軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

覚醒7

「そんなに気になることがありますか? ゼネスさん」

気付けば、口元に手を当てて長考の態勢に入っていたところを、エリックに尋ねられちまった。

「え? あぁ、そうだな。警戒してただけだ」

「警戒、ですか?」

エリックはわけもわからず暴れ続けるドラゴンへ視線を飛ばしてから戻す。

「まぐれ当たりが一番怖いってことですね! ちょっと気を抜き過ぎてたかもしれません! ブレス以外は狙われもしないし、当たりっこないって」

「狙われてたのは――俺か?」

「はい。執拗なくらいゼネスさんばっかり。まあ、動けない相手が居るなら狙うのも当然かもしれませんけど」

「そりゃそうなんだが・・・」

もう1つ、無視できないことがあった。

「なにか、おかしいですか?」

「・・・あぁ。俺はドラゴンの声を聴いたんだ」

『さあ! 来てみろ‼ 我が前に姿を見せろ‼‼ 卑怯者共めッ‼‼‼』

それなら僕にも聞こえてますけど・・・? みたいな表情が返る。

「そうじゃなくてな・・・・・・もう一体の」

「もう一体⁉⁉」

ありえねぇぐらいの反応だが、それが正しいとも言える。

俺にだって複数体のドラゴンを相手なんざ出来ねぇし、やりたくもねぇ。

「五感が奪われる寸前、油断したなって・・・」

「油断・・・って、それじゃあ―――」

「いや、アレは演技じゃねぇ。油断させるにしたって、まだ続けてる意味がねぇだろ? もう見破られてるんだぜ? だから、どうやってるのかまではわからねぇが、アレとは別の・・・分離したドラゴンが居るんだ」

「分離・・・?」

「声の感じは違ったが、質は同じ声だった。それでグレアムの爺さんが言ってたのと同じ原理なら、精神だけになったドラゴンがどっかにいるはず」

「それもう一体のドラゴンは、目には見えないってことじゃないですか⁉ っていうか、グレアムって言ったら教皇様ですよね⁉ 会ったんですか⁉ いつ⁉」

「ついさっきだ」

「ついさっき⁉ いや、でも! 教皇様はもう――」

「わかってるさ。それでも、あれは爺さんだった。だがそれ以上に・・・」

「これ以上、何があるんです⁉」

「無視できねぇ疑問だよ」

「疑問ですか⁉ 亡くなった人と出会う以上に⁉」

「ああ! 思い出せ! 爺さんの死因を‼」

「すみません! 僕はあんまり詳しくは・・・」

「そうだったか。グレアムの爺さんはな、望福教の教祖を名乗ったドラゴンに身体を乗っ取られて殺されたんだ」

「そ、それは知ってました!」

「けどな、身体を操ってたのは教祖じゃなかったらしい」

「えっ⁉ なんで・・・ッ⁉ そんなことを聴いたんですか?」

「訊いてもねぇのに教えてくれたさ。役に立つはずだってな。それで――」

「それで・・・・・・、なんですか?」

そんな重要な話より疑問に思うことって・・・? と緊張の面持ちで待つ。

「なんで俺は操られなかったんだ? 五感を失って、空っぽだったはずだろ。しかも、ここには教祖を名乗ってたドラゴンだって居たってのによ」

あらゆる方法を使ってでも作り出した油断を突いたはずだ。

幽体離脱の様に精神だけを切り分けて、壊れたような精神に身体を預けてまで、策を弄して。

そこまでやっても尚、俺の身体を操れなかった原因はなんだ?

どう考えたって、物理的な攻撃に頼るより、目に見えない精神攻撃の方が仲間に防がれねぇってのに、なんで・・・・・・。