軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

そんなに感謝されるような事したっけ?

俺達は整列させられ大きな扉の先にある謁見の間へと入った。入った途端、高らかなファンファーレと共に盛大な拍手が鳴り響く。謁見の間には100人程の獣人達が居り、皆がこちらに視線を送り、拍手をしていた。その中を俺達はマーラオと先程顔を見せた獣人さんの案内の元進んでいくのだが……

なんで俺1人だけ先頭なの?なんか俺が率いているみたいな集団に見えるんだけど。これどうしたらいいの?皆忘れてるかもしれないけど、俺Fランク冒険者だよ?最下層の冒険者なんだよ?なんでSランク冒険者のグレイブさんが後ろに居るの?こっちに来いよ!!なんで皆、さもこれが普通の当然の形ですみたいな表情で居るの?俺も下がっていいかな?しかし、下がろうとするとサローナ達が俺の動きを制して前に送ろうとする。てか、フロイドとグレイブさんはそんな俺を見て笑いを堪えてるよね?ほんといい性格してるよ……

目の前を歩いているマーラオ達が止まったので俺達もその場に止まる。するとマーラオ達はスッと脇に避けてると、開けた視界の先には王が座る席へと続く階段があり、そこからギオ王様とデイズ、そしてそれぞれの横には奥さんだろうか、綺麗な女性の獣人さんが並んで、こちらへと降りてきていた。そのまま俺の前まで降りてくるとギオ王様が跪いた。それに習うようにこの部屋に居る獣人達は全員次々と跪く。え?いやいや?え?何か声を掛けようとしたのだが、その前に向こうから言葉が紡がれた。

「この度は我々獣人達の凶行を止めて頂いた事、またその際に、こちらに居る我が弟のデイズの命含め、誰の命も奪わなかった事、その御心に誠に感謝致します」

「私も怒りを押さえる事が出来ず、危うく種族を絶滅に導くような大変な事を仕出かす所でした。救って頂きありがとうございました」

ギオ王様とデイズがそれぞれ感謝の言葉を送ってくるが、今の俺はそれどころではない。

「ちょっ!!と、とりあえず立って下さい。感謝しているのはわかりましたから!!」

俺がそう言うと獣人達は立ち上がった……え?なんか俺の言う通りに動いたように感じたんだけど、気のせいかなぁ……

「……なんか俺の一声で動いたように感じたんだけど、気のせいだよね?」

小声で後ろに居る皆に確認してみたんだけど、答えは前方のギオ王様から返ってきた。

「獣人族は強き者を尊ぶ傾向が強い種族なのです。先刻の戦いにおいてワズ殿はその圧倒的な強さを見せ、また誰の命も奪わないという慈悲の心を示されたのです。この国の獣人達は皆、ワズ殿を慕っているのですよ」

……ん~……ただ単に怒りを向けられる理由を知りたかったから、殺さなかっただけなんだけど……いや、まぁだからと言って殺したかった訳でもないけど……まぁいいや。そうなったのなら、もうそれでいいや。

「まぁ悪いのは南の国の人族ですから……」

俺がその事を言うと、苦虫を潰したような表情になった。ギオ王様もデイズも他の獣人達も怒りを押し殺しているような感じだ。とりあえず、デイズが元に戻ったというのは本当のようで安心した。

「それでなんですが、皆さんの無事もこの目で確認出来、自分にも目的地が出来たのでそろそろここから出ようと思っています」

「そうですか……それは寂しくなりますな……」

「まぁ、南の国は目的地への通り道上にありますので、攫われた獣人達を救おうと思っていますが……どうにか出来ればですが……」

俺の言葉にギオ王様だけでなく、隣に居るギオ王様の奥さん、デイズの奥さんまで涙を流す。

「もしそうして頂けるのなら、どれ程助けられる事か……正直なところ、南の国には抗議をずっと出しているのですが一切取り合ってもらえず……それで強硬派が独自に動き出して先刻の戦いになったしだいです。国としてはもう全面衝突か他国にすがるしかない現状でして……」

