軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

動き出す鍵

不用意に踏み込んだところで余計な刺激にしかならねぇ。

疑問を解消するのが目的じゃねぇ。わざわざ聞かなくてもいいだろう。

そう判断して、作戦を詰めた。

概要を説明し、内容を固め、認識を共有。

納得がいく所まで煮詰めていれば、気が付くころには日も沈んで長くなる。

一旦は解散することとなり、野営に移行。

残すはケイによる部隊への伝達と人員の振り分け。

これさえ済めば、いよいよ決行だ。

あまり時間を待たせすぎれば、折角考えたヨハンとリミアの設定も忘れてボロが出ちまうからな。

兵には悪いが、当日決行もあり得る。っつーか、それが一番現実的だ。

文句を言うより早く動かねぇとな・・・そう考えると、こっちが先に動くべきか。

都襲撃の合図は俺達が領主であるリミアの父ダミアンに接触した後に出す。

先に説明すると、それなりに長い待ち時間になる。

不満が出るならそこだし、出ないわけもねぇからな。

見張りを交代する時にでも伝えておくか。幸いにも、次はケイの番だ。

などと思っていると、天幕から抜け出す人影が―――。

交代にはまだ早いはずだが・・・何か言いたいことでもあったのか?

あるいは俺と同じように、先に動いてくれっつー相談か。

なんて思っていたが、様子がおかしい。

フラフラとした足取りで、こちらではなくどこか――・・・都の方面へ? まるで夢遊病のように歩いていく。

足元には灯りがあり、雲が月を隠すせいで、陰影が誰かを掴めない。

両手を宙に、ゆっくり歩く姿は亡者の如く。

腰を上げたところで雲の切れ間から月光が射す。

「――ッ⁉ ユノ‼‼」

俺の声が静寂を揺らす。

突き刺す咆哮と呼ぶには短く儚いが、破裂するソレは眠りを妨げる。

一瞬。振り返るような挙動を見せた後、フッ――っと膝から力が抜けたかのように崩れ落ちるユノの身体。

飛び出していた俺の腕でどうにか支えてやると、

「ゼネス、さま・・・? どう、いたしましたか・・・?」

寝ぼけ眼を擦りつつ、僅かに意識を覚醒させる。

逡巡の時を挟んでしかし、

「どんな寝相してんだ? こんなところで寝るんじゃねぇよ」

天幕の細動に迫られて誤魔化すと、ユノは『はぃ・・・』と返して、またネいてしまった。

俺はそのままユノの体を抱え上げ、天幕まで運ぶ。

「なにか、あったんですか・・・?」

「・・・なんでもねぇよ」

ユノを寝かせつつ、起きて来たヨハンへも寝るように促す。

流石にこの時間の睡魔には抗い難く、2人は再び舟を漕ぎ出す。

天幕を離れ、周囲の気配を探るが、元船乗り共も己の船は手放さなかったらしい。

雲だけが波のように流れていく。

だが、あの現象は―――。

「・・・・・・鍵、か」

その言葉の意味が。重く、重く。

痺れるほどに。