軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

臭い芝居とその代償

「おおっ! 来たか。いきなり呼びつけてすまなかったな」

「いえ、陛下のお呼びであれば」

「マーラグ公にも。よろしく言っておいてくれ」

「父に、でしょうか? それは承りますが・・・陛下? 失礼ながら、現マーラグ公は私ですよ」

「・・・おっと! そうであったな! 重ねて詫びようジーナよ」

遅れてきたのは見知った顔のジーナ・V・マーラグだった。

「それにしても、転移というのは本当に便利だな」

「おっしゃる通り。設置こそ多少面倒ですが・・・稼働さえさせてしまえば、どれだけの距離があっても一瞬で移動できる魔法の道具に御座います」

コイツも呼ばれてたのか・・・なんて、思った矢先の三文芝居。

「しかし、幾つもの条件や素材を確保せねば設置できないとは言うが・・・それさえ済めば、どんな場所でも、どれほどの距離でも、問題ないのか?」

「理論上は問題ありません。実践に移したことがないのが悔やまれます」

「国家間の移動や大陸間の移動などは、侵略の恐れがあるために敬遠されておるのだから仕方あるまい。だがしかし、人の居らぬような場所であれば、実験にも向いているのではないか? そう例えば、北の大陸の端っこなど」

「おおっ‼ それは確かに‼ 流石は皇王陛下‼ 慧眼でいらっしゃる‼」

チラチラとこちらを窺う2人の視線がわざとらしいにもほどがある。

「件のドラゴンは北大陸の端に居るのですね?」

「なぜそれを⁉ やはり其方は我が盟友に似て聡明なようだ」

「そう言っていただけるのは恐縮ですが、御父上に似ていると言われるのは気分がよくありません」

「いやいや、ダンデのこととは誰も言っておらぬだろう? 早とちりというものだ」

「・・・そうですか」

こういうと不敬だが、三文芝居といい鬱陶しいので牽制程度に釘をさす。

「件のドラゴンの現在地を調べたのは、そちらのマーラグ公・・・ということでよろしいのでしょうか?」

「もちろん私だとも! どうやったか聞きたいかい?」

「龍王にでも聞いたのでしょう」

「勘がよすぎてつまらないね・・・君は」

まったく! と憤る振りまで鬱陶しい。

「先の帝国調査時に訃報を受け取ったことを思い出しただけですよ」

「お察しの通り、君が私に捧げてくれた非常に珍しい宝石を研究した結果、遥か遠くの相手とも会話が出来るのようになってね。そのことを龍王君に報告するがてら、件のドラゴンのことも聞き出しておいたのさ。どうだい? いくらか手間が省けただろう? 褒めてくれてもいいんだよ?」

「これはどうも。お手数をおかけしました」

「なあに、この程度ついでだよ。というかだね? 今は君と1対1で会話しているはずなんだけど、他人行儀が過ぎやしないかい?」

「私は貴族ではありますが、爵位を持ち合わせてはおりませんので」

「なんだ、そんなことか・・・気にする必要はないだろう? 君は私の婿になるのだから! 私とは対等でいいんだよ?」

「はっはっは! 公爵様は大変魔法研究に向いていらっしゃる」

「ものすごく馬鹿にされた気がするねぇ‼‼」

魔法研究やそれに携わる者は、言ってしまえば出来ないことをやろうとしている集団。つまりは夢想家だと言っただけだ。間違っちゃいねぇだろうに。

「陛下‼ 陛下からも‼ 贈り物の責任というものをご説明ください‼」

「む⁉ いや、私は・・・だな」

自らで芝居を楽しんだ後、愉快そうに高みから眺めていた陛下へ天罰が。

しどろもどろになりながらも、興奮した変態女を宥める刑を受け止めた。