軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

slit ースリットー 隙間に入り込む能力

「さて、まずはこの部屋をどうにかしよう」

ゲームをするにも環境が大事ってね。何もない真っ白な部屋では落ち着いてゲームもできない。

手始めに私が住んでいたマンションの部屋を再現。指パッチンで見慣れた自分の部屋に。住宅案内で会社の人にオススメされて押し切られた物件だ。

う〜ん、せっかく自由に模様替えできるんだから、もっといい部屋にするか? いやまぁとりあえずはコレでいいか。気分で変えたらいいでしょ。

お次は何のゲームをするか、検索してみようか。

テーブルに置いてあるノートパソコンを開こうとして……やめた。面倒臭え、モニターを空中に浮かべよ。

しかし、本当にこの世界は自分の思う通りだね。夢の中って考えたら当たり前なんだけど、現実感があるせいで違和感がすごい。

神様にでもなった気分だわ。

「……そういや私、神様の端くれみたいなもんだったわ」

モニターにゲームサイトを表示させると新作から旧作、オススメや特集がズラリと並ぶ。

「うーん、機種を問わずに、よりどりみどりだね。何のゲームにすべきか……」

ここ重要よ。実質、24時間しか居られないからね。あ、部屋の壁に残り時間表示させとこ。

脱出をメインにした能力が使えそうなゲーム、てのを考えながら探すぞ!

「コレとかいいんじゃない?」

探した。……一時間掛けて頑張って探したわ。途中迷走して普通に脱出ゲームを探したけど、脱出ゲームってなんか脱出ゲームというより、謎解きやクイズゲームが多いんだね……。イマイチ脱出の能力って解釈できなかった。

そもそもゲームが多過ぎて探すのが大変なのよ。

そこで脱出ゲームというジャンルをスッパリ諦めた。

そして見つけたゲームがこれだ。

『slitースリットー』

敵のアジトに潜入するステルスゲームだ。

有名なゲーム制作会社の作った、そこそこ売れたゲームらしい。

ステルスゲームってジャンル知ってる? 敵を倒すというより敵に見つからないように行動するジャンルのゲームの事だよ。私は知らなかったから検索した。

今の私の状況にピッタリだと思うわ。

このスリットというゲーム。ステルスゲームの中でも、ある特色を売りにしている。

slit―スリット―というタイトルの通り主人公が物の隙間に入り込めるのだ。何で入り込めるのかとかプレイしてみない事には分からないけど、その能力を使って敵の目から逃れる……らしい。

PVを見る限り、人間の質量を無視してヌルっとスキマに入り込み、敵が見ていない時にヌルっと飛び出してくる映像が流れていた。

いいじゃん。私、その能力欲しいです。

探すだけで少し疲れたけど、さっそくプレイだ。

指パッチンで一世代前の機種を呼び出す。コレがスリットのゲーム機種だ。まぁ要らないけどね。こういうのは気分よ。

オープニングムービーは……スキップせずに一回は見とこうか。私がどれだけゲームを楽しんだかによっても能力を作る時に有利になるし。イメージもそうだけど、私の感情が力になってるっぽい。

オープニングムービーは正直よく分からなかった。プレイしたら分かんのかな?

しばらく見てたら、プッシュボタンの表示が出たので進める。ニューゲームを選んで難易度の選択。イージー、ノーマル、ハードの三種類。まぁノーマルで。明るさを選んで、

さぁレッツプレイ!

「えー、只今プレイ時間二時間を記録しております」

ちょっと難易度高すぎない!? いま、やっとチュートリアル抜けたぐらいなんだけど!

これはアレだね私がゲームが下手くそなだけだわ。

本来はたぶんチュートリアルにニ時間も掛けるゲームじゃないと思うのよ。

ゲーム内容としては……面白い。ストーリーはある教会が運営している孤児院で育った主人公のお話だ。十八歳で孤児院を出て独り立ちをする前日に、教団の秘密を知ってしまって脱出する所までがチュートリアル。主人公は悪魔の力を教団から密かに植え付けられているから隙間に入り込める能力があるらしい。

ストーリーの先も気になるが、何より教団の人間の目を掻い潜ってヌルっと隙間に入り込むのが気持ちいい。

「面白い、面白いけど……ちょっと休憩っすわ」

流石にチュートリアルで六回死んだのには堪えた。十分ほどベッドでゴロゴロしてからゲームを再開。

慣れてきたのか一章、二章と何回か死にながらもクリアする。なんだ結構私もやれんじゃん。

三章に入って躓いた。なんか難易度が爆上がりしてんだけど。あんまりにも難しいから思わずオプションで難易度が間違ってないか確認したよね。もちろんノーマルだったよ……。

三章がクリアできない……。何回死んだかも数えてない。もう疲れたよ。えーい! 一旦休憩だ!

壁の残り時間をみたら残り16時間と表示されていた。

結構プレイしてたな……。何となく能力を作るための力も貯まってる感覚がある。

続きは後でだ。寝よ。

おはようございます。残り時間は10時間とちょっと、あんまり残り時間を気にしすぎてもしかたない。

続きやってこ。寝る前にさんざん煮湯を飲ませてくれた三章よ! 私は帰ってきた!

ただがむしゃらに死ぬこと3回目。死んだ後のローディング画面で『金属棒のアイテムを使用することで敵の誘導ができる』と表示されている事に気づいた。

はい、すみません。私、拾ったアイテムを活用してませんでした。

いや、違うんよ……。わたしね。リトライからの戻しが辛くて、ローディング画面を領域の力で無くしてたんだよ。だってレビューにロード時間が長いって書いてあったんだもん。このくらいいいでしょ! ロード時間を楽しめるほど私は達観してないっス!

一回寝た事で気分を切り替えるためにも、一回ロード画面を復活させたらコレだよ。まさか読ませるタイプのロード画面だったとはね。失敗失敗。

まぁ、はい。三章クリアできました。アイテムを使い始めたら思いの外サクサク進みました。というか私……もしかして縛りプレイしてた?

四章も難なくクリア。というか三章で死に過ぎたせいで私のスリットに対するプレイスキルが上がってる。

五章、なんか新要素出てきた。今まで、ひたすら目的地まで潜入するゲームだったのに対して、隙間を渡り歩き情報を収集。複数の場所で行動を起こす事により、同時に複数の敵を誘導する、というように力技ではなく頭も使うようになった。

いいじゃん……。飽きさせないねぇ。そしてその隙間を渡り歩く能力欲しいです。でもまだ隙間を渡り歩く能力は作れそうにないね。エネルギー不足だ。クリアまでしたら能力作れるかもしれんけど。

五章クリア! 新要素面白いけど時間かかるな……。

六章クリア。まぁ五章の難易度が上がったくらい。それよりもストーリーで元孤児院の友達ジャックが出てきてワクワク。裏切るなよ! なんか裏切りフラグ立ててるけど裏切るなよ!

そこで壁の残り時間が6時間になっていた。今回はこんなもんかな。続きは次にしよう。

さっそく私の三つまでセット出来る能力に『slitースリットー』をセット。

残りの時間をゴロゴロしてもいいけど、もういいかな……。ギリギリまで領域にいてもしかたがない。現実世界に戻ろう。

「領域解除!」

もう一つの私のお家。別名『牢屋』に帰還した。