作品タイトル不明
続―――!!!
『ドラゴン! そうか・・・会話ができるのも納得だな。しかし、そうであれば・・・』
『おじぃちゃん?』
『いや、すまない。お嬢さんがもう死んでしまっていることの裏付け・・・確信と言っても良いことに気付いてしまってな』
『・・・・・・な~に?』
『・・・普通はな。兄弟ではなく、両親を探すのだ。特別な理由などで親と離れていない限り、迷子は絶対に親を探す。お父さんやお母さんのことは、思い出さなかったのだろう?』
『おもい、だしたよ? おにぃちゃんとはなしてるときに・・・でも――』
『探そうとは思わなかった』
『・・・うん』
自分の死に向き合う覚悟で会話する少女。
そうそう真似できるもんじゃねぇが、そんな見上げた状況でさえ頭に入らねぇ。
なんだ? ドラゴン?
なにかが引っかかってやがる・・・。
『それは恐らくだが、お父さんやお母さんとは既に、この場所であっていたからだろう』
『ッ⁉ それって・・・‼‼』
『言いにくいのだがな・・・お嬢さんが家族といる時に不幸と出くわしたのだろう。ただそこには、お兄さんが居なかった。だからお兄さんだけは難を逃れた。あるいは、九死に一生を得たか』
『そんな⁉ おとうさんとおかあさんも⁉⁉』
ドラゴンが複数体まとめて死ぬだと? ありえるのか? 間違いなく地上において最強の生物だぞ?
どんな不幸に会えば、そんな事態が起こり得る?
だがなんだ? そんな話をどっかで・・・。
『お兄さんと最後に会った時のことは思い出せないか? その時の姿を』
『おにぃちゃん! おにぃちゃん⁉ うぅ・・・おもい、だせない。どんなかっこうだったんだろう・・・?』
頭を抱える少女の姿に、唐突な視点を得る。
全員がドラゴンに見えているなら、俺達は。この場面はどう見えている?
どうやって頭を抱えてるってんだ?
『さいごにあったときのことは、おもいだせない・・・けど、おにぃちゃんがけがしてるってことは、おもいだせたよ⁉ どうしよう⁉ おにぃちゃんもしんじゃうのかな⁉ わたしはそれを、どこからみてたのかな⁉』
『落ち着くのだ。ここに居て、出来ることは少ない。冷静になって、考えてるしかないぞ! 自分が何をしたいのか、お兄さんにどうなって欲しいのか、そのためには何が必要で、どうすればいいのか。役目はあるはずだ。ここはそのためにある‼』
『どうして・・・、そんなことがわかるの?』
『儂自身が役目に気付いたからだ。それに――』
『それに?』
『加護の女神様は決して我々を見捨てたりなどしない。ただ、全てを上手く操ることなど神にもできぬのだ。だからこうして、時間を作ってくださったに違いない。ここにいる皆が、その時を待っているのだ』
加護信仰。
それはドラゴンにも通じるのか?
『そっか・・・そうなんだね』
そんな疑問を抱く間もなく、少女は納得した様子を見せる。
なのに、その反応にこそ違和感が・・・。
『おかしいね、おじぃちゃんのことばは、ほんとうのこといってるきがする。はじめてあったはずなのに』
『永らく女神様に仕えていたからかも知れんな』
『めがみさまに⁉ すごい‼ そんなおじぃちゃんのやくめってな~に?』
聖職者はそれほど珍しくないはずだが、この興奮はどこから来るんだ?
『それはな。こんな所へ来てしまった馬鹿者を叱るためだ』
『わたしのこと・・・?』
怯える少女に首を振り、
『お主のことだぞ? ゼネスよ‼』
ハッキリと。
”俺の名前”を口にした。