「……そうですか。なら、それをもう少しだけ待ってもらえませんか?まずは俺達が行って様子を見てきます。それでどうにか出来るのなら、そのまま救出しますから」

「……我々を降したワズ殿がそう言ってると言えば、殺気立つ者達も少しは待つと思いますが……本当によろしいのですか?」

「えぇ、それに皆もやる気ですから」

そう言って後ろに居る皆に顔を向けると、皆その通りだと頷く。

「……ワズ殿を疑う訳ではないですが、どうしてそこまでしてくれるのでしょうか?」

「ん~……特別理由がある訳ではないですし、ただ救いたいと思ったので救おうかなと……」

本当にただそう思っただけなので、自分の中にある救いたいと思っている気持ちを伝えるために、真剣な表情でギオ王様を見る。

しばしの互いの視線の交錯の後、ギオ王様が1つ息を吐く。

「……本当にただその気持ちだけで我々の仲間を救おうというのですね……まさにご立派な御方だ……さすが女神様の使いですな……」

……ん?今なんか不穏な言葉が聞こえたんだけど……

「えっと……今なんと?」

「え?ですからご立派と……」

「いえ、その後です」

「さすが女神様の使いですな、と」

……なんか女神様の使いって事になってる~!!そんなのになった覚えがありませんけど!!なんかそう言われる俺を見て、にやにやしている女神様の姿が想像出来てしまう!!

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ギルドカード内

「ハッ!!何か重要な言葉を聞き逃した気がする!!」

「はいはい、そんな事言ってごまかされませんよ」

「そうだそうだ!!今、止まったマス目の内容は“食料危機で信者半減”だろ」

「さっさと信者を半分にしなさい」

「本当なんだってば~~~!!!」

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なんか危機的状況を回避した気分になった。とりあえず、その言葉は今後言わないように後で念押ししておこう。

俺がうんうん唸っていると、デイズが話しかけてきた。

「その道程に私も加えてもらえないだろうか?」

「ん?えぇ、いいですよ」

今更1人や2人増えた所で問題はない。やっぱり娘が心配なんだろうし、居てもたってもいられないのは本当だろう。デイズを敵だったとは特に思っていない。結局はあの赤い玉が原因だったし、それを言ってしまえばハオスイだってそうだったのだから、そこを責めるつもりは毛頭ないからだ。それにいきなり人族の俺達が助けたとしても警戒されるかもしれないし、この国の獣人の誰かが居た方がスムーズに事が運ぶかもしれないしな。あっ、俺が勝手に決めちゃったけどいいのかな?皆にも確認すると「ワズ(さん、様、旦那様、坊)のお好きなように」と言われた。だから俺がリーダーか?と言いたい。ギオ王様からもよろしいのですか?と確認されたが、構わないと答えておいた。

その後は俺達と城の者達を交えての豪華な晩餐となった。街の方にも豪華なお食事が届けられているらしい。その中で、マーラオは未来の王妃となるべく色々お勉強しなければならないので、ここにそのまま残るとの事でハオスイとの一時の別れを惜しんでいた。ギオ王様の話によると、あの時俺達を裏切ったバーロさんは現在地下牢に自ら望んで入っているそうだ。まぁ、気持ちはわからんでもないし、結果的にこちらは誰も傷ついていないので、なるべく刑は軽めでお願いしますと頼んでおいた。

他にもここで一時の別れをする人達が居た。

猫の獣人さんはこの国が故郷だったらしく、戦争準備で色々ゴタゴタしていた国の再建を手伝いたいというので、ここでお別れとの事だ。今はタタと一緒にご飯を食べている。他にもユユナ、ルルナも目的を果たしたと言って、ここで国の再建を手伝うらしい。また会う約束を交わしておいた。

デイズの旅支度もあるため、俺達はこの城でもう1泊し、明日南の国に向かう事になった。