軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

前線までに

俺がヨハンとリミアを連れて先行し、その後ろにサンが追いかけながら光柱を目指す。

移動は全員に融合強化を施したことで、徒歩とは思えない速度で進行する。アスクレまでの移動もあったからか、ヨハンもリミアも初めのぎこちなさが抜け、大分サマになっただろう。

「止まれ!」

前方に敵の気配を感じて指示を出す。

3人は素早く集まり会議になる。

「何匹いる?」

俺がそう聞くと、

「えぇっと・・・3匹? ですかね?」

「ここから4匹は目視できますが・・・」

「え⁉ うそ⁉」

駆け出し二人が思ったことをそのまま口にする。

そして、正解はというと・・・、

「6匹いるよ。見え辛いかもしれないけど、岩の向こう側だ」

サンが答える。

「あそこ・・・ですか? やっぱり僕には見えないですね・・・」

「私にも見えませんね。というより、本当に見えているんでしょうか?」

「うーん・・・。見えるっていうよりは感じる、の方が近いかな・・・モンスターはあまり魔力を隠さないから、それを探すんだ」

丁寧に感覚的なことを教えるサンだが、伝わってるとは言えないな。

二人は難しい顔で首を傾げるばかりだ。

言葉にする努力は認めるが、感覚なんざ人それぞれなんだ。わかったつもりにさせる方が後に響く。

「なんて言えばいいのかな・・・」

「言葉で全部説明するなんてのは無理があるんだよ。結局は慣れだ。場数をこなして覚えりゃいいんだよ」

「そんなことでいいわけないだろう? 初めこそ丁寧に教えてやらないと、あとで困るじゃないか!」

「それぐらいでいいんだよ。むしろ、そういう時に取り乱さないように準備させとく、ぐらいが丁度いい。なんでも教えてみたところで、出来るようになるわけじゃないんだからな」

「二人はどう思う⁉ こんな適当じゃ困るだろう⁉」

俺に言っても埒が明かないとでも思ったんだろう。サンが話を振り、

「どっちもまだ、よくわからなくて・・・」

「理解が及ばないという点で、どちらでもいいと言えますね」

二人が苦笑いで返す。

というやり取りを何度か繰り返しながらここまで来た。

俺と意見が割れるたび、サンは味方が欲しいのか二人に話を振ってはそでにされていた。

他にあったのは、敵の行動予測。こちらから仕掛けるべきかの攻撃判断。などだが・・・。

「で? どうする?」

だからこそ、最終判断はヨハンとリミアにやらせることにした。

それならサンも文句は言わないし、経験にもなる。

前線にたどり着くまでのお遊びみたいなもんだが、急に実践ってなるよりはここらで雑魚相手に力を試しておくのもいいだろうからな。

「僕は・・・出来ればまだ試しておきたいんだけど?」

「そうですね。私もです。魔力にもまだ余裕がありますので試したいと思います」

二人が頷くので、先に決めていた通りの手順で進める。

まず俺が殺気で存在を知らせ、その隙にサンが回り込み逃げ道をふさぐ。そこを二人が魔法で攻撃するという流れだ。

攻撃については、リミアが洪水を発生させる魔法。

これは水を流すだけのイメージで広範囲をカバーでき、狙わずとも当たるとして教えておいた。確実にとどめを刺すには向いてないが、的が小さく数が多い時には有効で、流された敵は壁や床、敵同士でぶつかり合って数を減らすし、そうじゃなくても押し流すだけで魔法使いとしては楽になるからな。

これで、目視で確認できていた蟻が4匹、巻き込まれ濁流と一緒に流される。

そして、ヨハンが籠手を通して撃ち出す闇の初級魔法。

籠手を通せば暴発しても狙った先に直線で魔力が噴出してダメージになるはずだし、暴発しなければ普通に撃つより強力な魔法になる。

残る2匹を処理する形で戦闘が終了。

特に問題もなく、何度目かの戦闘が終わる。

「どうですか⁉」

「どうでしょうか⁉」

二人してそんなことを言ってくるので、

「まぁまぁだな」

と、しておく。

駆け出しとしては十分すぎる能力だが、大半が装備の力だからな。あまり調子に乗せるわけにも行かない。

というか、エラくテンションが高いのが気になるが・・・・・・それよりさらに気になるのが蟻の方だった。

そもそも最初に意見が分かれたのが蟻の行動予測だ。

俺は、女王の窮地に急いで向かうために逃げると思っていた。

サンは逆に、女王の窮地に近付けさせないために襲ってくると予想した。

だが答えは・・・こちらが仕掛けるまでなにもしてこない、だった。

この時の攻撃判断も意見が割れたから、ヨハンとリミアに決定権を投げたんだ。

そして今回も。

群れの指揮官である女王がいるにも拘わらず、だ。

女王が討伐されたか、あるいは・・・手が回らないか。

討伐されたんなら連絡ぐらい来るだろう。それがないってことは手が回らないのはお互い様ってことか・・・。

これは、急いだほうがいいかもな。