作品タイトル不明
side―――???
かかったッ‼‼
永きにわたる計画を邪魔してくれた怨敵が、ようやく餌へと喰いついた‼
心の奥底から溢れ出る愉悦を噛みしめながら、しかし。興奮を表に出さぬように抑え込む。
ここで顔を出してしまっては隠れている意味がない。
湧き上がる歓喜と押し止める冷静、相反する2つの感情で歯噛みする。
まだ笑うな。
この怨敵を誘い出し、邪魔者を排除する策は成功した。
だが、まだ足りない‼
まだ恨みは晴れやらぬ‼
永きをかけて作り上げた帝国さえもを失うこととなろうと、ここで雌雄を決さなければ!
この者の心を折る。
それは我が安寧のため―――ひいては、より良き世界のため。
役に立たぬ形だけの神を廃し、確かな指導者として。君臨するのだ。
不条理も、不合理も、不平等も・・・全ては神の怠慢にある。
加護だなどと・・・・・・ッ‼‼ 二度と言わせてなるものか‼‼
そのためにはまず、この怨敵を討ち滅ぼさん!
神を崇め、我を退け、あまつさえ自ずから神を名乗ったこの怨敵を‼‼
そうだ‼
神であると名乗ったならば、その罪を償うのが筋である‼
故に罰した。
その神を支える枯れ木を。
差支えのないように。
その仕込みとして、この帝国を使ったのだ。
本来ならば、この帝国が大陸全土を統べ、その後に他の大陸へと波及する予定であったが、人の業は度し難い。損を嫌いすぎるあまり、力だけで奪えるものではなかった。
だからこそ、その業に見合った信仰を作り上げた。
望むもの全てが手に入るという、限りなく都合がいいだけの信仰を。
すげ替えるのだ。認識を。
人にとって、正しいこととは常に。その時に都合のいいことでしかないのだから。
古き神を、役に立たなかった神を。悪しき神とすればいい。
それを崇めていた、広めていた皇も、討たれて然るべきであると。そうすればいい。
力に頼っていたこの帝国を信仰の下に変革する。
その過程で古き神を討ったならばそれは、我が身の正しさを証明することと同義。
ここはそのための舞台。そのための演出。
全ては我が計画の内。
そこなる将軍も、噛ませ犬の姫も。なにも知らぬであろうが、知らぬ内に我が計画の礎となったのだ。
それはその2人だけではなく、この国の全てがそうであり・・・この場に立つ我が怨敵であるゼネス・C・グラーニン。汝についても同じであるぞ。
我が信仰により、全てが偽りのこの国で。
騙されていたことに気付き、信用した己の甘さを噛みしめ、そのせいで支えを失った愚かさに嘆き、その果てに‼ 助けたつもりの仲間さえ、操られていたと知り絶望に塗れながら、心折れる様を存分に見せるがいい‼‼