軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

デラン

アルマークは、敵の一人が斬りかかってきた隙に、隊長格の男がウェンディの部屋に飛び込むのを見た。

斬擊をかわしざまに斬りかかってきた相手を斬り捨てる。

「どけぇ!!」

デランが叫びざま斧を叩きつけてくる。

それを紙一重でかわして反撃の一撃。デランが思わずたたらを踏むほどの強烈な威力だ。

アルマークは室内に目を走らせる。その目にウェンディが首を斬られる光景が飛び込んできた。

嫌な光景だ。自分で考えたこととはいえ、こんなことはしたくなかった。ウェンディ、ごめん。

そんな感情を振り切る。

「モーゲン、今だ!」

アルマークは叫んだ。

直前まであんなに震えていたモーゲンが、果敢に飛び出して見事に烈風の術を発動させた。

吹き飛ばされた隊長格の男が窓の外に消える。

「いいぞモーゲン!」

室内に声をかけ、デランに一撃。斧で受け止めるデランにもう一撃。もう一撃。もう一撃。

アルマークは凄まじい速さの斬擊を連続で叩きつける。先程より回転が段違いに上がっている。

デランはさっきまでは反撃に転じることが出来ていたが、今は二本の斧が両方とも防御にまわってしまっている。

「てめ……っ」

デランが顔を歪める。

こんな筈はない。

疲れて速度が遅くなるなら分かる。

だがこいつは速度がどんどん速くなる。

その上、一撃ごとの威力もどんどん重くなる。

何なんだ。こいつは一体何なんだ。

アルマークの斬擊が更に速くなる。

そんなバカな。

一本の剣を相手に、二本の斧の防御が追いつかなくなる。

肩が切り裂かれる。腹が切り裂かれる。

「かっ……」

デランが口から血を滴らせ、歯を食いしばる。

攻撃だ。攻撃をしなければ呑み込まれる。

「があっ」

絶叫をあげて二本の斧を振り上げたところを、アルマークの容赦のない長剣の一撃。

胸を深々と貫かれ、デランは斧を取り落とした。

「ガキが……この俺を……」

「戦士デラン。お前を殺したのは戦士アルマークだ」

アルマークが静かに言う。その言葉にデランは目を見開いた。

戦士デラン。

久しく呼ばれたことのなかった敬称に、心が疼いた。

そうか、俺は……。

デランは気づいた。

北にはもう戻りたくないと嘯きはしたが、結局俺は、戦士として死にたかったのだ。

この南の生ぬるい風に吹かれて、戦士としての自分が朽ちていくくらいなら、戦って死んだ方がいいと、心のどこかで思っていた。

ままならない傭兵生活だったが、最後に神はとんでもない戦士と巡り会わせてくれた。

まだ幼く、未完成だが、俺とのこの戦いもこいつの戦士としての糧になると思えば悪くはない。

「……礼を言うぜ、戦士アルマーク」

最後にそう言おうとしたが、果たして言えただろうか。

アルマークに届いたかどうか、それを確かめる術はデランにはない。

アルマークが長剣を引き抜く。

デランはゆっくりと倒れた。