軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

獣人さんとある集団が来た

この国もかなり復興してきた。俺達も尽力してきたが、やはり1番大きな手助けになったのはカガネの商会だろうか。何しろ、3カ月前まではほぼ壊滅的に物資が何もなかったような状態だったのだ。だが、カガネは自分の商会に指示を出し、グレイブ王とも相談してほぼ無償で様々な物資を調達してきたのだ。ほぼ無償でいいのか?と尋ねると、カガネは「まぁ、元々お金を稼いでいたのはお兄ちゃんを探すための費用みたいなものですし、それが達成された以上、もう稼ぐ必要性はそこまでないですね~!!それに、グレイブ王からは将来的にウチの商会を懇意にしてくれる約束を取り付けてますから。将来的には問題ありません!!」との事だった。とりあえず、それを聞いた俺はカガネの頭を優しく撫でておいた。ほんと、自慢の妹だよ。

「そこは自慢の嫁さんと言って欲しいなっ」

……心を読むのはやめて下さい。

そしてこの国の復興を手伝っていたある日、街の外に獣人の集団と何やら女性達ばかりの集団が現れたとの報告を受けた俺達は街の門へと向かう。そこにはデイズ、デイズの娘さん、ギドさんと数人の獣人達の他に、獣人の国の王・ギオ王様とその娘・マーラオが共に来ていた。

「お久し振りです、ギオ王様」

「お元気そうでなによりです、救世主殿」

その呼び名は恥ずかしいので名前で呼んで下さいと言っておいた。ハオスイとマーラオは久し振りの再会に喜んで手と手を取り合っている。俺もデイズとギオ王様と握手を交わすと後方に控えていた女性達の紹介をされた。え?なんで俺にそんな紹介するの?と思ったのだが、紹介されて納得した。その総勢50人近くの女性達は皆グレイブ王の奥さん達だったのだ。いや、正直驚いたね。皆綺麗な人ばかりというのもあるのだが、その多種多様な職種にだ。騎士や魔法使いの戦闘職はもちろん、商人や農家、メイド等の職の方も居た。話には聞いていたけど、いざ目の前にその人達が居ると正直びっくりである。そのまま一通り紹介されたのだが、一回じゃ覚えきれないです。ただ、ギオ王様から俺とグレイブ王との関係、この国を起こした事を教えられたと聞いて、至極感謝された。そして獣人達とグレイブ王の奥さん達も連れだって城へと案内する。その際、デイズの娘さんがやけに俺から距離を取っているのが気になった。俺何かしたかなぁ?

城へ案内している内に話を聞くと、どうやら同盟の話をきちんと締結するために王様自ら来たそうで、城へと案内しギオ王様をグレイブ王に会わせた後は、会談場所である城の一室から立ち去ろうとしたのだが、何故か両者から止められた。

「え~……両国間の話しだし、俺必要じゃないでしょ?」

「ワズ殿は我々2国をお救いされた英雄なのです。この同盟の証明・立会人としてワズ殿以外には任せられる者は居りませんよ」

「俺をこの立場にしたのはワズ坊だろ?なのに、自分だけ楽しようなんて許されると思ってんのか?」

それを言われると断れないなぁ。はぁ……

俺は観念して席につく。サローナ達はマーラオとデイズの娘さんを連れて街へ復興のお手伝いに行っている。といっても、会談の内容は特に問題は起こらず、全て順調に進んでいった。まぁ、問題が起こるなんて元から思ってなかったけど。そのまま会談は進み、交易や兵士達の合同訓練等、細かい部分も調整していった。

そして最後には両者が立ち上がり、固い握手を交わす。

「良き隣人になれそうですな」

「そりゃもう、なんたって俺の奥さん達の中には獣人も居ますからね。そいつらに恥ずかしくない夫でありたいですから」

「あっ、そう言えば、グレイブ王の奥さん達50人程がもうこの城の応接間に来てますよ」

俺が思い出したようにそう言った瞬間、グレイブ王の姿はこの部屋に無かった。まぁ、俺は目で追えたけど。どうやら、奥さん達に会いに向かったようだ。俺はそのあまりに素早い行動にグレイブ王の冒険者としての名前に「疾風迅雷」があった事を久々に思い出した。グレイブ王がいきなり居なくなって驚いているギオ王様に、苦笑いと共に奥さん達に会いに向かった事を伝え終わると、デイズが話しかけて来た。

「……少しいいか?ワズ殿」

「ん?どうかしたのか?」

デイズのなんというか苦笑い?というかどこか困ったような表情を見て、俺は何か問題でも起きたのだろうかと尋ねた。

「実はな……その……折り入って頼みたい事が……あってだな……」

俺は首を傾げた。なんだろう?歯切れが悪いな。本当に何か問題が起こったのだろうか?この辺りでドラゴンでも現れたのだろうか?それとも性悪な人族でも来たか?

「頼みたい事?なんでしょうか?」

「……うぅむ……」

何か言いづらい事なのだろうか。なかなか先を話さないデイズに事情を知っているのか、ギオ王様が「ほれ、頼まれただろう、しっかり伝えんか」と、デイズの背中を叩いて後押ししている。一体何なんだろうか?

「……わかった……」

デイズは何やら決意した表情を俺に向けると、深く頭を下げた。

「ワズ殿、どうか我が娘、マオリーンと戦っては貰えないだろうか?」

「……はっ?」

なんで俺がデイズの娘さんと戦わなければならないのだろうか?

「実は娘からどうしてもワズ殿と戦いたいと言われてな……どうだろうか?」

「……まぁ……命のやりとりが無い程度、訓練ぐらいでいいのなら……」

「それでいい……すまんな……」

俺が了承した事にデイズがほっと一息ついて、それならと、兵士の訓練用に作った場所があるのでそこでデイズの娘さんと戦う事になった。