軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18.新たな可能性

モモと再び街の中を歩く。

昨日の雨の所為で、所々に水たまりが出来ている。

なんとなくそれを避けながら、狩れそうなモンスターを探す。

理想は単独のゴブリンかゾンビ。

二匹……いや、三匹までならモモの『影』とのコンボで、素早く仕留める事が出来る筈。

問題はそれ以外のモンスターが出てきた場合だ。

特にオーク。

昨日の戦闘を見るに、あのハイ・オークだけでなく、通常のオークの戦闘能力もかなり高い。

何か弱点でもあればいいんだけどな……。

よくファンタジーだったら、ゾンビは火に弱いとか、吸血鬼は聖水が駄目だとかそういう弱点があるけど、オークってそういう特徴的な弱点って無いよな。

強いて言うなら性欲が強いとか、女騎士の定番くらいしか思いつかないし。

まあ、出会ったら逃げるか、やり過ごすしかないだろう。

少なくとも、『今』はまだ。

「やっぱ死体が多いな……」

放置されたまま、そこらへんに野ざらしにされている。

片付ける人なんていないしな。

「そう言えば、政府や自衛隊って、今頃何やってるんだろうな……?」

こんな世界になってからもう丸二日だ。

各地で救援活動が行われてるとは思うが、テレビやネットが使えないこの状況では、それを確かめる術がない。

「というか、この状況で政府ってまともに機能してるのか……?」

前に見たシン◯ジラの映画なんかでは、特別対策室とかが設置されて、自衛隊とか、各関係者とかを動かしてたけど。

実際にああいう動きって、ちゃんと出来るのかね?

いや、俺の持つ政治家や官僚のイメージが偏ってるだけかもしれないけどさ。

そんな事やってられるか!俺は逃げるぞ!みたいな感じで、真っ先にシェルターとか安全地帯に逃げそうなイメージなんだよなぁ。

しかもそう言う時だけ、無駄に権力使ってさ。

映画の見過ぎでしょうか?

そもそもモンスターが現れたのって、日本だけなのか?

それとも世界中で?

なんとなく世界中で、モンスターがあふれている様な気がする。

「意外と発展途上国の方が生き残ってる人達多かったりしてな」

『安全』と『生き延びる』ってのは、全くの別物だ。

紛争地帯の人とかなら、むしろモンスターが出ても全く動じないんじゃないか?

「核とか使われないよな……」

国民もろとも、モンスターを殲滅するとか……。

その後のニュースで、「彼らは尊い犠牲になったのです。彼らの命を胸に刻んで私達は生きねばならないのです」みたいな報道されてさ。

うわぁー、考えただけで恐ろしい。

そして、実際にそれをやりそうな国があるから、尚怖い。

やっぱ、レベル上げと一緒に情報収集もすべきだよな。

でも、ネットやテレビは使えない。

そもそも電気が使えないって言うのがホント痛い。

水道やガスはまだ使えるけど、電気に関しては完全に停止してる。

この辺りの地域だけなのか、それとも他の所もそうなのか。

他の地域で電気が使えるようなら、そっちに向かうべきだな。

「改めて、文明のありがたさが分かるよなぁ……」

電気ってホント偉大だわ。

偉大だからこそ、それに依存してしまう。

この辺のオール電化の家とかなら、もう地獄だろうな。家を出るしかなくなる。

懐中電灯や目覚まし時計みたいな、電池で動くタイプの家電はまだ使えるけど、それにしたって使える家電はかなり限られるだろう。

「わん」

おっと。

考え事をしていたら、モモが吠える。

見れば、視界の隅にゴブリンが居た。

一匹だけ。

狙い目だな。

「よし、モモ。狩るぞ」

「わん!」

気づかれない様に接近し、シュッと刺して捻る。

危なげなく倒す事が出来たが、レベルは上がらなかった。

次のレベルアップまでは何匹狩ればいいのかね?

その後も街を歩き、ゾンビを三匹、ゴブリンを二匹狩った。

なんか、昨日に比べて遭遇率が少ないな……。

それに生きてる人にもあまり遭わない。

というのも―――

「意外と籠城してる人も多いんだな」

街中を歩いていると、アパートのベランダや家のまどからSOSの旗やタオルをぶら下げている人が多いのが目に付いた。籠城する構えなのだろう。

時間も経ってるし、『逃げる人』、『戦う人』、『動かない人』がはっきり分かれてきた気がするな。

「でもなぁ……」

ゾンビものなら、まだそれで救援が来るまでやり過ごせるかもしれない。

でも、今街にあふれているのは、人を積極的に狩るモンスターだ。

そんなやつらを相手に籠城してても、あんまし意味なくないか?

実際、俺が昨日外に出た時なんて、ゴブリン達は自分からアパートの部屋を探索してたんだし。

「ま、そう言う『職業』や『スキル』があるなら話は別だけど……」

例えば、俺の職業の候補にあった『引き籠り』とか。

ああいうのって、多分外に出るより家に籠る事で力を発揮するタイプの職業だ。

いや、そもそも『引き籠り』じゃないけどね。

俺は絶対選ばないけどね。

仮にモンスターを倒してレベルを上げたとして、そんな『ネタ職業』を選ぶバカが居るのだろうか?

流石に居るわけないか。

「まあ、基本スルーだよなぁ……」

あんな感じで救援待ってるだけの人に関わっても大してメリットなさそうだし。

下手すれば、お守までしなきゃいけなくなる。

この状況でそんなの流石に無理だ。

つーか面倒。

レベル持ちとの共闘とかならまだ考えるけど。

という訳で、俺は彼らの救援信号を見なかったことにして、先へ進んだ。

まあ、アレだ。

モンスターに襲われる前に、誰か『良い人』が現れる事を祈っていてくれ。

それからも俺とモモは狩れそうなモンスターを狩ってゆく。

そして、二匹でうろついていたゴブリンを倒した時、それは起こった。

≪経験値が一定に達しました≫

≪クドウ カズトのLVが5から6に上がりました≫

うっし。 レベルアップのアナウンスが頭に響く。

確認すると、これまで通りSPが20、JPが10入っていた。

JPの残高はこれで15。

さっそく『密偵』のレベルを10にする。

≪JPを10消費し、密偵のLVをあげますか?≫

当然イエスを選択する。

さあ……どうなる?

≪密偵のLVが上限に達しました≫

≪上位職及び派生職が選択可能です≫

≪第二職業が解放されました≫

≪上位職『暗殺者』が解放されました≫

≪上位職『工作員』が解放されました≫

≪上位職『盗賊』が解放されました≫

≪職業における一定条件を満たしました≫

≪派生職『密告者』が解放されました≫

≪派生職『狩人』が解放されました≫

≪派生職『火事場泥棒』が解放されました≫

≪派生職『獣使い』が解放されました≫

新たな可能性。

新しいステージ。

それが提示された。