軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

23.反省点と新たな展開

戦闘を終えた俺とモモは、売り場の隅―――室内全体が見通せる場所に移動し、床に座る。

「疲れたぁー」

緊張の糸が切れたのか、一気に疲労感が押し寄せてくる。

レベルがいくら上がっても、この疲労感は慣れそうにないなー。

『疲労耐性』みたいなスキルって、ないもんかな。

ストレス耐性や、あおり耐性があるんだから、あってもおかしくないだろうに。

「わん!」

モモはおつかれさまーとでも言うように、俺の顔をペロペロと舐めてくる。

可愛い。 お礼に俺もモフモフと撫でてやる。

するとモモは嬉しそうに「くぅーん」と鳴いた。

なんてウィンウィンな関係。癒されるわー。

しばらくモモ撫でを堪能し、ようやく精神が落ち着いた。

モフモフって、止め時が難しいよね。

止めようとすると、「やめちゃうの?もうしないの?」ってこっちを見つめてくるあの視線が……もうね、堪らないの。

禁煙宣言して、結局は煙草を吸っちゃう人もきっとこんな気持ちなんだろうな。

ふう、やれやれだぜ。

頭が冷静になったので、今回の戦闘を省みてみる。

新しいスキルと、向上したステータスのいいテストになったが、まだまだ改善の余地は多そうだ。

モモとのコンビネーション然り、タバスコ球やアイテムボックス戦法然り。

でもタバスコ球みたいな小道具が、モンスター相手にも有効だって分かったのは大きな収穫だな。

ホームセンターやドラッグストアにも行ってみるのも良いかもしれない。

農薬とか化学薬品が手に入れば、もっと強力な効果を持つ物も生み出せるだろうし。

でも一番の問題は、『俺自身』だな。

正確に言えば、俺の身体。

劇的に向上した『敏捷』ステータスに、俺自身の感覚が追い付いていないように感じたのだ。

『自分の体に振り回されている』とでも表現すればいいのだろうか?

『肉体』と『精神』のズレ。

これは早いとこ慣れて、調整しないとな。

今回は何とかなったが、こういうズレは、その都度きちんと直していかないと命取りになる。

慢心駄目、絶対。

「さてと、次はポイントの割り振りだな」

いつも通り、SP20ポイント、JP10ポイント。

JPの方は、『暗殺者』と『狩人』をそれぞれLV3まで上げる。

そうすれば、獲得したスキルの方もレベルが上がるからな。

案の定、新しく獲得した九つのスキルは1ずつレベルが上がった。

だが、『密偵』の時に獲得したスキル。上位スキルに統合されたヤツを除く二つのスキルに関してはレベルが上がらなかった。

『職業』が変わったから、レベルアップするスキルも変わったと考えるべきだろうな。

SPの20ポイントは、アイテムボックスをLV9まで上げる。

俺の戦術の要だしな。

残りの3ポイントは、とりあえず温存しておこう。

手に入れた魔石は、全部モモに渡す。

「ほい、モモ」

「わん!」

モモは美味しそうにボリボリ食べた。

ちなみにホブ・ゴブリンが落としたのは、『ゴブリンの魔石(小)』と表示された。

普通のゴブリンで『極小』、ホブ・ゴブリンだと『小』になるのか。

ん?そう言えば、一番最初に轢き殺したシャドウ・ウルフの魔石も『小』って表示されてたな。

魔石の大きさが魔物の強さや格を現すなら、ホブ・ゴブリンとシャドウ・ウルフって同格って事になるのかな?

シャドウ・ウルフは戦ってないから何とも言えないけど。

まあ、その辺りはこれからモンスターと戦って、強さを比較していけば分かるかな。

情報が足りないなー。

ああ、それにしても『鑑定』が欲しいッ……!

その後は、店内にある物を物色し、アイテムボックスへ収納していく。

野菜や精肉など、結構ゴブリン達が食い散らかしていたらしく、まともに残っていた食料は、予想よりも少なかった。

「うーん、惣菜とか弁当物は……結構ギリギリかなー……」

半額シールも貼られてるし、この辺は放置するか。

別にそれほど食料に困ってるわけじゃないしな。

「んじゃ、そろそろ移動するか」

「わん!」

長居は無用だ。

あの追い出されたゴブリン達が戻ってくるかもしれないし、さっさと移動しよう。

あの程度の数なら待ち構えて狩るって手もあるが、ホブ・ゴブリンやそれ以上のモンスターを複数連れてくるって可能性もあるしな。

モモを影に忍ばせ、俺自身も『気配遮断』、『無音移動』を発動しながら生協を出る。

近くにドラッグストアがあるし、今度はそっちに行ってみるか。

食料だけじゃなく、医療品関係もそろえておきたいし。

モンスターを狩りつつ、生活必需品の蓄えを増やしていこう。

その為に、アイテムボックスのレベルも上げたんだし。

しかしそう考えると、やっぱショッピングモールに行けなかったのは痛いなー。

あそこなら大抵の物は全部そろったのに。

あのハイ・オークさえいなければ……。

多分だが、あのハイ・オークは、まだあそこに陣取っている。

俺の来た方向。

そっちには近づくなという『嫌な気配』をまだ感じるからだ。

だからこそ、こうやって反対方向へ進んできてるわけだしね。

「……ん?」

なんだ?

歩いていると、何か妙な音が聴こえた。

バタバタという音。これは……風切り音?

しかも上空から聞こえてくる。

まさか……!?

俺とモモは空を見上げた。

そこには一機の迷彩柄のヘリコプターが飛んでいた。

「あの柄……もしかして、自衛隊か……?」

救援に来たのか?

それともモンスターを倒しに?

どうして都心部よりもこんな郊外に?という疑問は湧くが、なんにせよ好都合だ。武装した自衛隊ならモンスターにだって後れを取る事はないだろう。

合流するべき……だよな。

でも、あのヘリ、どこに降りるのだろうか?

この辺りは都心部から離れた郊外だ。

この辺りの避難民が集まってそうで、尚且つヘリが安全に着陸できそうな場所と言えば―――。

そこまで考えて、思考が止まる。

「………大型ショッピングモールの駐車場」

俺の予想を裏付けるかのように、自衛隊のヘリは上空を横切り、その方向へと向かって行った。