軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

8章 エルフの里へ  08

翌朝、スフェーニア嬢の案内でこのマルロの里の冒険者ギルドへと向かった。

トルソンの町と同じくらいの小規模なギルドだが、早朝にもかかわらず冒険者も数組いてそれなりに活動しているようだ。FからDまで3つのダンジョンがあるというのは条件としては悪くないので当然かもしれない。なお地元だからか、エルフの冒険者が他に数名いるのが目を引いた。

「あらスフェーニア様おはようございます。パーティをお連れになっているのは珍しいですね」

カウンターにいた色っぽいエルフの受付嬢が声をかけてきた。どうもこの里の人は皆スフェーニア嬢を「様付け」するのだが、彼女も元は位の高い人間なのだろうか。

「おはようございますミーラン。こちらは薬師のホーフェナを護衛してくれたエウロンの町のパーティです。一週間ほどこちらで活動されるのでよろしくお願いします」

「かしこまりました。素材等の買取は私にお申し付けください、ええと……」

「Dランクのソウシと申します。よろしくお願いいたします」

「ソウシさんですね。よろしくお願いします」

スフェーニア嬢のおかげで職員とスムーズに顔つなぎができるのはありがたい。

さて問題の『奴隷狩り』の件だ。スフェーニア嬢の話によれば里長には詳しく話が通っているそうで、死体の処分はこちらでやって欲しいという話らしい。賊はモンスター同等とはいえ扱いがあまりに軽くて驚くばかりである。

「すみません、こちらの里に来る途中で賊に遭遇しまして、返り討ちにしてその死体を『アイテムボックス』に入れているのですが、どうしたらよいのでしょうか?」

俺がそう言うと、受付嬢のミーラン女史がスフェーニア嬢を見る。スフェーニア嬢は頷いて小声で答えた。

「私も共に戦いました。『奴隷狩り』のようですが、どうもメカリナンの手の者のようです。冒険者崩れも3人いました」

「それは……里長はどのように?」

「さすがに里で扱えるレベルではないので、エウロンの警備隊に届けるようには言われています。ただ死体が20体ほどあり、冒険者崩れのもの以外は処分をしたいのです。里長には許可はとってあります」

「それでしたらモンスターの焼却場をお使いください。少々お待ちを」

ミーラン女史はそう言うと奥の部屋へと行き、すぐに戻ってきた。

「ギルマスの許可もでました。こちらが許可証です」

「ありがとうございます。ソウシさん、他になにか用事はありますか?」

スフェーニア嬢が話をふってくれたので、ついでだから気になったことを聞くことにする。

「ところでつかぬことを伺いますが、この周辺でアンデッドモンスターが増えたというような情報はありませんか?」

「アンデッド、ですか? はい、目撃情報が一月ほど前から継続的にありますね。数は多くありませんが討伐依頼も出しています」

「そうですか……。ちなみに出現場所はどのあたりが多いのでしょう」

「町の西側の森の中での目撃が多いでしょうか」

西側と言えば俺たちが越えてきた峠のほうである。しかし一月前というのはいかにもな感じだな。今回の疫病騒ぎの時期と一致しそうだ。

俺が少し考えているとスフェーニア嬢が興味を持ったようだ。

「なにか気になることがあるのですか? アンデッド自体は時々は出現するものですが」

「ええまあ。来るときに出現したゾンビ犬にはちょっと嫌な記憶がありまして。それに死体が疫病を発生させることもありますので……」

「疫病とアンデッドに関係があるというのは分かりますが、こればかりは出現時に適切に処理をするしかありませんね。そこはこの里も気を配っているはずです」

「ええ、そうだとは思いますが……。実は以前ゾンビ犬については人為的に発生させるものを見たことがありまして、ちょっと引っかかっているんです」

俺の言葉にスフェーニア嬢は目を細めた。

「人為的? 誰かがアンデッドを発生させ、結果として疫病が発生したということですか?」

「その可能性もあるかと少しだけ思ったものですから。すみません、私の少ない経験から憶測しただけのなんの確証もないお話です」

正直なところどうも俺がこの里に来たこと自体『悪運』スキルが関わっている気がしなくもないのだが、それを今彼女に口にしても呆れられるだけだろう。パーティメンバーとして共に活動するようになれば分かってもらえるようになるかもしれないが。

「そうですか……。しかし過去にそのようなものを見たことがあるというのなら、この里の周辺にあってもおかしくはないのかもしれませんね。ミーラン、もしアンデッドに関して変わった情報があったら教えてください」

「分かりました。気を付けて見ておきますね」

受付嬢のミーラン女史がそう言ってくれたので、とりあえずはギルドとしても注意はしてくれるだろう。よそ者のたわごとへの対応としては十分以上である。

「ありがとうございます。とりあえず死体を処分したら私たちはダンジョンへ向かいたいと思います」

「今日はどちらへ行くのですか?」

「今日はFクラスですね。明日はEクラスへ行く予定です」

「わかりました。私はこの里のダンジョンはすべて最下層まで行ってしまっているのでご一緒しても意味はありませんね。ただDクラスに行く時は声をかけてください。そちらはご一緒いたします」

「わかりました。早ければ明後日にはDクラスへ行くと思います」

Dクラスダンジョンでこちらの実力を測るということか。スフェーニア嬢はCランクだし、さすがにE・Fクラスは潜ってもレベルアップの足しにもならないだろう。

焼却場まではスフェーニア嬢が案内してくれるとのことで、俺たちはひとまずそちらへと足を向けた。