軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

悪夢を冷ます方法を2

しばらくの静寂を挟んで、出された解答はあまりにも予想通り過ぎた現実。

「オラッ‼‼ さっさと行け‼‼ ガキ共‼‼」

荒んだ目をした子供達を、偉そうに大人ぶった奴らが足蹴にして押し出す。

「・・・・・・・・・・・・」

子供達は何も発しない。

ただその目で見上げてくるだけだ。

「何してやがるッ‼ 何のためにそれを持たせてやったと思ってんだッ‼‼ さっさとそいつを殺してこい‼‼‼」

自分には到底出来やしないことを、さも当然のように指示する姿には侮蔑という言葉すら生ぬるい。

「がぁッ⁉ なん―――でぎゃあああああああああ‼‼‼‼」

そんな下衆を殺すのに躊躇いなどあるはずもなく、自分が安全圏に居るという思い違いを嘲笑って焼いた。

近くにいた連中にもどよめきが走る。

この距離なら安全じゃないのか⁉⁉ そんな思考が見て取れる。

1歩、2歩と草を擦る足音が退く。

全体が後ずさりすることで、相対的に子供達から離れ、進んでまるで前へ出たかのように空間が広がる。

子供達は振り返り、そしてまた俺を見る。

『あまりにも可哀想じゃないか!』

こんな光景を見せたなら、クライフであればそう言っただろう。

アンナなら忠告を。エリックなら融和を。フェリシアなら勧誘を行ったのかもしれねぇがな。

それでも俺は―――・・・・・・。

逃げる分には見逃そう。追いすがる理由がねぇから。

だが、歯向かうなら容赦はしねぇ。

敵は敵だ。

感情もなく、意思も持てず、指示の通りに動くなら。せめてその地獄から、1秒でも早く解放してやろう。

例えここで殺さなくても、どうせまた利用される未来が待ってる。

抗うことさえ出来ねぇんなら、それは変えようのない事実なんだと。

そう思えばこそ。

これを優しさと呼ぶには独善的だが、偽善に付き合うよりはいい。

またしても時間だけが過ぎ去ろうとした戦況を動かしたは、

「何を恐れるのだ⁉⁉ 私を助けろ‼‼ それが貴様らの幸福だろうが‼‼ いいのか‼‼ 幸福を失って‼‼ 貴様らの幸福を作り上げてきた私を失うということは、貴様らが不幸になるということに他ならんのだぞ⁉⁉ 誰でもいい‼‼ そこの出来損ない共であってもだ‼‼ 私を助けられたなら、どんな願いでもかなえてやる‼‼‼ 家族と共に過ごせるぞ‼‼ さあ‼‼ 分かったならさっさと行動せんかぁ‼‼‼」

あろうことか動けもしない景品だった。

自らを景品であると認識し、それをチラつかせ欲望を煽るとは。正に役割の全うと言えるだろう。

最早見下ろすこともねぇが、見下げ果てたクソ野郎だ。

望んで捨てた子供なんぞと、今更家族に戻れるわけがねぇだろうに。

テメェがその現実を突き付けていやがったのに。

そんな戯言で。希望を瞳に宿した子供達が動き出す。

ギフト発現までのおよそ5年。

捨てられた事実があろうとも、それまでは確かに幸せだったかもしれねぇ。

そんな幻想に踊らされて・・・。

哀れみを抱きつつ、それでも許すことはなく。

決断を下す―――より速く。

黒い空から黒い姿で、黒い影に降り注ぐ。

「シャドウパッチ‼」

手に持った罠を地面に突き刺し起動すると、糸のように湧き出た影の線が、火の灯りに囲まれたことで一体化していた子供達の影を繋ぎ合わせる。

動き出し、走り出していた子供達が、縺れ込むようにして転がる。

「なにすんだよ⁉ はなせよ‼‼」

ようやく聞こえた子供らしい甲高い声。

それが重なるように非難する。

けれど、ヨハンは意に介さず。フラフラとした足取りで起き上がる。

何階から飛び降りたのか? 無茶したからだろう。膝が笑ってる。

しかしまぁ、子供達も必至で。

「これのせいなの⁉ どうしてこんなことするのよ‼‼」

すぐさま原因に気付き、果てはヨハンへ殴りかかる。

ヨハンはそれさえ防ごうとはせず、腹やらを殴られながら俺に言う。

「僕はどうしても、この子達のことを見過ごせそうにありません! だから僕が先生をこの子達から守ります‼ 代わりに先生が僕を守ってください! 他の全部から‼」

清々しいほどの笑顔が周囲へ広がった火に照らし上げられ煌めく。

なんつーことを・・・・・・そんな復讐劇が、あるもんかよ‼