軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

211.後処理と今後

その後、駆けつけた西野君たちの手伝いもあって再現されたモンスターは全て倒された。

キャンプ場の人達は突然現れた援軍に驚いた様子だったが、すぐに彼らが味方であると察したらしい。

戦いが終わった後、藤田さんや西野君が事情を説明し、彼らも俺たちの拠点へ移る事に決まった。

キャンプ場の人達は全員がモンスターを倒したスキル持ちだ。

彼らが仲間に加わってくれるのは、俺たちにとっても大歓迎だ。

戦闘系、生産系共に即戦力になってくれるだろう。

「な、なんだここ……? 自衛隊基地か?」

「今、一瞬で移動したわよね?」

「ここ、本当にモンスターが入って来ないのか?」

「とんでもないなこりゃ……」

俺たちの拠点――自衛隊基地に招かれたキャンプ場の人達は『安全地帯』の特異性や、中の施設の充実っぷりに驚いていた。

どうやらキャンプ場には『町づくり』のスキルを持つ者はいなかったらしい。

夜の間は交代制で見張りをしていたようだ。

これからは安心して眠れると、チャラ男君は言っていた。

そして彼らが新たに住民として加わったことで、市長の『町づくり』のレベルが上がった。

市役所の時のように、再び電気が使えるようになったのだ。

これで今まで使えなかった設備をまた使う事が出来る。

大変だったけど、それに見合う収穫はあったな。

(まあ、色々と問題は残ってるけど……)

特に揉めたのが相葉さんのスキルの暴走や、再現された人々の今後についてだ。

再現された人々は自分が死んだことを覚えていない。

もし仮に思い出せば、皐月さんのように己の死に際を再現し、再び死んでしまう可能性があるのだ。

(ちゃんと死なせてあげるべきだって意見も出たけどな……)

相葉さんのスキルを聞いた、市長や藤田さんらの反応は様々だった。

彼らはもう死んでいるのだから、もう眠らせてあげるべきだと言う意見も出た。

でも彼らは望んで死んだわけじゃない。

生きるチャンスが与えられたのなら、もう一度生きて貰おうと言う事で結論が出た。

(まあ、あんな光景見ればそう思うよな……)

涙を流しながら抱き合う五所川原さんとその家族。

その光景は、決して彼女達が偽りの命を与えられただけの存在ではないと証明するには十分だった。

俺としても彼女やお母さんがこのまま二度目の生を謳歌してくれることを願うばかりである。

せっかく再会できたんだ。

今度は一緒に生きて欲しいよな。

(しかし、なんで皐月さんは助かったんだ……?)

相葉さんの説明を聞いた限りじゃ、当時の死にざまが再現されれば、本来はそのまま死んでしまう可能性が高かった筈だ。

でも皐月さんは今も生きて、五所川原さんと一緒に居る。

彼女一人だけが『例外』なのか、それともスキルの暴走やリベルさんの『神威』の影響で、何か変化が起きたのか。

それはまだ不明のままだ。

その辺はリベルさんがこれから調べるらしい。

ちなみに相葉さんが異世界人である事、当初の目的なんかは伏せられた。

流石に全てを伝えれば、相葉さんを受け入れるなんて出来なかっただろうし。

全てを知っているのは、俺と一之瀬さん、そしてソラだけだ。

「ん? あれは西野君たちか……」

廊下を歩いていると、荷物の運搬をしている西野君たちの姿が見えた。

皐月さんも一緒だ。

「六花ちゃーん、こっち準備出来たよー」

「あ、さっちん、サンキュー。流石、仕事早いねー」

「新入りだし、いろいろ覚えたいんだよ。てか、さっちんって私の事?」

「うん、皐月だからさっちん。駄目?」

「そんな訳ないよ。むしろ、嬉しい」

既に皐月さんは西野君のグループと仲良くしている様だ。

てか、皐月さん高校生だったんだな。

妙に大人びてたからてっきりチャラ男君と同じ大学生かと思った。

ちなみにチャラ男君は清水チーフの下でびしばし働いている。

「悪いな、五所川原さん。来て早々、いろいろ手伝って貰って」

「そ、そんな事ないですよ、西野さん。手伝えることは何でも手伝います。あと、父も一緒ですし、私の事は皐月って呼んでください。敬語じゃなくてため口でいいですよ。同い年じゃないですか」

「そ、そうか……? じゃあ、よろしく頼むよ、皐月」

「ッ……! はい! 任せて下さいッ!」

西野君にそう言われて張り切る皐月さん。

うーん、青春っぽい一コマだなぁ。

運んでるのは銃とか武器とか大変物騒な物だけど。

というか、西野君を見つめる皐月さんの顔が妙に熱っぽいのは気のせいか?

