軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝国へ。五報

「―――別に庇っていただかなくとも、この僕も戦えましたよ。というか、そのための授業や課外実習だったのでは?」

「そうだな。だが、今は殺すことが目的じゃねぇからな。お前はその授業で手加減のやり方を習ったのか?」

「・・・そういうことであれば、先に説明しておいてほしいものですね」

「そりゃぁ悪かったな」

既に倒れ伏す20人。

なんつーか・・・、

「思ったよりも大したことがなかったな。様子も、特別おかしいところはなかったし・・・・・・そっちはどう思う?」

不意にサンから意見を求められる。

「こっちも同じ意見だな。皇都での事と比べても兵士の状態は普通だ。ただ、それにしても弱すぎる気がするな」

「スイ達が強くなり過ぎただけです!」

ムフー! と胸を張り鼻息を荒らくするスイ。

その姿は可愛げの塊ではあるものの、慢心が過ぎるもの事実。

「油断禁物」

それを咎めるためにタンがスイの頭を拳で小突いている。

「実際、城の中に居る兵士ってのはどうなんですか? 強いもんですか?」

倒した兵士達を縛りながらホウが聞いてくるが・・・。

「さぁな。この城で王族が生活してるなら精鋭ばかりが配置されているだろうが、この国の事情を知らねぇからな。それでも、こんな新兵レベルを内部に配置するかどうか・・・一応、こいつらが非番だった可能性はある」

「ああ、なるほど。普段は別の場所に配置されてるってことですか。それで休んでたとこを叩き起こされたってぇ可能性ね。その上でこんな目に会わされてるってんなら、同情しかありませんねぇ」

「だとしても、やることはやらねぇとな」

場所を移し、サン、ホウと手分けして縛り上げた兵士を尋問する。

スイとタンには残りの3人の護衛。フッチには周囲を警戒を頼んである。

聞く内容は3つ。

1つは羽根飾りをつけた連中に心当たりがないか。

もう1つは望福教の信者はどこに居るか、及び集まっていたりしないか。

最後に、

「変わった目をした奴を見た覚えはねぇか?」

残った1人に尋ねる。

しかし、

「そ、そんなものに覚えなんかねぇって! 嘘じゃねぇよ‼ 本当だ‼」

どいつもこいつも似たような反応だった。

羽根飾りを付けた連中なんて城の中では見ていない。望福教の信者は団体で動くが、普段どこにいるかまでは知らない。竜の眼については情報なし。

得られた情報といえば、

「予想通りというか・・・この人達は普段、城門の周辺を警備、警邏してる兵みたいだ。役割的にも兵舎と訓練場、休憩室以外の場所へは入れないから、詳しいことは分かりそうもない」

「こっちも、リーダーと同じような感じでしたね。ついさっきまで休憩室で休んでたそうですよ? そこを応援に来いと呼び出されて・・・とのことで。陽動作戦が上手く行き過ぎたってことになりますかね」

「そうか、分かった。一旦戻るぞ」

消えた人間が居るってことぐらいだ。

「どうだった?」

「です?」

合流一番。単刀直入な質問が飛び、サンが答えるように首を振る。

「アイツらは使い捨ての駒――・・・っつーより、時間稼ぎって感じだな。姿を消した奴らの方を捕まえられりゃぁ情報を引き出せそうではあるんだが、そいつらがどこにいるのかがな」

「姿を消した奴ら⁉ そんな話が聞けたのか⁉」

「なんでリーダーが驚くです?」

俺の言葉にバッ! と振り返るサンにスイが突っ込みを入れる。

「気付かなかったか? 全員が同じようなことを言ってただろ? それに、嘘をついてる感じでもなかった」

「そうだな。嘘をついているようには見えなかった。もちろん、それを隠し通してるだけの可能性もあるけど・・・」

「それだけじゃねぇさ。アイツら弱かっただろ?」

「あ、ああ。拍子抜けするぐらいには弱かったけど、それが?」

「アイツらの中には指示を出す人間が居なかったんだ。だから統率も取れず、寝起きのせいで動きも散漫になってた」

「そうか! 確かに、あの人達は新兵って年齢じゃなかった。けどそれなら、あの弱さにも説明がつく! でも、待てよ? だったらなんで―――」

「そんなことになったのか・・・普通なら呼び出した奴が指揮を執るよな? つまり――」

「そいつが姿を消したのか‼」

「そういうことだ」

「よく気付いたな⁉」

「ちょっと待ってくれませんかねぇ? さっきは姿を消した奴ら・・・って言ってましたよね? その説明じゃぁ1人しか消えてねぇ」

「応援を呼びに行った奴だ。そいつも、あの中にはいなかった」

応援が来るまでの間、俺達はちょっとしたやり取りをしつつ、発見者と睨み合いになった。睨み合いなんだから当然、その本人はそこにいる。

「ってことは・・・・・・ですよ? もしかしなくとも、なにかあるってぇ事ですよね? だって、敵はわざわざ使い捨てる用の兵隊を連れてきたんでしょ? しかも、あの速さで」

ホウが気付きを得たところで、

「戻ったよ。1階まで続く階段なら近くにあったけど、休憩室の方はわからなかった。流石に中へ入るわけにもいかないし、そこは仕方ないよね?」

確認を頼んでおいたフッチが帰って来た。

「そうだな。他にわかったことはないか?」

「1階にも2階にも人気が無かったかな? だから、あの人達は案外近くで待機させられてたのかも知れないとは思ったよ」

「緊急で休憩室から呼び出したなら、多少は騒ぎになってそうだしな」

「うん。僕もそう考えて耳を澄ませたりしたんだけど、なにも聞こえなかったから・・・・・・」

この強襲すら、全てが演技? あらかじめ決められた筋立てだった可能性。

それを考え出すと・・・正直キリがないな。