軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

上がる狼煙が呼ぶものは4

そこかしこで鳴り響く炸裂音に釣られ、右から左へ、上から下へ、あるいはその逆を表す足音が唸りをあけた。

その度に怒号か絶叫かも判別できないような叫声が響いた。

俺達はそれに捕まらないように隠れ潜みながら、また罠を仕掛け、あえてゆっくりと時間をかけた。

次第に足音は散り、叫び声が居座り、協力という概念が失せ始めたことを悟る。

いや、これもある意味では協力か・・・移動を無駄と判断し、人員を均等に配置。発見に特化し、連絡は叫んで行う。

居座る叫び声の内容が”異常ナーシ‼‼”じゃ、ただサボってるようにしか見えないが・・・・・・。

「そろそろいいか。ヨハン。案内を再開してくれ」

焼けるような空から、忍び寄る闇夜へ移り変わる頃、敵が俺達侵入者への興味を薄れさせたことを確認してから動き出す。

「もういいんですか? 普通にトイレを使い始めた時はどうなるんだろう? って不安だったんですからね・・・」

「思った以上の長丁場になったからな。その便所も吹き飛ばしたわけだが」

「凄く怒ってましたね」

「まぁ汚ねぇからな。駆り出された子供達には悪いことをしたな」

奴らは最初の言葉通り、施設で奴隷のように使っている子供達を引っ張り出してきていた。

領軍が出払ってる中で警備隊なんつー存在が居たことには少々驚いたが、そこまでの数が居ねぇのは間違いなさそうだ。

「あんな死んだような目で・・・」

「生きる上で希望がねぇんじゃな。今は余計なことは考えるな」

「・・・はい。じゃあ行きましょう。先生」

俺達は予定通り、半透明になって走り出した。

領主の部屋へと走る。

そうなりゃ当たり前だが、警備隊の連中の前に飛び出してしまう。

が、しかし―――・・・。

『3階! 階段警備にて幻影を確認‼ 周囲は現状を報告しろ‼』

『2階! 階段警備! 報告の幻影を確認‼ 幻影は2階を南へ進行‼』

『1階! 階段警備! 異常ナーシ‼』

こんな手抜きの報告でもしているんだろう。

誰1人も動きやしねぇ。

報告の声は聞こえないが、口の動きである程度は分かる。

1階からの報告はただの妄想だが、さっきまでそう言ってたんだ。変わることはねぇだろう。

ではなぜ、誰も追いかけてこないのか?

それは逃げ隠れをする間に、散々この手を使ったからだ。

この姿のまま壁を通り抜けて走り回ったり、幻影を魔法で作り出したり、窓にだけ映る幻影なんてふざけた魔法も使ったな。

その上で、わざわざ姿を見せることも繰り返した。

結果として、この半透明の状態は連中からは幻影として認識されるに至る。

だから全ての警備を素通りできた。

つっても、廊下をそのまま走り切ったわけじゃねぇがな。

要所で壁抜けを経由したり、やっぱり幻影を出してみたり、疑われないための細工は欠かさず続けた。

その成果もあって、目的地である領主の部屋の前まで、大した苦労もなく辿り着く事ができた。

「あの警備の人が立っている場所が領主部屋です」

ヨハンは指を差したりせず、言葉だけで伝える。

半透明でも動きはそのままだからな。

そして都合のいいことに部屋の前に警備が突っ立ってる。

『2階! 屋敷通路! 幻影が通過‼ 異常ナーシ‼‼』

その報告がどれだけ異常であるか、すぐにでも思い出してもらうとしよう。