作品タイトル不明
待っているうちに
日を変えて・・・ユノを呼び出した。
目的としては、俺に出来ることを見せておこうかと思ったからだ。
聞いた話のまま何でもできると思われてると困るからな。
神様じゃねぇんだってのは教えておかねぇと。
そうしてギルドで待っていると、
「先生!」
ヨハンとリミアが声をかけてきた。
「どうした?」
今、二人は暫定的にパーティーを組んで依頼をこなしているらしい。
失敗も無いようで評判は上々といったところだ。
「いえ、最近忙しそうにしていたので、今日は暇なのかな? って・・・」
「暇といえば暇だが、忙しいと言えなくもない・・・って感じだな」
「どちらかはっきりしていただきたいのですが・・・?」
「今は人を待ってるんだよ。なんか用か?」
「用・・・というほどでもないんですけど、成長を見てほしいなぁ・・・とか」
「あの事件から結構な日数が経過しましたし、新しいことを教えてくれてもいいんじゃないでしょうか? と思っただけです」
蟻騒動から3週間以上が過ぎた。
その間、この2人のことはほとんど見てやれなかったが、頑張っているというのは受付からも聞いていた。
俺に言われるまでもなく、手に入れた武器に磨きをかけていたんだろう。
だからこその確認ってところか。
で、十分な成果だった場合は報酬を寄こせってことね。
冒険者らしくなってきたんじゃねぇか?
「さっきも言ったが、今は人を待ってる。そいつが来てからなら・・・まぁ、付き合ってやってもいいかもな?」
「本当ですか⁉」
「後になって、やっぱり無し・・・なんて許しませんよ?」
「そこまで念押ししなくても、逃げやしねぇよ」
ユノに俺の実力を見せるのにも丁度いいだろうからな。
「それで⁉ その人はいつ来るんですか⁉」
「さぁな? 昨日連絡はしておいたんで、こうして朝一から待ってるわけだが・・・」
入り口を見てもそんな影は見えない。
「キチンと時間を決めておけば待たずに済んだのでは?」
「どうだろうな? 冒険者ギルドに来たことなんざねぇだろうし、どっちにしろ待つことにはなったんじゃねぇか?」
「それってどんな人なんですか?」
一緒に探したいのか、ヨハンが入り口の方を見ながら聞いてくる。
「ん? あぁ・・・教会の―――」
と、そこまで言ったところで入り口の扉が開く。
眩しい朝の光を背に、ギルドに入ってきたのはサンだった。
「はい、これ。お兄ちゃんに」
いつの間にか後ろの受付にいたミリーから紙を渡される。
「なんだ?」
「ちゃんと渡したからね! じゃ、私はこれで・・・」
「あ、おい!」
そそくさと逃げていく後姿を見送ってから、紙に目を落とす。
そこへ、
「まさか・・・こんなことの為に朝から呼び出されるなんて、思ってなかったよ」
またしても、気付かぬうちに目の前にまで来ていたサンが、
「確かに届けたぞ?」
言いながら横へズレる。
そこには、
「・・・その・・・よろしく、お願いします・・・」
事件から一度も見ていなかった者達の姿が。
さっき渡された紙には”冒険者ギルドでの教育一切をゼネス・C・グラーニンに一任する”という文字とジェイド達4人分の家長の名前が刻まれていた。
つまりは同意書だ。
なにがあってもこいつのせいだ、という。
提案者はギルドマスター:ブロンソン。
なにしてくれてんだ! って言いたいところだが、今さら大した違いもねぇか。
「あぁ。ま、よろしくな」
なんて声をかければいいか、全員がわからないまま、
「あの、ここが冒険者ギルド・・・でいいんでしょうか?」
待ち人までもが現れた。