軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

覚醒5

「くっ! またブレスが来るぞ‼」

「幾ら一辺倒だからって、この威力だけは本物なのよね‼ 鬱陶しいわ‼」

「アンナ君! もう上に弾くのはやめてくれたまえよ⁉ 天井からの瓦礫を防ぐ方が忙しいからねえ!」

「結界も全体を覆ってはいますが、物量には敵わないので本当に、ご注意をお願いします!」

「もちろん、無理は言いませんから! どうなっても、対応できるようには頑張ります‼」

「うっさいわね! 悪かったわよッ‼ でも前衛1人なんだから、大目に見てくれてもいいんじゃないの⁉ そりゃ狙われてはないけど、ね‼」

クライフの警告から、各々が動く。

その多くは、守るために集まっていた。

先頭は盾を構えるクライフ。フェリシアとジーナが並んで続くのは、魔法への対抗のため。

仲間から総スカンを受けるアンナは1人で前へ。

恐らくはブレスを吐こうとしたドラゴンの顎でもカチ上げたんだろう。

ある程度開けてるとはいえ、洞窟の中。

天井があるんだ。頭上からの落石には苦労しただろう。

それもあってか、エリックが浮いた位置でその対応に動いてるんだな。

怒涛の落石をどう処理したのか、その間ドラゴンの動きはどうだったのか、気になるところだが訊いてる暇はなさそうだ。

なぜなら、

「アンナ君⁉⁉ 下もやめてほしかったねえ‼‼」

飛び上がったアンナがその分厚い剣でドラゴンの頭を迷いなくブッ叩いたからだ。

薄明りの中に輝くドラゴンの眼と、魔力が集まり煌々と輝いていた口腔の残滓が、尾を引いて墜落する。

稲妻のように・・・というには直線過ぎた。

ドラゴンの首は身体に対して長く、四足歩行ともなれば、その勢いを中空でこらえることも出来ず、その口は地面とこんにちはすることになる。

3つの光は地上に降り立ち、激突すると同時に隕石の着弾が如く爆発する。

その凄まじさたるや―――。

地は爆ぜ、反動で光は踊り狂い、熱線は無秩序に空間を焼く。

弾き飛ばされた石は空を割き、巻き込まれた風は乱れ走り、抉られた大岩はそうあるべきだと雨に倣う。

のたうつ蛇のようなドラゴンブレスは一瞬の出来事。

その程度なら結界が破られることすらない。

しかし。

ババババババッ‼‼ と散らかる石の弾が押し寄せる、その数と勢いとが区切りを食い破って、迫る。

「プロミネンスカーテン‼‼」

遅れて炎が攫うように横切る。

これがエリックの尻ぬぐいか。

襲い掛かる小さな石の弾は溶け墜ちていく。

ただし、全部じゃぁねぇ。

中には根性のある・・・っつーか、ただ溶けるにはデカい石も紛れてて。

それらは炎を纏い、強化されて牙を剥く。

「プリズンミスト!」

今度はそれを沈下するための魔法をジーナが使う。

ジュッ‼ という音に続いて、ガンッ! ゴンッ! と、クライフの盾にぶつかる何か。

勢いまで殺すなら空中に水槽でも作ればよかったんだろうが、霧を選んだのは心ばかりの目隠しってところかもな。

あれだけやってるアンナが狙われてねぇってことは、随分と執着されてる奴が他にいるってことだ。

それを隠そうとでもしたんだろうさ。

「結界を張り直します! 落石への対応もお願いしますね!」

「ジーナさん、さっきと同じ方法でいいですか?」

「いや・・・さっきみたいにまたドラゴンに割り込まれると面倒だ。なにか威力が高くて――且つ、その場に留められそうな魔法はないかい?」

「偶然ですね。丁度いいのがあるんですけど、どうするんですか?」

「こちらから言っておいてなんだけれど、どうしてそんな魔法があるんだい。まあいいさ。それを結界の外側に配置してくれたまえ」

「わかりました。ヘリオス!」

「うわまぶしッ⁉ しかも暑いよっ⁉ なんだい? これえ・・・」

エリックが作った強烈過ぎる光源は高く昇り――・・・少なくとも、手で触れられるような高さにはなくなった。

「古い文献に載ってた農業用の魔法みたいです」

「雨に抗おうとしたのかな? それにしたって力技が過ぎるね。雲を掃った方が早いだろうに・・・こんな風に、ね‼‼」

ジーナは率直な意見を述べながら、そんな光の塊へ向けて指差すと、魔法でそれを粉々に砕いた。

砕かれた光は四方八方へと、散り散りになるかと思いきや。

網の縫目の様に規則正しく。なにより、同じ速度のまま、放物線すら描くことなく進んでいく光。

ちょっと異様な光景だ。

小さく分かたれた一定速度の星は、いずれ岩の雨と出会い、粉骨砕身を以って、岩を外へ外へと押しやった。

まるで意思でも宿ってるんじゃねぇかと疑うほどの働き。

「きれいですね」

「綺麗に見えるのはエリック君の魔法のおかげだけれどね。とはいえ、これだけ派手に動いてしまうと、霧を出した意味も薄れてしまっただろう。落石の脅威を排したんだ。今の内に運んでしまおう」

「そうですね! 急がないと!」

そう言って、振り返ったエリックと目が合った。