作品タイトル不明
定期報告会:内乱について
結局・・・ジェイド達は意見がまとまらず、保留ということで解散となり、今はもう夜だ。
危険はない。という言葉が逆に引っ掛かってしまったようだ。
蟻の調査依頼の時にそう言って痛い目を見たから、らしい。
あんなことがあれば、誰だって慎重になるだろうから、それは仕方ないにしても、
「どうすっかな?」
都合がいいから連れていきたいってのも間違いないんだが、修道の旅に人数がいた方がいいってのも、嘘じゃない。
妨害の中には単純な、くじ引きみたいな罠もある。
それこそ完全な運試しのような試練だ。
言い方はアレだが、そういう時には弾避けの有無が命運を分けることもある。
他には魔法生物がいた場合なんかも、だな。
普通に戦闘になる分こっちの方が重要かもしれないが、魔法生物の生成にはかなりの魔力を使うから、確率的にはそれほどでもない。
とはいえ、どちらにせよ今は3人。ユノを合わせても4人だ。
心許無いことこの上ない。
ジェイド達が参加しなかった場合、ギルドで募集をかけるか、グレアムの爺さん伝手に修道士を借りるか・・・それとも、
《定期報告》
どっかから、兵士でも引っ張ってくるか?
ベルザフォンからのメッセージでくだらない考えがよぎる。
『なにかわかったのか?』
《いいや、相変わらずだ。第1、第2皇子近辺の情報はことごとくが消されたあとか、途中で途切れる。感心するほどの徹底ぶりだ》
『感心してんなよ』
《だが! 対立派閥にもかかわらず、どこから追っても追いきれない。確証を得られないようになってるんだぞ! 流石に気味が悪い》
『利害の一致、だな』
《利害?》
『あぁ。第1、第2皇子はどうしても皇王位に就きたい。だが、直接は到底不可能。なにより、継承権を持ってる第3皇子の失脚が難しい』
《確かに。あの人は、なんというか・・・無理をしない。成功を求めるよりは失敗を避けるような人だ》
『そうだ。だから失態を演じない。そうなれば、自分達の復権には手柄が必要になる』
《そのために内乱を起こそうしてるのか?》
『あくまで可能性、だがな。でも、そう考えりゃ証拠の抹消に協力的になっても不思議じゃねぇだろ?』
《そうだな。まずはお互いに都合のいい状況を作るために、ということなら反目する必要はない。現状打破という大きな目標があるのだからな》
『第3、第5皇子の方からはなにも出なかったのか?』
《第3皇子はさっきも言った通りだ。そんな恐れ多い事はしないだろうし、叩いて出る埃もあってないようなものだ。第5皇子に至っては上下の皇子が好きなことをやってるからか、継承権第2位というのも嫌がってる様子がある。そういう意味では第1、第2皇子の復権は絵空事ではないのかもしれない》
『碌な情報はねぇくせに現実味だけ出てきやがったか・・・』
自ら内乱を扇動して、収めて、それを手柄に復権か。
とんだマッチポンプだな。
自分達で用意してるんだ。どこを抑えるのが効果的か、もよくわかってるはず。そして、それを実行できるだけの段取りも組んでくるだろう。
どういう決着を考えてるか知らないが、成功すればどっちが勝っても、第3皇子を押しのけて皇王位に就ける。
担ぎ上げるなら、賢い王より愚かな王だ。
露骨な権力争いなんかやってる家臣なんだから、なおさらだろう。
内乱が起こった時点で負け。
しかも、その時には俺達冒険者は居場所すら追われているかもしれない、と。
本当に、ふざけた話だ。
そうさせないためには、
『証拠を押さえておくか、先に内乱を収めるか・・・』
《どっちも現実的じゃないな》
『だな。今の時点でなにも出ないなら、この先も出ないんだろうさ。後になって馬脚を現すような連中なら、今でもなにかしらを掴めてなきゃおかしい』
《馬脚を現してくれるならそれでもいいんだけどな》
『まぁな。とりあえず、なにも出ないにしても情報は集めてくれ。内乱を収めるのなんざ個人には不可能だからな』
《わかってるさ。調べるだけでも意味があることくらい。どうにかして止められれば、それが一番いいが・・・》
『なるようにしかならねぇよ。こればっかりは、な』
歯痒くとも、こればっかりはどうしようもない。
居場所を守るってのは、難しいもんだ。いつだって、誰だってな。