軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

こんな小娘に何を怯えているんだ?

どーも私です。

コメットシティのプレイ時間が百時間を超えたよ〜。

「あっという間だったよ……」

本当にこのゲーム時間泥棒だわ。これだけやってもマップの解放率は3割程度。私がゲームが上手くないってのもあるだろうけど、まだまだ終わる気配がない。

しかもタチが悪いのが進めれば進めるほど、やりたい事が増えてくるんだよ。大型クエストなんて一つも手をつけてないし、無数にある下水道ダンジョンやフィールドに隠された猫缶集め。拠点購入の為の資金集めに新しい特殊アクションを手に入れる為の師弟クエスト。

「キリがないよ……」

それに比例するように増え続ける欲しい能力。

歩いているだけで気になる所に立ち寄っちゃうのは私だけじゃないはず。いや、ホントね。歩いてるだけでヒマしないのよこのゲーム。

そりゃあメインクエストもなかなか進まないよね。

ホント困ったゲームだよ!

…………はい。めちゃくちゃ楽しんでます。

「いや面白えのよ、このゲーム」

やる事が多いゲームじゃないんだ。やりたい事が多いゲームなんだよ。アレもやりたいコレもやりたい、次はアレをしたいって感じであっという間に百時間よ。

そしてめちゃくちゃゲームエネルギーも貯まってます。

まだ何の能力にも変換してないけど、相当な能力になるはずだ。予定ではコメットシティをセットするだけで複数の能力が発動出来るようにするつもり。

「まぁ、続きは次だね。最近はずっとコメットシティばっかりやってたよ」

――――――――――――――――――――――

「……チッ」

はい、現在いつも通り牢屋の中です。でも、鉄格子の向こう側がうるさいんだよね……。

「……よく分かんないけど落ち着いたらどうッスか?」

「わ、ワシは落ち着いておるわ!」

そすか……。それにしては葉巻と貧乏揺すりの回数が多いようですが。

「んでぇ? いったいどうしたんすか?」

ベッドに寝転がっていた体をゴロンと鉄格子の方へ倒して腕を枕に質問してやる。

ほれ答えてみ、聞いて欲しいんだろ?

豚貴族は狼狽したように視線を彷徨わせたが、しばらくすると観念したように語り出した。

「息子が……来るそうだ」

「息子さん? あーアンタの命を狙ってるっていう……」

何しに来んの? 「もう面倒くせぇから直接殺したろ」みたいな脳筋息子だったりする?

「ふん、話がしたいとか言っておったが、用が済んだらそのまま殺す気なのではないか?」

「……だいたい合ってたわ」

まさか息子本人が乗り込んでくるとはねぇ。

ま、私には関係ないわ。

「そりゃあ大変だ」

自分で聞いといて悪いが、さして興味も湧かないので体を崩して天井を見上げる。

「やはり、当主の指輪が目的か……」

考え事をしていた豚貴族がボソリと呟いた。

ん〜当主の指輪? 名前からして当主……つまり貴族の領主が持つべき指輪ってこと?

有りがちな話だけど、それを持つものが貴族の当主になれるとかね。

あれ? それってもしかして……。

「赤い指輪……」

「なに? 何故キサマがしっている?」

私の呟きに反応したね。

「知ってるも何も、見せたのはお貴族様でしょうがよ」

「ぬ? ……あぁ、そうだったな」

なんか捕まった最初のころニヤニヤ笑いながら見せつけてきた指輪があったんだよね。

「もしかして、「キサマの狙いはコレじゃろう」とかドヤ顔かましてました?」

「……一言一句あっとるわ」

あの時は言葉が分かんなかったけど、当主の指輪とやらが目的で忍び込んだと思われてたんだな。

まぁ違った訳だけど。

つまり豚貴族は息子が指輪を欲しがってると思ってるのか。ふ〜ん、やっぱり興味が湧かないなぁ。

「そういや軍人執事はどうしたんスか?」

今日は見掛けてないな。

こんな時ほど護衛であろう、あのオッサンの出番だろ。

「セドリックか……奴は急な出張で昨日から出かけておる」

「へぇ〜……急な出張ねぇ」

自分の表情が抜け落ちるのを感じる。

私はベッドに大の字で寝転がりながら視線だけをギョロリと豚貴族に向けた。

「……それって……どっちが先なんスか?」

「なに? ……どういう事だ?」

「…………」

「…………な、なんだその目は」

別に……見てるだけだろ。

「だからッスねぇ……息子さんの来訪と軍人執事の出張……決まったのはどっちが先だったんスか?」

「……なんだ小娘、セドリックを疑っているのか? はは、残念だがセドリックは裏切り者ではない事だけは確かだな」

「別にそこはどうでもいいっスね……それで、どっちが先だったんスか?」

「…………」

なんだよ……。そんなに難しいこと聞いたか?

どっちが先か聞いただけだろ?

「そ、その目を止めろ! なんだ! キサマは何が言いたい!」

どうしたんだよ……。そんな冷や汗かいて。

こんな小娘に何を怯えてやがる。

「……」

「……クッ!」

お、視線を逸らしたな……。私の勝ちだ。

「ふ、ふんッ! 気味の悪い小娘め!」

そういって豚貴族は尋問室から怒って出て行った。

私は視線を再び天井へと戻す。

ふむ……

「……そろそろ潮時かな?」

変な事に巻き込まれる前に、此処をおさらばするか。