軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15章 邂逅  04

翌日もダンジョン攻略である。

11~12階で出現するのは鋼鉄の表皮を持つ芋虫『スティールキャタピラー』。動きは遅いが接近すると頭部からいきなり槍のような触手を伸ばしてくる初見殺しのモンスターである。ただ強化されたフレイニルとスフェーニアの魔法が強力で、基本的には接近する前に勝負がついた。

13~14階は『アントレギオン』という、その名の通り大型蟻の大群が現れた。大きさこそ大型犬くらいだが、通常でも30匹は出現するもので、『ソールの導き』の場合はもちろんラーニの『疫病神』のおかげで100匹近く出てくる。

普通なら数に押されるところだが、前衛が俺とラーニ、そしてマリアネに加えてシズナの『精霊』岩人形2体がいるため余裕で対応ができる。特に『精霊』は身長が1メートル台後半にまで成長していて、しかも『剛力』『鋼体』の効果もあって相当に強い。大型蟻を次々と殴って粉砕する姿は頼もしい限りであった。

「戦闘より魔石と素材を拾うのがめんどくさい!」

というのはラーニの言である。

15階で出てくるのはトランプの素材になる殻を落とす『ジャイアントセンチピード』、つまり巨大ムカデだ。全長7~8メートルはあり、見た目は地球のそれよりも少し太い。見た瞬間フレイニルとシズナが悲鳴を上げていたがそれも仕方ない気持ち悪さである。

やっかいなのは硬い外皮と強力な毒を持つ牙で、噛まれれば『毒耐性』を持っていてもかなり苦しむらしい。とはいえ10数匹現れても接近前にフレイニル、スフェーニア、シズナの魔法攻撃で半分以上消えるので、あとは前衛組が何匹か倒せば終わりである。魔導師3人の火力は凄まじいものがある。

ボスは巨大サソリの『ブルータルスコーピオン』だ。本体だけで大型の自動車ほどもある巨体で、ハサミも尻尾もそして尻尾の先の針も相応にデカい。表皮も硬く動きも俊敏、毒針の一撃は高ランク冒険者でも致命傷となりうるという正統派のボスである。

「こんな恐ろしげなボスが2体も現れるんじゃから、『ソールの導き』の運のよさは驚きじゃのう」

というシズナの言葉通り2体出現したのだが、それを「運がよい」と言うあたり完全に彼女も染まってしまったようだ。

「右は俺がやる。左に集中攻撃してくれ」

と指示をすると左の『ブルータルスコーピオン』の本体に50本近くの火の槍が降り注ぐ。怯んだところをラーニが尻尾を斬り落とし、マリアネが翻弄しながら『麻痺』を付与すると、そこに魔法第二波が着弾して勝負がついた。

もちろん俺の方はハサミも尻尾もカウンターで粉砕し、とどめの一撃で頭を潰して終わりである。

「こちらもすでにCランクのボスなら余裕がありますが、ソウシさんを見ているとそれでもまだまだ足りない気がしますね」

苦笑い気味のスフェーニアに皆も同調する。フレイニルだけはうっとりした表情だが。

二つの宝箱はそれぞれ『鋼体+1』の指輪と『矢止め+1』のマントだった。

指輪は『精霊』の強化を考えてシズナが、マントについては今のところマントを着用しているのがスフェーニアだけなのでスフェーニアのものとした。なお『矢止め』スキルは遠距離攻撃の威力を弱める効果があるらしい。

そういえばこういうアクセサリーで誰がつけるかもめたことはなかったな。なぜ昨夜はお古の指輪が取り合いになったのか不思議だが、『俊敏+1』が汎用性の高いスキルだからだろうか。

続いて16~17階では白い狼の『ムーンウルフ』が再登場した。相変わらず『翻身』を使った動きが厄介だが、攻撃力自体はさほどでもないので、『誘引』でわざと俺に噛みつかせてメンバーに倒してもらった。もはや『ムーンウルフ』の牙は俺の身体に1ミリも食い込むことはない。

