軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

北の傭兵

アルマークのノルク魔法学院入学は、二年遅れた。

中原、南方で戦乱の火が絶えて、早百余年。それと対照的に北方の戦乱は止む気配を見せなかった。

様々な国が興っては消え、多くの人民の命が無為に失われ、それでも北の民は決定的な強国を生み出せないまま四十五年の歳月を戦乱に費やした。

大陸中の血生臭い傭兵たちは自然、北に集まるようになった。

アルマークの父、レイズもまた、精強を誇る黒狼騎兵団の副団長として北方にあった。

アルマークが初めて学院長のヨーログと出会ったのは彼が五歳のときだ。

その時、フィラン王国とギル・バ王国との小競り合いに駆り出された黒狼騎兵団は両国の緩衝地帯を母隊を連れて行軍中だった。

北方に安全な行軍などあり得ない。その日も前方に砂塵を確認したレイズは自ら十騎の騎兵を連れて偵察に出た。

「母隊には近づけるなよ」

レイズは部下に指示して自ら先頭にたった。

相手はすぐに知れた。この辺りを根城にする野盗どもだった。その数は三十騎といったところか。

野盗はどうやら旅の老人を追っているところのようだった。

下らん連中だ、とレイズは呟いた。

ギル・バ正規軍がこの先に展開しているという情報も入っている。

野盗はさっさと蹴散らしてもう少し先まで足を延ばしてみよう。彼はそう決心して後ろの部下を振り返った。

「いくぞ」

その時彼は追われている旅の老人をどうこうしようとは全く思っていなかった。

彼が視野に入れていたのはあくまでも老人を追っている野盗であって、野盗に追われている老人ではなかったのだ。

レイズ以下の騎兵は野盗の側面から奇襲をかけた。

その黒狼の名に恥じぬ戦いぶりに三倍以上の人数の野盗は脆くも崩れた。

レイズが七人目を切ったところで戦闘は終わった。

「残りは逃げたか」

レイズは周りを見回しながら呟いた。野盗は夥しい死体を残して敗走していった。

そこで彼は初めて老人に意識を向けた。

老人はぜいぜいと荒い息をつきながら、どうも危ないところを、と途切れ途切れに礼を言った。

「災難だったな、じいさん」

レイズは言った。

「この辺りはじきに戦場になる。一人旅は危険だぜ」

それから野盗の死体を漁っている部下を振り返り、もうそのへんにしとけ、と怒鳴る。

集まってきた部下の数を数えて、ウェンナーがやられやがったな、と呟いた。

「もう少し先まで足を延ばす。ギル・バの正規軍が拝めりゃしめたもんだ」

そして全員が騎乗したところで、思い出したように老人を振り返り、

「ここでしばらく待ってれば俺達の母隊が来る。一人旅に懲りたならレイズって名前を出して馬車に入れてもらいな。なに、心配するこたあねえ。移動中の傭兵団だからな、女もいりゃあガキもいる。国境までなら一緒に行ってやれるぜ」

と一息で言った。

「よし、いくぞ」

レイズの掛け声で十騎の黒狼たちはいっせいに走り始めた。