軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

声の主

突然、3人の訪問を受けたノリシュは、顔を真っ赤にして何度も、恥ずかしい、を連発した。

「3人とも私のお喋り聞いちゃったの? もうほんとに恥ずかしい! 忘れて!」

「忘れられっか、こっちは夜も眠れなくなるほど悩んだんだ!」

とネルソン。

「勝手に聞いて勝手に悩まないでよ!」

「あんなとこで謎の声が聞こえてきたら、男だったら誰だって聞きに行かぁ! モーゲン以外はなぁ!」

無茶苦茶なことを言い出すネルソン。まぁまぁ、とアルマークとウェンディが間に入る。

「ノリシュ、風の魔法が得意なのは知ってたけど……」

ウェンディがネルソンを肩で押し退けて話し出す。

「まさか、風便りの術がもう使えるなんて……中等部で習う魔法でしょ? すごいよ」

「まだ練習中だから安定しないんだけどね」

ノリシュもウェンディに誉められて満更でもないようだ。

風便りの術は、遠く離れた相手に、風にのせて言葉を届ける魔法だ。時間はかかるが、優秀な術者なら海をも越えて肉声のメッセージを届けることができる。

と言うと、素晴らしく便利な魔法に聞こえるが、これは相手がいるであろう場所に対して風を送る魔法なので、もし風が届いたときにその相手がその場所にいなければ言葉は届かない。使い方が難しい魔法なのだ。

「で、なんで風便りの術でしょうもないお喋りを迷路にばらまいてたんだよ」

とネルソンがウェンディの横から顔を出して、またノリシュの気に障りそうなことを言う。

「しょうもないお喋りとは何よ!」

案の定、ノリシュがその言葉に引っ掛かる。

「とりあえず俺が庭園で聞いたのはしょうもないお喋りだったがなぁ!」

「やーめーなーさーい」

ウェンディがネルソンを再び押し戻す。

「でも、なんでボルーク卿の石像に風便りを?」

アルマークが二人の後ろから尋ねると、ノリシュは恥ずかしそうに顔を伏せる。

「別に……特に深い意味は……」

「嘘をつけぇ!」

「やーめーなーさーい」

「何か訳がありそうだね。別に話したくないならいいんだ」

アルマークは言った。

「でも、君の風便りを僕が聞いた感じでは……ノリシュ、君の話し方は……そうだな、僕は自分が会ったことないからよくわからないんだけど」

ウェンディがアルマークを振り返る。ネルソンも、こいつ何を言い出したんだ、という顔だ。

「君の声は優しくてとても親しげで……うん。まるで自分のおじいちゃんに話しかけてるみたいだったね」

アルマークの言葉に、ノリシュがはっと息を呑む。

その反応に、ネルソンが目を剥く。

「まさかノリシュ、お前……ボルーク卿の孫だったのか」

「ばか、違うわよ!」

ネルソンを一喝しておいて、ノリシュはアルマークに向き直る。

「さすがアルマークだね。なんでもお見通し」

「いや、ただの感想だよ」

「ねぇ、もう一回庭園に行く時間あるかな? 向こうで話そう」

ノリシュが不意に笑顔を見せた。