18~19階は蛇の尻尾を持つ巨大鶏の『コカトリス』が現れた。有名なモンスターだが、この世界の物はくちばしに石化毒があるタイプのようで、さすがに視線だけで石化させたりはしてこないようだ。

そう言えば『石化耐性』を持っていないな、と思ったのだが、マリアネ曰く、

「石化耐性はCクラスダンジョン以上で得られるスキルです」

とのことであった。ちなみにコカトリスの石化は毒扱いなので『毒耐性』でも一応は対応可能らしい。

ともあれ10羽以上は当然のように現れるのだが、物理属性なので問題はない。なおシズナの『精霊』については毒はまったく効かないので、毒持ちモンスターと正面から殴り合えてしまう。毒持ちは基本的にフィジカルはそこまで強くないので、『精霊』にとって相性のいい相手である。

いよいよ最下層の20階だが、Eクラスでボスだった『コボルトリーダー』が相手だった。犬の頭部をもつマッチョな人型モンスターで、『リーダー』と言う割に15体以上出てくる。それぞれが違う武器を持っていて、厄介なのは弓矢を使うタイプがいることだ。

とはいえ『誘引』で俺が引き付ければ無効化できるので、あとはいつも通りである。ラーニとマリアネがスピードで圧倒して首を落としまくっているのが見ごたえがあった。

ボスは大剣を携えた巨躯の鬼、『オーガアデプト』である。『王家の礎』でザコとしてでてきたモンスターだが、Cランクの冒険者にとっては単体でも強敵だろう。

「『疾駆』と『飛刃』、『軽業』持ちだ。身体強化系のスキルも強いぞ」

と一応アドバイスをしておく。ちなみに『飛刃』は斬撃を飛ばすスキルだ。

「ノーマルボスだしソウシだと一撃でしょ。ここは任せて」

とラーニが言うのでメンバーに任せることにする。

初撃の後衛3人による魔法は『疾駆』で回避されたが、その後のスフェーニアの矢とマリアネの鏢は腹に刺さった。

構わず『疾駆』で突っ込んでくる『オーガアデプト』、その前に2体の『精霊』が立ちはだかる。一体は唐竹割りにされてしまったが、その隙にラーニが斬りかかり、腕を一本落とすことに成功する。

片腕となった『オーガアデプト』は執念で大剣を振り回してラーニと切り結ぶが、その脇腹にさらに矢と 鏢(ひょう) が刺さり『行動停止』が発動。ミスリルソードが太い首を切り裂いて勝負は決した。

今回はフレイニルの『神の後光』をあまり使わなかったが、すでに『ソールの導き』はBランクパーティでもあるのでまったく危なげはない。

新規獲得スキルは俺が『石化耐性』、フレイニルがなんと『アイテムボックス』、ラーニが『剣加速』、スフェーニアが『水属性魔法・上級』、マリアネが『鋼幹』、シズナが『鉄壁』であった。

基本的にはすでに効果の分かっているものばかりで目新しさはないが、いずれも確実に地力を伸ばすスキルである。

その中ではフレイニルが『アイテムボックス』を得たのは面白い。今のところパーティの荷物を俺がほぼ一人で運んでいる状況だが、これはリスク分散を考えるといいこととは言えない。これからは回復アイテムや食料など、負担にならない範囲でフレイニルに持たせておくことにしよう。

ただそれに関してはマリアネが、

「1パーティに2人の『アイテムボックス』持ちがいるというのは非常に珍しいことです。知られるとやっかまれることもありますので、普段は秘密にしておいたほうがいいでしょう」

と注意をしてくれたので、フレイニルの『アイテムボックス』は人前では使わないことが決定する。

しかし『ソールの導き』は気を抜くとすぐに秘密が増える気がするな。『アイテムボックス』持ち複数人くらいなら大した話でもない気がするのだが、その感覚自体がおかしいという自覚はもっておかないといけないだろう。