軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人工ダンジョンの害獣 モグラ幼女

「流石に夜だから人はいないね……」

ツルツルの床をペタペタと歩く。

辺りは広くて、幼女二人がポツンとしていると違和感が強い。

広いフロアの真ん中に位置するエスカレーターまでやってきて、人差し指を上に向ける。

「上……登ってみる?」

「……うん」

一階部分は特に見る物がないというか、よく分からんオブジェがあったり幾つかの細い通路があるだけだ。私達の出てきた緩衝地帯に通じる道も似たようなもん。

面白くもねぇから上行きましょ。

止まったエスカレーターを階段のように登ろうとしたら、幼女ちゃんがエスカレーターの手摺りを触る。

「おっと」

ゴゥン……という音と共にグラリとエスカレーターが揺れて動き出した。あぁ、ちょっと長い階段だったから動かしてくれたのね。

そのまま、流れに任せて上の階に移動する。

「なんか無駄の多いフロアだねぇ……」

流れる景色を見ながらそう呟く。

いやまぁ人工ダンジョンって無駄に広そうだから、無駄な空間も多いってことなのかね? それにこの世界ってそんな場所多い気がするんだよね。

無駄にスケールデカいつーかさ。

「……」

ふむ……ところでさぁ幼女ちゃん、エスカレーター動かしたけどコレは動かせんだね?

不思議エネルギー全般を見境なく解除、もしくは操るキミだけど、何故かダンジョンは苦手な様子。

でも魔術施錠の掛かった扉やエスカレーターは操れる……と。

つーことはこれらはダンジョンのシステムじゃない?

もしくは力負けかな……。

……まぁ、聞くほど興味があるワケでもないし、聞いても分からなさそうだからいいんだけどね。

上の階に到着して周りを見渡す。

……テナントの入っていないショッピングモール? いや、幾つかテナント入ってるね。

「あれ、入ってみるッスか」

「……店?」

うーん、無人のコンビニって感じ。

店内に入ってみて最初に感じたのはソレ。

けど店内の商品棚には何も入っていなくて、何かの機械が並んでいるだけだ。

「うぅん? なんだココ。そもそも客なんて来んのかな?」

スタッフルームだろココ。スタッフ専門のコンビニとか言わんよな?

「……ここ、お店で合ってるよ。ただし店員のいない自動販売機の店」

「ほぅ」

なるほど、確かによく見たら並んでいる機械には商品のパッケージみたいなもんが書かれている。

そういや幼女ちゃんがどこかの自動販売機でジュース買ってきたことあったもんね。アレは休憩室とか言ってたかな?

「アレと同じようなもんか、よっしゃ試しになんか買ってみようぜ。幼女ちゃん、お金ちょうだい!」

「…………お金渡してもムダ。買ってやるからどれ欲しいか言え……」

「え、自動販売機じゃねぇの?」

「……うん、コレのね」

そう言って幼女ちゃんは腕に巻いたパイプ端末を見せてくる。

マジか……つまり自動販売機って現金使えなくて電子マネー専門ってこと? それじゃ私は買えねーわ! 持ってねぇもん!

ちなみにこのコンビニモドキで現金をパイプ端末に入れることも出来るらしい……ATMかな?

その後、お菓子を幾つか買って店を出る。

テクテクと歩いて二階フロアを歩いて回る。

ふむ、コンビニっぽい店の他にもテナント店はあるけど、だいたい分かったわ。人工ダンジョンスタッフ用のお店ってことね。

「他の店にも入ってみる?」

「……いやいい。金も少ない」

あぁ金ねぇ〜……この問題って付いて回るよね。

「最後に現金収入があったのって負け犬兄さんとダンジョン行ったきりだもんねぇ。それから使う事も少なかったけど、増える事はなかったし」

「……その負け犬も、今はもう……いない」

死んだみてぇな言い方やめようね。

生きてるから、……生きてるよな?

「そろそろお金の補充も急務だね」

「……むぅ。そぅいうけどねぇ」

幼女ちゃんは眉間を押さえて難しそうな顔をする。

そうねぇ……。ガキがお金稼ぐって割と無理やねん。

追い詰められて後のない負け犬という、一応の大人を利用する以外は中々難しいよね。

でも金はどーしても必要ってね。

今はメシが勝手に出てくるから問題ないけど、ココを出た後が大変よ。

ここいらで何かサクッと稼げりゃ良いんだけど……。

「……ん、こっち」

そんな世知辛いこと考えてたら、幼女ちゃんが私の袖を引いて誘導してくる。

お、なんだい? 袖引き幼女に転職でもしたかい?

