軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第31話 生きてますけど

ダンジョン『岩窟迷宮』。

僕は単身で、その最下層である地下20階にまでやってきていた。

悔い改めた(?)ゲインを牢獄に突き出した後、僕は再びこのダンジョンに挑戦。

そして一人で行けるところまで行ってみようと思って、どんどん下層に潜り続けていくと、気づいたら最下層まで辿り着いていたのである。

「〈火起こし〉」

「アアアアアアアアッ!?」

最下層に出現する蛇の魔物、エビルスネイクが炎に包まれて絶命する。

――〈味付け〉を習得しました。

「あっ、また習得できたね」

ここまで来る間にかなりの数の魔物を倒したことで、少し前に習得した〈加熱〉と合わせ、生活魔法も二つ覚えることができた。

そうしてやってきたのは、最奥にある特殊な部屋。

先日はイレギュラーのために地下14階で遭遇したけれど、今回はこの本来の場所で待ち構えていた。

「グモオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

「岩窟迷宮のボス、ストーンガーディアン……っ!」

厳つい咆哮を轟かせる牛頭人身の怪物に、僕は思わず圧倒されてしまう。

だけど、前回の遭遇でも倒すことができた相手だ。

問題なく討伐できるはず。

「〈火起こし〉」

「ッ!」

「あっ、躱された。さすがボスだね。でも、無駄だよ」

思いのほか俊敏な動きで火を避けたボスだったけれど、魔力操作の技術が向上した今、簡単に火を動かして追跡することができる。

一度回避したことで油断しているボスを、背後から火が襲う。

「ブモオオオオオオオオオオオオオオオッ!?」

身体を丸ごと包み込む火に焼かれ、ストーンガーディアンは前回と同様、黒焦げになって絶命したのだった。

岩窟迷宮をソロ攻略した僕は、冒険者ギルドに戻ってきた。

「小鬼の角を十本、集めてきました」

「ライルくん! 無事に戻ってきてくれてよかったわ。心配してたのよ?」

「そうなんですか?」

倒したゴブリンから切り取って持ち帰ってきた「小鬼の角」を窓口で提出し、レイラさんに確認してもらう。

「うん、間違いないわね。しかも随分サクッと倒しているわ」

「素材を見ただけでそんなことが分かるんですか?」

「ゴブリンが苦しんだ分だけ角が劣化するのよ。だけど、剣も使えない生活魔法使いのはずなのに、どうやって……」

首を傾げているレイラさんに、僕は今回のダンジョン攻略で入手した他の素材の買い取りもお願いすることにした。

〈火起こし〉で倒すと素材ごと燃えてしまうため、基本的には魔力弾で倒せた魔物の素材だけだ。

「実は他にも色んな魔物を倒して、素材を持って帰ってきたんです。買い取ってもらえそうなものがあるか、見ていただけますか?」

「もちろんいいわよ! 『岩窟迷宮』の上層なら、コボルトの毛皮とか、ファングラットの牙なんかは買い取り対象ね」

僕が取り出したのは、主に地下10階前後の中層あたりに出現する魔物の素材だ。

「って、これはホブゴブリンの角!? こっちはゴブリンナイトの武具!? リザードマンの鱗もあるわ!? ど、どれも岩窟迷宮の中層の魔物の素材じゃないの!? まさかライルくん、中層まで行ったんじゃないわよね!?」

「はい、行きました」

「何やってるのよ!? Eランク冒険者が中層にソロで挑んだら、確実に死ぬわよ!?」

「生きてますけど」

「た、確かに……って、そういう問題じゃないのよ!」

「あと、これもあります」

さらに僕は『岩窟迷宮』のボス、ストーンガーディアンの身体を構成していた岩の鎧を取り出した。

炎に燃えて中身は黒焦げになったけれど、外側は割と奇麗なままだったので持ち帰ってきたのである。

「こんなに重たいものをよく持って帰ってきたわね!?」

「例の〈小物収納〉のお陰です。それより、どうですかね? ボスの素材とはいえ、やっぱりただの岩に値はつかないですか?」

「そんなことないわ。ストーンガーディアンの岩鎧だったら、石材として重宝されるから決して小さくない値が――――って、ボスの素材いいいいいいいいいいいいいいいいっ!?」

レイラさんは絶叫した。

「ななな、何でそんなものを持ってるのよ!?」

「倒したので」

「倒した!? え!? ボスを!? ストーンガーディアンは、Cランク冒険者のパーティで討伐するような魔物なのよ!? というか、最下層まで潜っていたの!?」

どうやって一人で倒したのかを聞かれたので、〈火起こし〉を使っただけだと説明する。

「前からおかしいとは思っていたけど、あなたの生活魔法どうなってるのよ!? ストーンガーディアンを倒せる威力が出るなんて、完全に専門の魔法使いじゃない!」

「あはは、全然そこまでじゃないですよ。生活魔法にしては、ちょっと強力ってだけで」

エグゼール家の魔法使いたちからすれば、本当に生活魔法レベルの威力でしかない。

「その感覚は絶対におかしいわ!」

「そうですかね?」

驚かれたり怒られたりしつつも、ボスの素材はなんと金貨数枚もの価値が付いた。

前回倒したときは放置しちゃったけど、ちゃんと持ち帰ってくればよかったね。