軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

待ては待っても待たせるな

作業に没頭するうちに、俺は周囲の声も聞き逃していた。

ジーナとマルチナがなにをやっていて、どうなったのかさえ知らないまま。

扉を叩く音に気付いて初めて手を止めた。

「失礼します。商会頭がゼネス様をお呼びです。ご所望の行商人が現れたので、急ぎ来て欲しいと」

「わかった。すぐに向かう」

俺の答えを聞いたマンサ商会の使いは直ぐに移動の準備を開始。それに倣うよう、準備のために部屋を振り返ると、そこにはまだジーナとマルチナの2人共が居た。

「まだいたのか」

「君がなにを作っているのか気になってしまってね。途中からは言葉も失くして、つい見入ってしまったよ」

「わ、私もです! ゼネス様の手捌きは見事なものだったと思います‼」

「そうか。それはいいが・・・ジーナ。お前はもう帰れよ?」

「ほう? なぜかな?」

「居られると邪魔だ。それに、研究もまだ終わってねぇんだろ?」

「ふむ。まあ・・・その通りなのだけれど、面と向かってそう言われると癪だね。帰りたくなくなる」

「いや帰れよ。これでも使って研究を先に進めやがれ」

俺は机の前に戻り、製作した魔法道具の1つをジーナに投げ渡す。

「これは・・・指輪?」

「ただの輪っかだ。穴に紐通してんだろうが! 紐をほどいて指にはめようとすんな‼」

首から下げるように結んだ紐をほどこうとする馬鹿に牽制を入れつつ、

「そいつには俺のギフトが付与してある。効果は弱いけどな。あの龍王が言うには、俺のギフトは龍王の資格になるもんらしいから、研究に役立つかも知れねぇだろ?」

道具としての能力を説明する。

このギフトに龍王との関係があるなら、アイツと連絡を取れるようになるための研究にも使えるはずだ。

「なるほど。君の気持は受け取ったよ・・・この指輪に虹霓玉を取り付ければいいんだね? そして、帝国から無事に帰ってこれたなら、私と結婚したいと。つまり、そういうことだろう?」

「消し炭になりたいか?」

籠手の砲口に魔力を充填して突き付けるが、

「冗談だよ。それに、その攻撃は強力過ぎる。私には通じないけれど、皇都に被害が出てしまうよ」

涼しい顔で諫められる。

まぁこっちとしても冗談だ。

コイツの力や知恵はまだまだ必要だし、通じないってのも本当だからな。伊達に天才魔法使いとは呼ばれてねぇ。

その後、ふざけるジーナをどうにか追い返した辺りで、今度は自分の番だとでも言うようにマルチナが騒ぎ出した。

「なんなんですか⁉ さっきのアレは⁉ 私も欲しいです‼‼ 私のはないのでしょうか⁉ それとも、作りかけのもう1つが私のものだったりは⁉」

「お前のはねぇよ。アレはまた別の筋に預ける奴だ」

「どうしてですか⁉⁉ 私も欲しいんです‼‼ どうすれば貰えますか⁉」

「どうすればって言われてもな。今回は材料を2つ分しか頼んでねぇからな。どっちにしろ、直ぐには作れねぇよ」

「では材料さえ有れば、私にも作っていただけるんですね⁉」

「あー・・・・・・役に立てばな」

「わかりました‼ 私! 役に立ちます‼ 帝国では比類なき働きを約束します‼ だから是非‼ 何卒‼ 私のために! 手作りの代物を‼ できれば名前入りで‼」

「わかった‼ わかったから‼ しがみ付くな‼」

こっちもこっちでなんとか治めて部屋を出る頃には、マンサ商会の使いは随分と待ちぼうけを喰らった後だった。

なんとも申し訳ない気持ちになるが、これでも一応は最速のはずだと弁明させて欲しい所だ。