軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

シュレディンガーの幼女ちゃん

どーも私です。

どんな因果か牢屋の中に白髪幼女が二人いるという状況に焦りが止まりません。……せめて母親の方だったらこんな事にならなかったんだけどね。

「うぐおおおお……なんだコレは!」

まぁ攫ってきたハリウッドメガネの方が混乱してるか……。

さて、なんでこんな事になったと思う?

たぶんね……コイツら白髪親子を記号で覚えて、呼んでいたからだろうね。なんつったけな……あ、そうそう『カイの巫女』だ。

親も娘もまとめて巫女とか言ってたらそうなるわ。よほどその巫女ってのが重要な存在なんだろうね。私と言う偽物が紛れ込むなんて事がなければ、問題なかったんだろうけどねぇ……。

しかし、この状況はどうする?

はっきり言って……かなりマズイ。なにがマズイって一目瞭然だね。二人いる白髪幼女のことだ。

しかも、脱出が難しくなった。流石に幼女ちゃんを連れて脱出なんて無理だよ。霧化の能力は一人用だ。

いや、ここは前向きに考えるべきだ。私が脱出する前で良かった。

うん、幼女ちゃん……少し痩せたよね? まぁ無理もない。あの年頃の子供が、親から引き離されて誘拐されてきたんだ。相当参ってるはずだ。

このまま一人で過ごさせるのはダメでしょ。

「潰れられたら面倒すぎるわ……」

しばらく唸っていたハリウッドメガネが、私を見て睨みつけた。そして鉄格子を叩くかのような勢いで掴み、顔を近づけてきた。

「キミはニセモノかい?」

そうで〜す! まぁそう来るよね。

でも馬鹿正直に答えることはしないよ。

まず私がしないといけないこと……それは幼女ちゃんと引き離されないこと。たぶんこのままだと白髪幼女は保たない。

そして、なんとか幼女ちゃんと誰にも聞かれない場所で会話したいところだ。

「本物ッスよぉ……」

「ッ!」

ニヤニヤと笑って答えてやると、コメカミに血管が走った。だよねぇ、怪しいのは断然私の方だもんね。

「……本当かい?」

おぉ、すごいすごい……。怒りを抑え込んだね。よほど大事なんだねぇ〜巫女って存在がさぁ。

ならさぁ……私にもやり方があるよ。

「あったり前じゃないッスかぁ。この姿に見覚えないんスかぁ? きひひひ」

「……ぐ」

おぉ怒ってる怒ってる。

お前の弱点て知ってる? それはね……私に目的を知られた事だよ。

「……私の名前を教えてくれるかな?」

「ど忘れしちゃいました」

「……なら、テレサのお父さんの名前は?」

「答える義務はないッスねぇ……」

「クッ!」

あははは、コイツ私をニセモノ確定したくて必死だよ。ようは私が自供しなければいいんだ。

ハリウッドメガネの目的は封印とやらを解く事だ。

そうコイツにとって、それはとてもとても大事な事なんだろう。

だからどんなに私が怪しかろうが、確たる証拠がない限り、巫女の可能性がある私を切り捨てることができない。

私と白髪幼女、どう見たって私の方がニセモノっぽいのに……私が白髪幼女だと言ってるんだ。

どんなに細い線でも、少しでも私が本物の可能性がある限りヤツの中で私が巫女なんだよ。

だから誘拐メガネは私を切り捨てられない。擬態を解いて中身を確認するまで、幼女ちゃんの可能性を捨てきれない。

ふはは、このシュレディンガーの幼女ちゃんに惑わされるがいいわ!

「ニセモノだよね?」

「いやだなぁ……あんなに封印を解くのに頑張ってるのに疑うんですかぁ?」

「……」

ハリウッドメガネは再び頭を抱えてしまった。

そうだよね。仮にも私はフリとはいえ、封印を解く作業を進めてるんだ。

「ッぅ……次からは二人で封印を解いてもらうよ……」

ハリウッドメガネは頭を抱えながら牢屋を出て行こうとする。ふ、勝ったな……。

そう、コイツにとってこれが一番の最善策。封印を解除するまで判断を保留する事だ。

「テレサ……新しいテレサAもこの部屋にいておくれ……」

「ッ! ……グス……グス……」

白髪幼女はハリウッドメガネに話しかけられて、怯えを見せながら牢屋の中に入ってきた。

ふむ……幼女ちゃんの反応としては怯えるのが正解なのか……。随分と怖がられてる見たいだけど、メガネはその反応に安心した表情を浮かべる。

そして自分の言った『新しい』という言葉に目眩を起こしているようだ。

よほどこの状況に参ってるらしいな。

懸念は部屋を分けられる事だったけど、一緒の牢屋に閉じ込めることにしてくれて助かった。もしかしたらこの牢屋に脱出させないための仕掛けがあるのかもしれないね。……私には関係ないけど。

「というか……先にいた私がAじゃないんだ……」

私はBってこと? ……どうやら疑いは濃いらしい。

――――――――――――――――――――――

「ようこそ〜幼女ちゃ〜ん」

「ぴぃ!」

あれ? なんか私も怖がられてる……。ハリウッドメガネがいなくなったから話しかけたんだけど。あぁそうか今の姿は白髪幼女だからね。

そういや、この姿は見せてなかったか……。

自分と同じ姿のヤツが話しかけてきたらビックリするよね。

「グス……グス……」

う〜ん、どうしよ。擬態を解くのが手っ取り早いんだけど、一度解いちゃうと二十四時間のインターバルがあるからねぇ。

いま擬態を解くのはマジでヤバい。一応首の皮一枚で繋がってるのは、白髪幼女の姿でいるからなんだ。

あ、そうだ……。

「幼女ちゃん幼女ちゃん、こっち見て〜」

「グス……」

猫撫で声で話しかけると、白髪幼女は恐る恐るコチラに視線を向けてきた。よしよしいいぞ。なかなか強い心を持ってるじゃないか。

「フレーム生成」

水槽フレームを壁に貼り付けてお魚を見せてやる。

「グス……お、オバケ姉ちゃん?」

「そそそ」

うん、少しは話を聞いてくれそうかな?

いったいなんでこんな事になってるのか聞き出さないとね。

聞き出すのに骨は折れそうだけど……頑張ろ。