作品タイトル不明
side――ヤーレン
「ふぅむ、一貫性ということか・・・しかし、それでは部下達に負担を掛けさせることになる。稼げる時間は短くなるぞ?」
「元より、制圧を期待できねぇ以上は変わらねぇよ。時間の問題は無くならねぇ。だったらせめて、確実に時間を稼いでもらわなきゃぁな」
ゼネスさんとフリードリヒ将軍ガ綿密な夜襲計画を立てる傍らニ、ミーは1つの可能性について考えマス。
もし、我が部族の人間が見つからなかったら?
事ここへ至っても尚、手掛かりは極僅カ。共和国出身の人間を見かけたという証言ニ、灰色の羽飾りトそれに連なる飾り留めだけネ。
ミーの努力が徒労に終わる・・・それは別に構いませんヨ。元より可能性。絶対だなんて思ってもなかったのですカラ。
ですガ、彼ラの協力を、その覚悟を裏切るような事になったら?
「そういや城のどこを目指すんだ? 上層階へ直接ってことは、さらにその上なんだろうが・・・」
「5階のテラス部分か、その上の階。帝王様の寝室になる。我らが侵入するのは3階部分だ。少なくとも2階層分は登らねばならん。階段の位置は忘れてくれるなよ」
真剣に話すその表情を見て、また思い出されますヨ。
国の行く末でもなく、国家間の平和や協定でもなく、我が部族を最低限の目標にするト、そう言ってもらえたあの時のことを。
大した繋がりもなイ、ただの都合が重なっただけの間柄。普通なら真っ先に切り捨てるべき相手ネ。それを―――・・・どうして。
そう思ったのは最初だけ。そういう人なんだと直ぐにわかりましたカラ。
なのに、その人の努力すら徒労にさせるわけニハ―――。
こういう時、自分のことだけ考えられたらどれだけ楽でしょうカ。しかし、ミーは商人。互いの利益があってこそ。もしくは、自分の損は許せても、逆は将来的に良くなイ。
どうにか・・・・・・どうにかして城の中に部族が居る可能性がないかト、情報を手繰り寄せる。
情報では黒い羽根でしたガ、黒い羽根は死の象徴。身に着けるなどあり得なイ。見間違いと考えていいでしょうカラ、一番見間違え易い灰で考えます。
灰の色が意味するところハ。注意、隠匿、変調。
それらは灰そのものの特徴から来ていると言ってもいイ。
灰は燃えカスではあれド、燃えないわけではなイ。なので、本当に火が消えているかを注意しなければならなイ。
灰は砂に近い性質を持つのデ、それに隠匿された物がないかを確かめなければならなイ。
灰は元の木カラ、炭、灰と変調するため、それぞれの本質を見極めねばならなイ。
これらカラ部族の仲間へ、知らせを送るとすればどれになるでしょうカ?
反転的に考えれば。再燃、埋伏、逆襲となり、どれもないとは言い切れませんガ・・・これという確証も持てませんネ。
残すは飾り留め――ですガ。
色は茶だったとのこと。ただそうなると、それはとても単純なものとなり、それこそほとんど意味なド・・・。
種類は6つ。
星、四角、三角、板、棒、球。
であり、その意味こそ。
5、4、3、2、1、0。
という、角の数に合わせて日付や人数を知らせるだけのもの。
帝都以前の情報では四角ニ。帝都の市場で手にした情報では球になっていたそうですガ、それがわかったカラといって、なんだというのでしょうカ?
多くの場合は時間を知らせますガ。だとすれば、帝都でなにかが起きている。あるいは起きようとしている事になりますネ。
しかし、それがなにかも。どうなるかさえわからないのですカラ、役に立つ情報ではありませんヨ。
確か市場の商人曰く、『2つの飾りがついていた』らしいのですガ、球が2つというのも覚えがありませんネ。
もしかしたら新しく暗号を作ったかもしれませんガ、その答えがミーにはわかりません。
球以外の2つならバ、まだわかります。
単純な数合わせですカラ。
星の横並びなら55。縦並びなら10と言った具合ニ。
足し算といいますカ、なんといいますカ。
この性質の都合上、星と球はよく片方に用いられのですガ、球2つは00。意味が分かりませんヨ。
黒い羽根と同じく見間違いでしょうカ?
だとすれバ、片方は四角になりますネ。
星は板同様薄い作りですカラ、球と見間違えることはないかト。棒も同じくですネ。一目で長さの違いに気付くはず。後は三角と四角ですガ、どちらかと言われれば断然、三角よりも四角の可能性が高いと言えますヨ。三角の尖りを見落とすとは考え難イ。
となるト、数字としては40・・・ですカ。
またしてもぶつかるのハ、なにガ? という問イ。
直感的に読み解くとするなら、埋伏した部族の数が40人。つまり、どこかに40人で固まっているという知らせ。
これではただ隠れているという報告に過ぎませんネ。
しかし、埋伏ではなく再燃や逆襲の意味であったならバ? それは、城へ潜伏しているということになるのでハ?
だから目撃情報が極端に少なかったという可能性ハ―――。
都合よく考えすぎている。ミー自身もそう思いますガ、そうであったなら。イエ、そうであるト。我が部族は騙されただけで終わるほど、無能ではないト。
心のどこかで、そう――強く、信じているのですヨ。