軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

悪だくみ

「盛り上がってけど、何の話?」

「先生の行儀について・・・でしょうか?」

「冒険者としての工夫だ。丸薬を水筒に突っ込んだだけだろ・・・」

「スイはそれやらないです! 飲みにくいです!」

「そうだな。慣れないうちは特に。水が詰まったり、逆に溶けて小さくなった丸薬が出てきて飲み込んだり、吐き出したり・・・」

「液薬を持ち歩くよりは便利なんすけどねぇ・・・」

「その辺、どぉにか解決する商品でも思いつかねぇか? ギルドで売りゃぁ今回の費用の穴埋めも出来そぉなもんだが・・・」

「でもそれってギルドマスターが自分で思いつかないとギルドの利益には出来ないんじゃ・・・?」

ヨハンの言葉に、確かになぁ! こいつぁ一本取られたぜ! と教官が答えて笑いを誘った。

その後もなんだかんだと話が続き、その度に笑いが漏れるほどの盛り上がりを見せていた。

その輪の中にはジェイド達”栄光ある騎士団”も含まれており、談笑している姿からは死地にいた時の憔悴などは影も残っていない。

まぁ、トラウマになられるよりはよかったんだろうが・・・そろそろ、やるべきことをやってもらわないとな。

「・・・教官」

話の輪を抜けて後ろからひっそりと声をかける。

俺の合図に気付いた教官が輪を乱さないように、しかしすぐに輪を離れて来てくれた。

「どぉした?」

「ジェイド達を連れて先に戻ります」

「なんでまた?」

「皇国軍に話を通してから来たんでしょう? 今回の原因ぐらい・・・すぐに割れますよ」

「ギルドに監査でも入るってぇのか?」

「あー・・・そうじゃなくて、あいつらが原因にされるってことです」

この場合の原因は女王や蟻の軍勢の発生ではなく、蟻が暴れることになった原因だ。

「なんでそんなことになる⁉ っつーか、そんなもん知りよぉがねぇだろ?」

「おもり隊ですよ」

「尚更じゃねぇか⁉ 奴らにそんなこと調べられるわけがねぇ!」

「そうでもないんですよ。あれでも一応は皇国軍・・・。なにより、あそこの隊長は元エリートで外交長官の息子です。情報ルートは独自に持ってるでしょう」

「そんな・・・まさか・・・」

教官は驚いた顔をして考え込むが、そいつに今回のことを教えたのは他でもない俺だ。独自のルートもクソもない。ジェイド達が問題を起こしたとわかった時に思いついて、皇都を出る前に連絡しておいたんだ。

ジェイド達の身柄については賭けだったが、無事に手に入れることが出来た。後はアドリブだが・・・大雑把な筋書きは出来てる。

向こうも間違いなく動いてるはずだ。

「あいつらが今回の件を知ってるなら、原因になったジェイドのことも気付いてるはず・・・放っておけば、ズダーク伯爵に逮捕令状が出されるかもしれません」

「そいつぁまずい。もしそれで厳罰なんつー話になっちまったら、圧力をかけてる連中がこぞってギルドを潰しに来るぞ⁉」

「どこまでが計算の内かはわかりませんが・・・皇都が甚大な被害を受けるような状況だったのは間違いねぇし、なにより超弩級だ。被害がなかったからよかった・・・では終わらんでしょうね」

もし俺達の手で止めを刺せていなければ、皇都や周辺の町に被害が出ていれば、どうなっていたか・・・。

冒険者はそんな無駄なことを考えないが、連中はその”もし”を掲げて触れ回ることで不安を煽って民意を動かす。

危険なものなどなければいいと、うわべだけのきれいごとをぬかすのだろう。

「だがどぉするつもりだ? 今から戻ってどぉにか出来るのか?」

「本人を連れて行けば話ぐらい出来るでしょう。そこでギルドの責任だってことにするんですよ」

「なるほど・・・そぉすりゃぁズダーク家の印象は良くなるわなぁ。しかも、あいつらは4人とも貴族だ。1人が付けば残りも・・・。しかし、納得させられるか? 下手すりゃぁ全部敵に回すぞ?」

確かに、なぜ息子の失敗も隠せない‼ そもそも失敗などなぜさせた! と言いがかりに等しいことを言われる可能性もなくない。

「そこは俺の家名と肩書を使いますよ。格で負けることはないでしょう?」

「そりゃぁそうだが・・・大丈夫なんだろうな? いきなりいなくなったりしねぇだろうな?」

割とガチのトーンで聞いてくるのは心配してるから・・・ですよね? 迫力ある顔で言われると、逃げるつもりじゃぁねぇよな? って聞こえてくるんでやめてもらいたいんですが?

「大丈夫・・・だと思いますよ?」

大丈夫、だよな?

場当たりの計画だが・・・なんとかなる、はずだ。