作品タイトル不明
隠れみどおし
「――教祖の情報は見つかったか?」
「ダメ・・・みたいだね。やっぱり余所者には口が堅いというか・・・」
「田舎にはよくあることだが、領都までそうだとはな」
「ウチと違って、そもそも出入りの数が違うってのもあるんだろうけどね。それと見た目だ。ガタイがよすぎて荒くれ感が出ちまってるせいか、普段より避けられてる気がするよ。人海戦術っても、もうちょっと組み合わせなり考えるべきだったよ。すまないね」
間の町をすっ飛ばし、領都へ送り込んだ兵隊達からの報告をまとめたケイとの会話。
ケイはこれでもセイルスルーから連れて来た兵隊の総指揮を担当している。
だから、俺が出張っても摩擦を生むだけだと任せたが・・・こうなるなら打ち合わせぐらいは詰めておくべきだった。
ヨハンの故郷。
ルーヴェント領の領都へ入っても尚、教祖の尻尾を掴めねぇとは―――。
「ヨハンから聞いた人の集まりそうな場所で聞き込みをしたのは間違いねぇんだよな?」
「そこに抜かりはないよ。目印なんかもキチンと確認してるみたいだからね。報告そのものを疑うんなら、話は変わるけどね」
「その時の様子は?」
「書いてある通りなら、反応はいくつかに分かれてるね。一番多いのは、”不審に思ったのか、適当にあしらって早々に立ち去る”だって。次が”無視”。他に多かったのは”なぜそんなことを聞くのか?”って逆に聞き返される形」
「・・・訊き方は?」
「えーっと、あー・・・『望福教の偉い人とはどこへ行ったら会える?』」
ハァ――とため息をつくのがやっとだ。
そんな直接的に、しかも単刀直入に訊く奴があるか! と、思うのが当然だろう。
「聞き込みの指示は出さなかったのか?」
「出したさ! 出したんだけどね・・・なんというか、北大陸の文化は回りくどいのを嫌うみたいでね。迂遠なやり取りは覚えても居られないらしい。これを読む限り、最初は頑張ってたみたいなんだけど、相手にされない事にも嫌気がさしたみたいで」
「使い捨ての方が似合いじゃねぇか。いっそ方針を変えるか?」
「そう言わないでおくれよ! 単純なのは悪いことばかりじゃないだろう⁉ 基本的には命令を疑問にも思わないから、減らしたくないんだよ!」
それこそ使い勝手のいい捨て駒としか見てないような口ぶりがだが、ここで捨てても無駄になるのは間違いねぇ。
だったらまだ使い道を見つけられる方から手を付けるべきだ。
「・・・・・・気にな所があるとりゃぁ”なぜそんなことを聞くのか?”って聞き返された部分か」
「え? おかしなことなのかい?」
「知らねぇなら知らねぇと言えばいい。現に他の連中はそう言ったんだろ? なのに、わざわざ聞き返す理由はなんだ?」
「それはまあ、気になるからじゃないか?」
「何が?」
「何がって・・・だから、そんなことを訊こうと思った理由が」
「なんで?」
「・・・からかってるのかい? あたしらの手際が悪いから」
「そうじゃねぇよ。”気になる理由”がなんなのか? ってことだ。興味本位で関わり合いたいような風貌じゃねぇのは、他の反応から確実なんだろ? それを押してまで、聞き返した理由。それが知りたいんだよ。聞き返された奴はなんて返したんだ?」
「ちょっと待っておくれよ? ・・・・・・うーん。大体の奴はなんとなく。だとか、気になっただけだ。とか返したみたいだね」
「相手の反応は?」
「そしたら興味を失ったみたいな反応だったみたいだね。そんな理由で訊くんじゃないとかなんとか言われた奴も居るらしい」
もっとしつこい反応があるかと思ったが・・・荒くれ感が仕事をしたか。
兵隊共がさっきの説明通りなら、根掘り葉掘り聞かれてたら、俺の存在も露呈してたかもしれねぇ。
良くも悪くもって所だが――これで、ここに教祖へ繋がる情報があることだけは確定した。