軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アンリミテッド魔法学園~愛に限界はありません!~

三枚のモニターを並べ、キーボードとマウスを使い動画を編集している。

真ん中のメインモニターには、キャプチャーしたゲーム画面が映し出されていた。

明るい金髪にエメラルドグリーンのキラキラした瞳、房飾りの付いた詰め襟の騎士服を着た美少年のバストアップのイラストと、画面の下三分の一にテキストウィンドウが表示されている。

『心配しなくても良いよ。僕はきっと君と結ばれる。ほんの少しだけ、待っていてくれないか…

ログ 進む スキップ』

王太子ルート。

王太子は婚約者であるディアーナと書類上だけ結婚し、その日のうちに遠い辺境の地を治める40も年上の貴族へ後妻として下賜した。

婚約者との結婚も、辺境貴族への下賜も発表されなければ、誰も知らなければ無かったことになる。

主人公は王太子からプロポーズされ、結婚して幸せに暮らしましたとさ。

聖騎士ルート。

魔の森へと魔物退治に来た主人公と仲間たち。魔物を倒した証拠を持ち帰れば騎士見習いは聖騎士として認められる。そうしたら主人公にプロポーズするのだとやる気に満ちる見習い騎士。

一緒に来ていたディアーナが古の魔王の魂に乗っ取られてしまうが、主人公と騎士見習いが協力して魔王となったディアーナを倒す。ディアーナから出てきた魔石を持ち帰り、聖騎士となった少年は主人公へプロポーズする。

暗殺者ルート

ちょっと喧嘩した、廊下で肩がぶつかった、ダンス練習で足を踏まれた。そんなささやかな 危(・) 害(・) を主人公に加えた人たちを残らず暗殺していく。ライバル令嬢であるディアーナも、その他の攻略対象もすべて殺した後、血だまりの中で暗殺者は主人公にプロポーズする。

先輩公爵ルート

ディアーナの兄は妹のディアーナとは険悪な仲。妹と違い心優しい主人公に恋をし、身分違いで結婚できないのであればと自ら平民となり、主人公と結婚する。兄はその才能を遺憾なく発揮し、主人公の家を盛り立てて本当の家族の愛を手に入れる。

跡取りを失った公爵家はディアーナと王太子の婚約を白紙に戻し、縁戚の青年を婿にとる。しかし、その青年にはすでに内縁の妻があったため、ディアーナの結婚生活はひどいものであった。

年下後輩ルート

同級生魔導士ルート

教師ルート

隣国の第二王子ルート

どのルートでも、主人公が幸せになる影で、ライバル令嬢のディアーナが不幸になる。

各ルートをプレイして、クリアする度にディアーナは不幸になる。

最初のうちは「テンプレざまぁ乙www」と言っていられたが、不幸の内容がだんだんと陰険になっていく。

ゲームプレイ中は主人公キャラを操作して、主人公キャラとして振る舞う。

フラグ回収の邪魔をするディアーナが排除される様は爽快だった。

しかし、繰り返されるうちに「そこまでしなくてもいいのでは?」「そんな仕打ちをされるほどの事はしていないだろう」と心苦しくなってきた。

ディアーナを不幸にするのはいつだって攻略対象の美少年たちだった。

でも、間接的にディアーナを不幸にしてるのはいつだって 主人公(じぶん) だった。

ゲームプレイ動画を編集するために、繰り返し見なければならないディアーナの断末魔。

その後に笑顔で寄り添いあう 主人公(じぶん) と美少年。

「なんでだよ…なんでだよ…」

『男だけど、乙女ゲームやってみた』というネタで実況動画を上げて再生回数を稼ごうとしていた男は、モニターの前で、うつむいて拳を握りしめるばかりだった。