作品タイトル不明
自由騎士フリーダムの謎3
「はぁ・・・いえ、本当に呆れますね。貴方という人には」
「そうですね。まず間違いなく、ここにいる全員は同じようなことを感じていると思いますよ。殿下」
「どう思う? マルチナ」
「実力をひけらかさないその態度‼ 流石です‼」
好き勝手ぬかしてくれるライザードとサンの意見を封殺するために、マルチナを味方に引き込んで対抗してみるが・・・特に意味はない。
「それで――――なんでしたっけ? S級冒険者の決まりがどうとか・・・でしたか? それと彼の自由騎士の行動が噛み合ってないとか、なんとか」
「言われてみれば、皇国内で個人S級の名を挙げると、自由騎士フリーダムが真っ先に上がるぐらいには有名だったけど、その理由まで考えたことはなかったな。皇国で活動していることに疑問もなかった」
「だろ? そして、今現在のフリーダムは皇国で活動してねぇし、その代わりも出てきてねぇ。後は、フリーダムが入れ替わった正確な時期が分かれば繋がりも浮かびそうなもんだが・・・・・・」
「わからないのか? サルベージで活動してたなら、その手の情報も入って来そうなのに」
「前線の攻略に参加してるんなら、噂もそりゃぁ聞こえてくるだろうがな。本部のギルドマスターみたいに、引き籠られてたりするとどうしようもねぇ。フリーダムにしてみりゃその逆だったのかもしれねぇが、いつからか噂は聞かなくなった。それがいつだったか――なんてのはな」
「それはそうか。今のギルドマスターって確か”血しぶきの悪魔女”だっけ? 他にも血風とか、血濡れとか、彼岸の花道とかあったけど・・・全部、昔! って感じの噂しかないもんな」
本人が聞いたら青筋でも立てそうな言い分だが、事実だ。
管理職に付けば、戦場には出なくなる。出れなくなる。
救国の英雄と呼ばれた御父上でさえそうであったように。
じゃぁそれがいつからだったのか? なんて言われても、知りようがねぇ。
2代目の存在について知ったのは、サルベージでの事だったとは思うが。時期まではな。
「話は逸れますが、組織を管理する者の通り名にしては物騒過ぎませんか? 如何に冒険者が実力社会に生きているとはいえ、意見の1つも出せなくなりそうなものですが」
「ああいえ、そこは冒険者ですから。モンスター相手の武勇伝からつけられた名前で。流石に対人戦でそこまでのことはしない・・・と思いますよ? もちろん。いざって時には、強力な魔法が飛んでくるかも! っていう認識にはなりますけどね」
「ある意味、忠告でもあるな。それを恐れて意見1つ挙げられなくなるようなら、冒険者なんざ向いてねぇぞ・・・ってな」
「さっきの話を聞く限り、その強力な魔法が飛んできた・・・んだよな?」
「手加減されたけどな。本部の施設でド派手に暴れるわけにもいかなかっただろうし、殺して利がある話でも無かったから、当然と言えば当然だが――そうだ! 魔法で思い出した。フリーダムの魔法のことだ」
どうにも話が跳躍しがちだが、致し方ない。
「それがどうかしたんですか? 確か”重力”を操る魔法でしたよね・・・? 非常に珍しいとは思いますが、気になることでも?」
「その情報は、正しいのか――? っつーことだ」
「違うと思う根拠でも?」
「奴の戦闘を間近で見たのは、俺達がまだ駆け出しだった頃の話だが・・・正直に言うと、間近で見てても。なにが起きてたのか、さっぱりだったんだ。敵がまるでわけが分からねぇ吹き飛び方をしてた。それを根拠に違うというつもりはねぇ。むしろ、よくその種が分かったなって言いたいんだよ」
「実際に間近で確かめて、ですか?」
「ああ。2代目との戦闘もあって、風の魔法だと勝手に思い込んでたんだが――重力と聞かされるとな」
あの場面。思い返せば、風の魔法というには不自然な所はあった。だが、納得できる範囲でもあった。
しかし、重力と言われると・・・ピッタリ当てはまるような気もする。
「どうなんですか?」
ライザードがその話を口にしたサンに問うが、
「あくまでも噂なので、出所も真相も・・・分かりません。お役に立てず、申し訳ありません。殿下」
妥当な返答で首を振る。
「仕方ありませんね。もとより、そういうものは年長者の務めであるはず。謝るのなら、どこかの偉そうな人になるのでは? そうは思いませんか?」
「そうだな。むしろ感心してたぐらいだ。噂だけで、よくそこまで情報を集められたもんだってな」
「ああ・・・、ほら。皇国の南側は冒険者が人気だから―――」
そう言って曖昧に笑うサンには、なにか隠しているような雰囲気があった。
つっても、今更疑うほどでもなし・・・こんなことなら、大昔に本人から聞きゃよかったな。酒さえ飲ませてりゃぁ案外ポロっと漏らしてたかも。
などと、言っても仕方のねぇことを考えつつ。
謎は謎のまま。
帝国の情勢、モンスター襲撃の頻度、カーナ派の思惑、フリーダムの過去。それら不安を抱えながらも、俺達は帝都を目指して、ただ進むしかなかった。