……まあ、気にする事でもないか。

そのまま彼らの横を通り過ぎ、基地の入口へ向かう。

すると景色の一部が揺らめき、一之瀬さんが姿を現した。

「あ、クドウさん、お疲れ様です」

「お疲れ様です、一之瀬さん。お待たせしてすいません」

「いえいえ、私も今来たところです、はい」

ぺこりと頭を下げる一之瀬さんに釣られて、俺も頭を下げる。

「今回も一之瀬さんのおかげで助かりました」

「や、そんな事ないです。私はただ六花ちゃんにメールした後、みんなを連れてきただけです。戦いには参加できませんでしたし」

「いえ、そんな事ないですよ。あの状況ならあれが最適だったでしょうから」

野外では認識阻害は使えないし、あの開けた場所じゃ一之瀬さんの狙撃を活かせる場所も無かった。

影に潜んで、常に情報を仲間に発信し、援軍を連れてくるという一之瀬さんの行動は最適だったと思う。

それに暴れたいとごねるソラを必死に抑えてくれたのもありがたかった。

影の中でソラは常に『外に出たい!戦わせろ!』と喚いていたからな。

ぶっちゃけ出てこられたら間違いなく戦場が混乱していた。

『出番……我ノ出番ガ……』

戦いの後、ムスッとするソラを宥めるのには苦労したよ……。

最終的にはシロの『お母さん、カッコわるーい』の一言で立ち直ったけどね。

最初の頃の威厳メッキがどんどん剥がれてきているソラである。

「さて、そろそろ時間か。モモ、頼む」

「わんっ」

足元の影が広がり、俺たちは安全地帯の外へ出た。

影渡りで向かった先はキャンプ場だ。

あっちこっちモンスターとの戦闘でボロボロになっている。

ぬかるみや抉れた地面を避けつつ進むと、彼女達の姿が見えた。

向こうも俺たちに気付いたのか、軽く手を振ってくる。

「悪いわね、ここまで来てもらって」

「いえ、別に構いませんよ」

待っていたのはリベルさんと相葉さんだ。

リベルさんに促され、切り株で出来た椅子に座る。

「……相葉さん、調子はどうですか?」

「今のところは大丈夫です。体調もスキルも安定しています……」

そう返事をする相葉さんはどこか疲れた様子だった。

まあ、異世界人に切り捨てられ、スキルを暴走させ、仲間を危険な目に合わせてしまったのだからな。

精神的にはかなり辛いのだろう。

「あんな馬鹿共の口車に乗ったからよ。ホントに全く……」

「返す言葉もありませんね……」

相葉さんは今後、常にリベルさんの監視下に置かれるらしい。

スキルの暴走を抑えるためだ。

今の所、彼のスキルを制御できるのはリベルさんの『神威』だけだからな。

それも仕方ないだろう。

「おかげで今後の計画に大分支障が出るわ。全く厄介な枷を付けられたもんだわ」

「……」

リベルさん、もう少し抑えて。

ほら、相葉さんが今にも泣きそうな顔になってるから。

「そ、それで俺たちをここへ呼んだ理由はなんなんですか?」

話題を逸らそうと、俺はここへ来た理由を伺う。

わざわざ安全地帯の外へでて、しかも一之瀬さん以外誰も連れて来るなと言われたのだ。

何か重要な話があるのだろう。

「今後についての相談よ。さっきも言った通り、今後の計画について大幅に見直す必要が出てきたからね」

先程とは一転して、リベルさんは真面目な表情になる。

「カズト、ナツ、これから話す事はアナタ達二人の胸の内に留めておいて、少なくとも、今はまだね」

「ッ……! はい」

「……」

その雰囲気に、俺と一之瀬さんも表情を引き締める。

「良い眼ね。それじゃあ、二人とも良く聞いて」

リベルさんはすぅっと息を吸い、

「――『狼王』と『海王』をこちら側に引き込みたいの。手伝って貰えないかしら?」

……それなんて無理ゲー?