軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16章 王都騒乱  18

「さて、最後に『彷徨する迷宮』についてだが、王家のもつ情報と、エルフの奥里からの情報をすり合わせた結果、次のようなことが判明している。ジュリオス」

「は」

後半の打ち合わせが始まると、国王陛下の指示を受けてジュリオス宰相が説明を始めた。

「はっきりと記録にある限りで、『彷徨する迷宮』が過去に見られたのは2度。一度目は今より400年ほど前で、この時は『邪龍』と言われる強力なモンスターが出現し多くの国が脅威にさらされていたそうです。その時に『彷徨する迷宮』が各地に現れ、そこを踏破した戦士たちは強力な力を得られたと言われております。なお、『邪龍』はその戦士たちによって討伐されています」

「我が国が建国される前の話ではあるが、おとぎ話としても伝えられている地方があるそうだ。続けてくれ」

「は。二度目は200年ほど前で、これは先ほども教皇猊下からお話のあった、伝説の冒険者に関わる話となります。この時は大陸を覆うほどのモンスターが現れたと言われていますが、その災厄に先駆けて『彷徨する迷宮』が現れたそうです。もちろん 件(くだん) の冒険者は、そのいくつかを踏破しています」

「2件しか記録がないが、それだけを見るなら200年周期でこの大陸の大きな災厄が現れ、その前触れとして『彷徨する迷宮』が出現する、そのような形になるようだ。そして『彷徨する迷宮』は、人間に力をもたらす役割を持つ、そう考えていいと思われる。ソウシ殿たちは実際に2つ踏破しているわけだが、どう感じただろうか」

国王陛下に促されて俺はうなずいた。

「最下層にいるライラノーラという人物とも会話をしましたが、『彷徨する迷宮』が人間に力を与えるために存在しているのは間違いなさそうです。彼女はそれを『最古の摂理』だと言っていました」

「『最古の摂理』がどのようなものかも気になるところではあるが、もし『彷徨する迷宮』が力を与えることが確かなら、この後に災厄が訪れることも明らかと見るべきだろうな。もしそれが例の『黄昏の眷族』の侵攻、もしくは『悪魔』の出現を指しているのなら話は早いのだが……」

国王陛下に視線を向けられて、宰相が言葉を引き継ぐ。

「現状で問題になりそうなのは『黄昏の眷族』の侵攻、『悪魔』の出現、そして『冥府の燭台』の暗躍というところですが、実はそれ以外にも気になることがあります。ドワイト殿、そうですね?」

「ええ。ギルドの統計でも明らかですが、1年ほど前からじわじわと地上に出現するモンスターが増えています。今までは街道に出てくるモンスターは年間を通しても3~4体だったのですが、ここ1年は10倍になっています。また各地で上位ランクモンスター出現の報告もあります。現在未開地域への調査依頼を複数出して、新しいダンジョンの出現がないか等の調査をしていますが、今のところはこれといった報告はありません」

「原因不明のモンスター増加、教会でも聖女様が神託を得たとか?」

宰相閣下に促され、教皇猊下がうなずいて口を開いた。

「はい。聖女のもとに昨夜神託が下ったそうです。『近くこの大陸に魔物の王が降臨する』と」