幼女ちゃんは私を引っ張りながら若造マップを確認しながら歩く。そして白髪幼女に誘われた先にあったのは――。

「駅のホーム?」

「……ん〜、たぶん」

近代的な改札みたいなところが広がる地下鉄のホームっぽいところ。

でも駅のホームにあるのは列車じゃなくて、代わりに巨大なパチンコ玉のような球体が鎮座している。

ん〜、なんだろ……見た目的にはボーリング場の玉置き場みたいにならんでるけど……でけぇな。

「……オバケ姉ちゃん、コレ見て」

そういって幼女ちゃんは若造マップを広げて私に見せてくる。そして、幼女ちゃんが指を動かすと、若造マップに記されている線がひかり出す。

「……おそらくこの線が今わたし達のいるスタッフルームの通路」

「ほぉ〜ん? あれ、途切れてる?」

黄色に光る線は、グチャグチャの迷路のような線で書かれているが、それがここで途切れていた。そしてその線はどこにもつながっていない。

「……ちがう。途切れてるんじゃなくて、繋がっていないんだよ」

そういって幼女ちゃんは若造マップを縮小していく。

すると、キツネ顔ダンジョンの各地に同じような黄色い線の塊があることが分かる。

「ん〜なるほど、此処みたいなスタッフルーム地帯はダンジョンの各地に散らばって存在するワケか……ん? じゃあ人工ダンジョンのヤツらはどうやって移動しとんの?」

「……それがたぶん、コレで移動してる」

そう言って幼女ちゃんは目を赤く光らせる。

「……これ列車みたいに乗り込むんだよ」

「ほぉ〜、目回りそうね……」

いやまぁ、実際は目なんて回らないんだろうけど。コレに乗ってパチンコ玉みたいにダンジョンの各地に射出されるワケね。

「ま、いいや。今んのところ関係はなさそうね」

「……ん、若造マップの不明な線が少し分かった。となるとマップのこれは……」

幼女ちゃんは若造マップを見ながら、顎に手を当てて考える。

お、いいよいいよ。存分に考えなさいな。情報は大事だからね。というかマップの状況把握は任せた!

幼女ちゃんはブツブツ言いながら駅のホームの壁際まで歩いて手を当てる。

「……オバケ姉ちゃん、マップで近くに空間があるみたいだから確認する」

「オーケー」

私がシュタッと手を上げて了承すると、幼女ちゃんが触れている場所がブロックが動くようにカタカタと穴が開いていく。

お、でたね。ダンジョンの壁に穴をあけるヤツ。それでこの人工ダンジョンまで侵入してきたから、同じ事やってんだろうね。

幼女ちゃんの開けた幼女サイズの通路を進む事しばらく……開通した。

「おっと、結構高いね」

「……若造マップだと高低差がわからんから仕方なし」

開通先はドームの内側みたいな場所。でも開通した穴が上の方だったのでドームを見下ろす形になった。そしてドームの中央には光る玉が浮いていて、周りを犬のようなモンスターがウロウロしていた。

なんか中央の光る玉といい、マミィ〜のダンジョンにソックリやね。

「もしかしてダンジョン部分かね?」

ふむ、入り込まなければ襲ってこないかな?

パッと見、入り口らしいのは見当たらないね。

「……ちがうよ」

幼女ちゃんは目を赤く光らせて、ドームの内壁をキョロキョロさせて、微妙な顔をした。

「……私達には関係のない場所……だけどこのダンジョンの敵からしたら重要な場所だと思う」

「というと?」

彼女は若造マップを浮かべて指を動かす。

するとマップが網目状に線を浮かび上がらせた。

それはよく見ると『六角形』の形をしている。

「……人工ダンジョンって、この形の集合体っぽい。そして一つの六角形に一つにここがある。『キーポイント』って書いてあるね」

「今いる地帯のキーポイントがここってことね」

「……うん、そしてあの玉が六角形一つのエネルギーを賄ってるんだとおもう」

「はぁ〜、電源を送る送電所みたいなところってことね」

幼女ちゃんは、微妙な顔を更に微妙に歪ませて首を振る。え、何その顔、どんな感情だよ。

「……おもったより若造のマップが詳細だった。これ一般職員はもってちゃいけない情報だ」

幼女ちゃんは面倒くさそうにマップを消す。

「……人工ダンジョンの縄張り争いって、たぶんココを制圧するかどうかだと思う」

「おっとぉ……」

そりゃ重要拠点だ。

「ま、私達には関係ねぇか。別にダンジョン奪いたいワケじゃないんでしょ?」

「……うん、いらん。それに奪うのムリ」

「じゃ別の場所に行こうか」

穴を閉じて別の道へカタカタ穴を開ける。

モグラにでもなった気分だよ。

次に開通した場所は――

「またショッピングモール? 同じ場所にもどってきたじゃね?」

「……ん〜、マップの表示的に別の場所のはず」

確かに少し違うか? なんか雰囲気が少し違う。

あぁ、テナント店が豊富なんだ。そしてベンチなんかも置いてあったりする。明らかに大勢の人間が利用するのを想定された作り……。

あ、もしかしてここ……冒険者が入ってこれるショッピングモールか?

「そういうことかぁ。人工ダンジョンってお店も経営してんのね。つまりダンジョンに入る前の場所だここ」

「……あぁ、なるほど」

ここの店は冒険者用のテナント店になってて、ここで準備をしたりしてダンジョンに繰り出すワケだ。頭いいね。

そうなると人工ダンジョンって財力高そうやね。さすがは『勢力』ってところか。

「……ふむ」

「なんか買ってく?」

「……金がないし冒険者の道具とかいらん」

「それもそうね」

穴を閉じてモグラ幼女再び。

今度は少し下に向かって掘り進んでるのかな?

そして開通――

人がいた……。

「あ、ども……」

「「「…………」」」

「儲かってますか?」

「「「…………」」」

開通して真っ先に、動きやすそうな鎧を着た『冒険者』と目が合った。

冒険者達は休憩でもしているのかロッカールームのような場所で座り込んでいる。

そして急に壁から顔を出した幼女二人に思考停止しているようで、ナッツバーを手に持ったまま口をポカンと開けていた。

あ〜これはダンジョンに開通しましたね〜……。

私は幼女ちゃんと目を合わせて頷く。

「それじゃあ頑張ってくださいね」

「……ふぁいと」

カタカタと穴を閉じて走る。

「はぁはぁ人がいてビビったわ!」

「……」

幼女ちゃんは顎に手を当てて考え事をしていた。

おい、もういいだろ? 今日は帰ろうぜ。

「……オバケ姉ちゃん」

なによ。

「……もしかしたら小金稼ぎできるかも。コレから先を見越して少しかせぐよ」