素材を使いたいのでメアルの時空間魔法の中に収納しておく。その場に放置なんてしない。

そうして進んでいくある日、結界の外は普通の晴天のような状態だったので、遠くまで見る事が出来たのだが、俺は再びあいつらを見つけてしまった。

猫の魔物と魚の魔物である。

今回はその2体の魔物の他にもう1体魔物が居た。

爬虫類が進化して二足歩行になり、狂暴になったような風貌の恐竜のような魔物が、猫の魔物を追いかけ回していた。猫の魔物は恐竜の魔物から必死に逃げている。そしてその光景を林の木陰から魚の魔物が眺めていた。俺が足を止めてその様子を眺めていると、皆も足を止めどうしたのかと俺の周りに集まってきて、背中に背負っているマオが声を掛けてきた。

「夫殿、あの魔物達がどうかしたのか?」

「ん?あぁ、実はな」

俺はサローナ達に魚の魔物と猫の魔物との出会いから関係性を話すと、皆は「……で?」みたいな表情をした。いいんだいいんだ……理解されようとは思ってないから……だが、フロイドだけが俺の肩に手を置いて、うんうんと頷いて理解を示してくれる。おぉ、お前が味方でもちっとも嬉しくないが、心の中だけで感謝だけはしておこう。そのままサローナ達は俺に合わせてくれて、その様子を一緒に見ながらこの場で休憩を始めた。

そうして追いかけ回されている猫の魔物を見ていると、地面の出っ張りに足を捕られ、盛大にこけた。その隙を恐竜の魔物が逃す事は無く、大きく口を開いて猫の魔物を食べようと襲いかかった。

のだが、その瞬間を待っていたかのように、魚の魔物が木陰から出てきて空へと飛び上がり、そのまま空中でくるくる回りながら落ちていると思えば、もの凄い勢いで滑空し、足?ヒレ?で恐竜の魔物を蹴り飛ばした。

恐竜の魔物はその大きな巨体をズズゥンという音と共に地面へと倒れる。どうやら先程の一撃で昏倒したようだ。そして猫の魔物は信じてましたよ!!と言いたげな目を魚の魔物へと向ける。魚の魔物は華麗に着地して猫の魔物のその視線を悠然と受け止めていた。え?何これ?と思いながらその様子を見ていると、魚の魔物は口で猫の魔物の首辺りを加えて立たせると、恐竜の魔物の元へと向かう。恐竜の魔物は未だに気を失っているようだったのだが、魚の魔物はその手?ヒレ?で恐竜の魔物の頬の部分を何度も往復するようにビシビシと叩く。するとその痛みで恐竜の魔物は目を覚まし、自らの現状を理解したのか、即座に態勢を立て直すと再び襲いかかったのだが、魚の魔物の手?ヒレ?の一発の横殴りで吹っ飛ぶ。今度は手加減されたのか意識は残っているようだ。恐竜の魔物はその短い手を自らの殴られた頬に当てて魚の魔物の方を見ると、その魚の魔物が何か雄叫びのような声を張り上げて、おそらく言葉を投げかけているのか喋っているように見えた。

そして、魚の魔物が口を閉じると恐竜の魔物は魚の魔物に対して頭を垂れる。そのままその魔物3体は魚の魔物を筆頭にして近くにあった森の中へと消えていった……

一部始終を見ていた俺は思った。猫の魔物に意味はあったんだろうか……始めから魚の魔物がやっちゃえばよかったのでは?というか、あれはつまり恐竜の魔物を従えたって事でいいんだろうか……その辺りの事を考えている内に気付いた。

どうでもいいわぁ~……

本当に時間の無駄だったなと思う。サローナ達はのんびり話しながら休んでいた。サローナ達に声を掛けて、俺達は再び先を目指して歩き出した。

まぁまた魚の魔物達に会ったら問答無用でぶっ飛ばしておこう。というか頑張れ、猫の魔物よ。