軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

形だけ

お互いに部下の失態という形を取っての幕引き。

嵐は去った。

つっても、それじゃぁ閣下は納得できないだろう。

「閣下。今回の件ですが・・・」

出来るだけわかりやすく経緯を話し、現在の冒険者ギルドの状態、圧力をかけられている事実を軽く混ぜて説明した。

「わかった。納得など出来るものではないが、事情は理解した」

「ありがとうございます」

それ等を踏まえたうえで、ジェイド達は被害者であったと全面的にギルドが責任を負うことで了解を得ることが出来た。

今後、この件での苦情など一切はギルドが受け持つ。

実際ジェイド達は被害者といっていいし、下手にズダーク伯爵家および他三人の実家から口を出されずに済むというのは、ギルド側にとってはプラスでもある。

その辺りも取りなしてくれるというので、ズダーク伯爵様々である。

ひとしきり頭を下げてこの場を離れようとした時、

「ゼネス・・・さん。・・・その、すみませんでした」

すれ違いざまにジェイドが言う。

「謝る必要はねぇよ。別にお前らが被害者っつーのは嘘でもねぇからな」

「それでも・・・俺は・・・」

「後は好きにすればいい。自分たちで考えて、選べ」

言うべきことなどない。と、さっさとその場を後にする。

一応はジェイド達に非はなかったという形で落ち着いたんだ。あいつらが冒険者を続けるにせよ、やめるにせよ・・・本人たちで話し合って決めりゃいい。

家族のことに首を突っ込むつもりはないし、説得でも家出でもなんでも、出来ないんなら続けたところで、なにも得られないだろう。

冒険者ってのは、その手で欲しいものを勝ち取るのが仕事なんだからな。

皇都に戻ったついでにマンサ商会に顔を出して、超弩級の素材買い取りと有り余るほどの蟻の素材の販売ルートについて話し、そうした場合の金額がどうなるかを聞いた。

「超弩級ですか! 皇都ではかなり珍しいですし、それなりにいい値が付きますよ! まぁ、私としてはその時の雄姿についてお聞きしたいですがね」

「残念ながら一発いれて終わりだったから、話せるようなことはねぇよ」

「それはそれで気になりますなぁ!」

談笑を交えての交渉だったが・・・どうやら、赤字になりそうだ。

今回の準備は本当に急なことだったしな。仕方ねぇか。

適当に礼を言って別れ、教官の下へそのことを伝えに行き、そのまま素材回収などを手伝って・・・気付けば夜だ。

「お疲れ様だな」

「お互いに、な」

いつだかの店でまた、ベルと顔を突き合わせていた。

「これで、もう少し頼まれていたことに時間を割けそうだ」

「そいつは良かったよ・・・で? 進展は?」

ベルが首を振る。

「証拠はないままだ」

「怪しいのは?」

「当然・・・第一皇子と第二皇子の陣営だ。そもそも他は疑う理由がない」

「そりゃそうだよな」

今の皇王位継承権は皇太子の第三皇子にある。

第一、第二皇子は過去に派閥争いが内戦直前にまでなったことから皇王位継承権を剥奪されている。

そのため、必然的に裏工作の容疑者として名前を挙げられてるわけだ。

だが、調べても貴族の名前がいくつか上がるだけで、その後ろにいる誰かにたどり着かない。

今はそういう状況らしい。

「第四・・・はいいとして、第五は?」

第四皇子は魔法研究に熱心なことで知れ渡っている。それは自ら皇王位継承権を手放すほどであることから、この線は限りなく薄いといえるだろう。

「真っ白だ。名前が挙がっている貴族との繋がりもなければ、普段の言動にもそういったものは見当たらない」

となると、残りは第六皇子と皇女3人。

第六はクライフで皇都に不在だし、冒険者ギルドに喧嘩を売る意味が分からない。俺に対する嫌がらせなんだとしたら・・・いや、もっと他の手を打った方が効果的なのはあいつも知ってる。

「皇女は?」

「3人とも政治にすら出てこないんだ。その気があるなら、もっと目立ってるはずだ」

女だてらに・・・などと言われることもなく、皇女としての範疇に収まっていて、評判もいいとなれば疑う理由がないってのも頷ける、か。

「結局、まだ時間が必要ってか・・・」

「最悪・・・時間じゃ解決できないかもしれない」

「そこはお前次第だろ?」

「無茶言うなよ。相手次第、だ」

尻尾を出すかどうか・・・。

我慢比べになるな。

その時まで、持てばいいけどな?

どうにも答えのない話ばかり、お互い先も見えないってのに、くらいくらいと嘆きながら夜の闇に深ける。