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作品タイトル不明

24章 異界回廊 17

国王陛下一家との晩餐の翌日。

いよいよ国王陛下や宰相のジュリオス氏、その他関係の大臣などを交えて、『異界の門』設置についての会議を行うことになる。

といっても、『異界の門』について王国側ではすでに設置すると決定しているので、実際に話し合われたのは設置場所やそれにかかる費用、運用のついての事務的な内容であった。

特に問題となるのは運用面だが、

「当王国としては、『大いなる災い』に関して決着がつくまでは、冒険者と王家から許可を受けた人間のみが通行可能としたい。そこまでの段階で『異界回廊』の有用性を検証し、その後の運用は柔軟に考えようと思っている。他国との行き来については慎重に考えねばならぬが、国内の移動についてはむしろ積極的に使用する方向で考えている」

というのが国王陛下の言葉だった。

さらに俺から提言するまでもなく、

「なお『異界』及び『異界回廊』については、我が国はオクノ侯爵の領地であると認識をしている。その点も含みおかれたい」

という話もされた。

メカリナン国、オーズ国ではすでに俺の領地とするという事は言われているので、これで3国に認められたことになる。

領地とするということは相応の責任を背負うことになるので、俺としては素直に喜べないところもあるのだが、逆に得体の知れない『異界』など、今のところ俺以外が領有できないのも確かだろう。そもそも『異界』に行く手段も『ソールの導き』しか持っていないのだ。

なお、『異界』を開く費用についてだが、Aランク魔石1000個というのは国家予算を考えても簡単に用意できるものではない。そこで費用は基本こちら持ちにする代わりに、『異界回廊』の通行料の徴収権を認めるという方向で調整した。

通行料の徴収権は領有権に付随すると考えられがちだが、実はそこまで簡単なものではないらしい。なお、もちろんこれについては『ソールの導き』のメンバーとも相談した結果である。

さて、そこで問題になるのはAランク魔石の在庫である。現在『異界の門』を二つ開くだけの魔石はあるが、どうやらヴァーミリアン国王陛下は、王都に1つ、そしてそれ以外にも2、3カ所は開きたい考えのようである。

しかもドロツィッテの話によると、アルデバロン帝国でも複数開いてほしいという話がすでに聞こえてきているらしい。

となると、Aランク魔石を大量に得ておく必要がある。結果として、

「陛下、ご相談があります。魔石を得るのに、『王家の礎』に入りたいと思います。以前いただいた褒賞を今回使わせていただくということでお願いいたします」

という話をすることになったが、これもメンバーと相談済みの話である。

「なるほど、それは理に適っているな。『ソールの導き』であれば、『大いなる災い』を前に、より強い武具を得ることもできようしな。もちろん入ってもらって構わぬ」

ということで、ずっと先延ばしになっていた『王家の礎』の本格攻略を行うことになった。

現在のところ地下25階までしか踏破されていないらしいので、どれだけ更新できるのか、その点も少し楽しみである。

やはり自分は貴族や政治などの世界より、こっちの方が性に合っているようだ。

ラーニ達と共に、気を抜かない範囲で楽しむとしよう。

翌日の朝、俺たち『ソールの導き』は、王城の地下にある『王家の礎』の入口前にいた。

そこは石造りの部屋で、奥に厳めしい鉄の扉があり、その先の階段を下りていくと、クラスレスダンジョン『王家の礎』へ入ることができる。

見送りには国王陛下と宰相のジュリオス氏、親衛騎士のガンドロワ氏、ハーシヴィル青年、メルドーザ女史が揃っていた。

準備運動を終え、俺が「ではそろそろ入りたいと思います」と言うと、ガンドロワ氏が鉄の扉を開いてくれる。

「オクノ侯爵らなら万一もないとは思うが、くれぐれも気を付けてゆかれよ」

という国王陛下の言葉に、

「ありがとうございます。5日を目途にして戻って参ります」

と答え、俺たちは扉の中へと入り、長い階段を降り始めた。

12人全員が階段をおり始めると、扉の向こうでガンドロワ氏の「ご武運を」という声が聞こえ、鉄の扉が閉じられた。

「あ~、やっとここにも入れるんだね。そういえば、帝国の『龍の揺り籠』とここと、両方入るってわたしたちくらいでしょ?」

階段を下りていく途中で、ラーニが後ろでそんなことを言った。

「それはどうなんだろう。マリシエール、知ってるか?」

「両方入った冒険者がいるというのは聞いたことがありませんわ。もしかしたら伝説の冒険者ミドガルトなら入っているかもしれませんが」

「冒険者ギルドでも把握はしてないね。ミドガルトの伝記には記述はなかったから、歴史上私たちが初めてになるんじゃないかな」

ドロツィッテがそう付け足すと、ラーニが嬉しそうに、

「わたしたちは多分もう伝説の冒険者扱いだと思うけど、これで新しい伝説が増えるわね! ドロツィッテ、なにか新しい称号とか作らない?」

「2つのクラスレスダンジョンに挑んだことへの称号かい? 『 彷徨する迷宮(ワンダリングダンジョン) 』踏破とあわせてなにか考えてもいいかもしれないね」

そういうのは自分たちでつけるものではないと思うのだが、メンバーたちが名前を考え始めたので、水を差すのもよくないと思ってやめておく。

さて、階段を下りきると、目の前には大理石のような石で作られた、いかにも上位のダンジョンといった雰囲気の通路が出現する。

それもそのはず、『王家の礎』はそもそもがAクラスダンジョンである。しかも階層を下りるに従って難度が上がっていくうえに、現在のところ何階層あるかわからないダンジョンなのである。

「では今日はとりあえず地下10階を目指すが、行けそうなら一気に15階まで行く。25階までは事前情報があるので問題はないと思うが、ボスに関しては複数出てくること、そして希少種が出てくることは常に念頭に置いておこう」

「はいソウシさま」

「オッケー。ザコ戦はソウシが出るとすぐ終わっちゃうから、ソウシは基本はフレイたちの守りに入ってね」

フレイとラーニの答えを聞き、俺は広めの通路へと足を踏み出した。

しばらく歩いて行くと、早速大剣を持った大鬼『オーガアデプト』が現れる。以前入った時は一度に3匹がせいぜいだったのだが、当然のように20匹以上の団体で現れる。

とはいっても、そうでなければAランク魔石1000個など集まらないのでこれでいい。

「『聖光』行きます!」

「『ロックジャベリン』!』

「『フレイムジャベリン』じゃ!」

「『レーザー』!』

「『エアカッター』」

「『血槍』」

いつもの通り、フレイニル、スフェーニア、シズナ、ドロツィッテ、ゲシューラ、ライラノーラの先制攻撃が炸裂して、10匹以上のオーガアデプトが一瞬で消え去る。

後はラーニ、マリアネ、カルマ、サクラヒメ、マリシエールが突撃していくと、ほぼそれだけで勝負は決してしまう。

もし残った奴がこちらに来たとしても、俺とシズナが召喚した『精霊』ミスリル巨人11体が待ち構えているという鉄壁の布陣である。

「う~ん、いつものことだけど戦いにすらならないね。アタシたちはちょっと強くなりすぎちまったかねえ」

カルマのぼやきももっともだが、まだ1階なのでこんなものだろう。逆にここで苦戦しているようではとても5日間など探索できない。

魔石やドロップ品は『精霊』が中心となって回収して、俺の『アイテムボックス』に入れてくれる。『精霊』は戦力としても重要だが、雑用を任せられるのも非常にありがたい。