軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

連断

「それにしても、帝国へ・・・か。これはまた忙しくなりそうだね?」

陛下との謁見を終えて、俺とジーナとマルチナは元の仮宿へ戻っていた。

ライザードとバロンはなぜか謁見の間に残ると言い出し、御父上と陛下がそれを認めたために今はまだ皇城にいるはずだ。

「お前は連れて行かねぇぞ?」

なぜか少し嬉しそうに期待していたジーナへ告げる。

「えー⁉ なぜだい⁉ 同行者の数を絞るってことは少数精鋭だろう⁉ 私ほどの優秀な人材が必要じゃないか‼」

「お前は内外に顔が知れてるだろうが‼ 目立つんだよ‼ 居るだけで‼」

「そんな⁉ あまりの優秀さが裏目に⁉」

「それに。お前にはやるべきことがあるだろうが! 龍王への連絡方法だ。まだ完成してねぇんだろ?」

「まあそれはそうなんだけれどね・・・なんというか、もう少しな気はするんだけどねぇ。近そうで遠いというか、その逆というか。行き詰ってしまっていてね。気分転換が必要なのさ。ようは暇だというわけさ! ということで、この天才たる私を連れて行きたまえよ‼」

「だから要らねぇって‼」

「どうしてだい⁉ そこの女は連れて行くんだろう⁉」

「当然です! なにかあったときは私が盾になります‼」

「それも迷惑だから辞めろ! 御父上にも言われただろうが‼ 情報を持って死ぬな‼ どうせ商人の護衛として冒険者も連れて行く予定なんだ。そういうのはそいつらに頼る。戦闘になっても前には出るなよ。邪魔だからな」

聞き分けの悪い2人としばらく一悶着した後、

「ジーナ。暇ならこの素材をサルベージで集めてきてくれ」

どうしようもねぇからお使いという役割を与える。

「むぅん? これは・・・結構お高い素材ばかりだけれど、なにに使うんだい?」

「留守の間のお守りだ」

「お守りねえ・・・けれど、代金はどうするつもりなのかな? 今の君はかなり貧乏だった気がするのだけど。学園からの給料も出てないしね」

「それがおかしいんだが・・・まぁ非常事態じゃ仕方がねぇ――ってことで、付けといてくれ」

「私がかい⁉ だったら私も帝国へ連れて行っておくれよ‼ 向こうの風土や文化、魔法知識が私の研究の役に立つかもしれないだろう!」

「あのなぁ・・・俺は今、お前に。無事に帰ってくるって約束を取り付けてんだよ。金返すまでは死なねぇから、大人しく研究所にでも籠ってろ」

「なん、だってぇ⁉ つまり、私こそが君の帰る所というわけかい⁉」

そんなことは言ってねぇんだが・・・コイツのことを天才と称しだしたのはどこのどいつだ? 現状を見る限りだととんだアホだぞ?

「借りっぱなしは性に合わねぇってだけの話だ。それと、研究に役立つかは知らねぇが・・・あの時の、魔法の感想を教えておく」

「ああ、あの魔法だね。どうだった? 中々面白い、不思議な体験だったんじゃないかい?」

「幻惑魔法に近い使い方も出来て悪くねぇ使い心地だったな。姿を変えたり消したり、ハッタリにも使えて便利ではあった」

「その言い方だと、なにか問題があったみたいだね?」

「軸のズレた空間からでも見ることはできたが、音や臭いなんかは遮断されてたせいで、会話とかは不可能だった。あの魔法を使った状態で会話するには、お互いが向こう側に居る必要があるだろう。姿を変えたりと合わせれば、あるいは有利に使えるだろうが・・・当然、向こう側からの直接的な介入も不可能。現実に干渉する行動に移る時には、確実に魔法を解除してからって不利を背負う形になる」

「なるほど? 遠見の魔法と幻惑の魔法を足したような使用感というわけだね。確かに君が好みそうな使い心地だね。1人に見せかけてそうじゃなかったり、誰かに見せかけて違う人物だったり、応用も効きそうだ。音と臭いについては要検証だね。1人の魔法で同時に複数人へ掛けないと同じ空間に入れないのか、別々で魔法を使っても同じ空間に入れるのか――と言っても、あの魔法を使えるのは君と虹霓玉を使った私くらいだろうから、実験は無理だね。今、君にその時間があるとは思えないからね」

「俺が魔法を使って複数人に効果があるか・・・は直ぐに検証できるだろ」

「いいのかい? それをしてしまうと君に頼まれた素材の調達が遅れてしまうかもしれないよ? そうなるとお守りとやらも作れなくなってしまうんじゃないのかい?」

「それは、困るな・・・アレがねぇと今後も動き辛いだろうし。つっても、商人の選定や護衛の選別で時間はありそうなもんだが・・・」

「君はまだ私のことをわかってないね。私が時間を忘れるとどうなるか? 覚えがないかい? それとも、君はそれだけの時間。私と一緒にいたいのかな? ん? どうなんだい?」

ズイッ! っと近付いてくるジーナを鬱陶しく思っていると、

「・・・・・・これは私への当てつけですか?」

俯いて震えるマルチナが割り込んできた。