軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝国へ。六道

「次元が違うって・・・大した自信じゃないか。俺達も一応、個人A級まで上り詰めたんだ。もっと頼ってくれてもいいんだぞ?」

「ああ、悪いな。お前ら蒸気の騎乗者の実力を低く見てるわけじゃねぇよ。ただ言葉通りの意味で、今の俺は次元が違うんだよ」

1人で背負い込むなと言いたかったんだろうサン、同じ文言を繰り返す。

だが、それだけで伝わることがねぇのは理解してる。

だから、あの騒動の幕引きを知らねぇ全員に分かるように丁寧に説明した。

俺はそういう魔法が使えるんだと。その上で実演する。半端に透けた俺の姿をみせ、壁を通り抜けてまた戻る。

そして壁の内側は予想通り隠し通路だったことも明かした。

漏れなく驚きの声が上がるが、事情は理解してくれたようで、俺の提案は承諾される。

細かい取り決めは出来なかった。

地図は引き続きライザードが持ち、俺以外は階段の手前にある荷物置き場となっている部屋で待機する。俺は頃合いを見てそこへ直進して合流・・・という運びとなった。

本当はもっと決めるべきこともあったと思う。

しかしながら、そうはできなかった。

連絡があったからだ。

遥か遠くにいるはずのジーナからの連絡が―――。

次元をズラすことで俺は人や壁といったものとの干渉を避ける事ができる。だが、忘れちゃいけないのが、その状況では外の音なんかも聞こえない事。

そこでさっき言ったことを思い出してみてくれ。

漏れなく驚きの声があがる。これは表情から読み取ったものだけではなく、俺から溢れたものも含めて、漏れなく――である。

つまり、その瞬間にジーナからの連絡があった。

正確には・・・ジーナは俺に向けて、ずっと連絡をし続けていた。

それは自身の研究結果の発信であると同時に、どうしても俺に伝えるべきことがあったから、らしい。

そのことがよくわかったのは一言目。

『ようやく繋がった・・・』

安堵や落ち着きと同時に、疲れと焦りの籠った声だった。

俺は勢いよく窓をぶち破り、大音量の破壊音を響かせながら城の中を突っ切る。

当然ながら、そんな存在は一瞬にして見つかり、いたるところから兵士が飛び出して追いかけてくる。

しばらくして、正面から通路を埋めるような大量の兵士が現れたところで、次元をズラして人垣をすり抜ける。

恐らく響いているであろう悲鳴の代わりに、俺は馴染みの声を聴いた。

急ぎで俺に伝え無ければならなかった事柄は3つ。

『望福教が皇国の東側で旗揚げをした。今度こそ、大々的に皇王陛下へ迫るつもりのようだ』ということ。

あれで終わりじゃなかった。あれだけ幕引きがあっさりしすぎてたのは、まだ打つ手があったから。

『そしてそれに伴い、陛下は東の領地出身の者達を皇都へ集めていて、その中には君の教え子であるヨハン君やリミア君が含めれている。というより、栄光ある騎士団の全員が呼び戻されたと言った方がいいだろう。彼らは今、皇都にいるよ』これは悪いことばかりでもねぇ。

言っちまえば、ジェイド達がヨハン達をちゃんと仲間だと認めた証拠だ。

『最後に。これを今、君に伝えつべきか。とても迷ったけれど伝えておくよ。グレアム教皇が殺された。現場に争った様子はなく、暗殺じゃないかと言われているみたいだね』この言葉を聞いた瞬間、俺は芯から冷え切った。

家を出た時、兄上と別れることに心苦しさを覚えた。

冒険者をやめる時、クライフ達と別れることに悔しさを覚えた。

サルベージを訪れた時、ジェイド達と別れることに寂しさを覚えた。

死に分かれることもある。そんなことは百も承知だった。それを理解して、生きてきたつもりだった。

後悔のないように―――・・・・・・そう考えて選んできたはずだった。

けれど、どこかで思っていたんだろう。

死ぬわけでもあるまいし、ここで別れたとして、また会えるだとうと。

サルベージで生活していたころには、そういった別れもあった。

すれ違っただけの奴、顔見知りになった奴、一緒に飯を食って仲良く依頼を受けた奴。

だが、今更になって。戦場でもない場所で。より身近な相手を亡くすと、誰が思う?

寿命であれば、まだ仕方がねぇと言えただろう。

それが――なんだ? 暗殺の可能性?

どこかで聞いた話じゃねぇか‼‼

凍てつく心を内側から食い破るように、激情が燃え広がりこの身を焦がす。

どうやらもう・・・無関係じゃぁ居られねぇ。

必ず殺すと、そう決めたからだ。