軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

回収

「一段落ってところか・・・」

見える限りの蟻は殲滅した。潜伏してる・・・なんて奴も、もういないだろう。

上からの援護岩が死骸の山に落ちそうだったんで拝借し、地面に落ちる直前に弾いて掃除したからな。

転がる死骸はほとんどが隅に押し出され、通路入り口側は岩で押しつぶしたんだ。死骸の中や奥に潜んでいた奴らはタダじゃすまなかっただろう。残る可能性は地面の中だが、えぐれている様子がない以上そこまで警戒する必要はない。

上にいる全員にメッセージで状況終了を伝えるが、追加の岩が来てない時点ですでに分かっているだろう。

初めはなんで死骸の上に魔法を? なんて思ったが、上から見れば遠く離れた蟻が、生きてるか死んでるかなんてわからないか。と気付き、ついでとばかりに取った行動だったが、結果として上にも現状を知らせられたし悪くない一手だったかもな。

俺は振り返り、ここにきてようやく”栄光ある騎士団”の面々をしっかりと視界に入れることが出来た。

それぞれ大きな怪我は・・・いや、してるな。

ケイトが派手にやられた跡がある。

治療はしたようだが、そのままじゃ動けないか・・・?

他は似たり寄ったりだな。

かなり削られたようだが、見た目ほど大きな怪我はなさそうだ。

「・・・・・・・・・・・・」

どうしたもんか・・・? なんて声をかければいいんだろうな?

よく見知った冒険者パーティーなら皮肉の一つでも入れてやるし、調子に乗っていたバカなパーティーだったら口ほどにもねぇなと笑ってやるし、面倒を見ていたパーティーだったなら、叱ってやるべきなんだろうが・・・。

俺達の関係はどれにも当てはまらない。

しいて言えば、話を聞かなかった奴と話をしなかった奴。になるか・・・つっても、それじゃどっちが悪いなんて言えやしねぇ。

「怪我見るから、動くなよ」

結果、必要最低限のことを伝える人見知りみたいになった。

他はいいとして、ケイトの足は重傷なのでしゃがんで確認する。

太ももがかなり大きく切り裂かれ筋肉どころか腱まで噛み切られてる。後ろから不意打ちでもされたか? 治療魔法じゃ止血が限界・・・回復魔法でも足りないな。元のように動かせるようにするには再生魔法が必要だろう。

「・・・確かに、これじゃ逃げれねぇな」

「な、治ります・・・かね?」

「再生魔法を使えば大丈夫だろ。元が残ってるしな」

「再生魔法、ですか・・・」

ぎこちない笑顔を張り付けた顔で受け答えするケイトは自分の足を見下ろして黙り込む。

「・・・・・・再生魔法ッ」

ギリリと音を立てたのは意外にもジェイドの手。

力強く握りこんだ拳になにを思うのか。残念ながら知りようもない。

「他に方法ってないんですか⁉」

「あるにはあるが・・・面倒だぞ?」

「面倒でもッ‼――」

「――いや、いい」

なにか言おうとするエイラをジェイドが止める。

「再生魔法ぐらい、父上に頼めばどうにでもなる・・・」

「い、いいんですか?」

「ジェイド様⁉ それでは⁉」

「いいんだ。一度の失敗ぐらい・・・父上も分かってくれるはずだ」

「アンタはそれでいいのね?」

「・・・あぁ」

「ジェイド様がそうおっしゃるのなら・・・」

なんつーか・・・盛り上がってんな?

そこへ、ギルドカードに《上の安全確認が終わった》という旨のメッセージが届いた。すぐにでも回収に来るだろう。

それにしても、蟻の死骸はどうしたもんか。

素材を回収しないとギルドの収支がなぁ・・・とはいえ、薄目で見てもあの山は変わらねぇよな・・・・・・後で誰かにやらせりゃいいか。

それどころじゃなかったって言い訳も通じんだろ。

「上で待機してたA級パーティーが回収に来る。怪我を治すから集まれ」

そう言うと、3人が集まる。

ケイトは動こうとせず、そのせいで4人には少しばかりだが間が空いている。

「・・・・・・はぁ」

こいつらは一か所に集まることすらできないのか? よくこれで生き残れたな。

目の前にいるジェイドを押す。

「なッ⁉」

「きゃ!」

「ちょっと!」

その後ろにいた2人も同じように一歩、二歩と後ずさり・・・まぁこの距離ならいいだろう。

「此の姿は正しく非ず、彼の雄姿こそ今に在るべし」

再生魔法なんざ魔力量のせいで使えないが、限定的ながら似たようなことは出来なくもない。

時空魔法の小技なんだが・・・問題なく治ったようだ。

「これって?」

なにがあったのか? といった感じの3人と

「い、今のはッ⁉」

目を白黒させながらも立ち上がり、あわや掴みかかろうかといったケイト。

そのどちらをも無視し、

「悪いが時間がねぇんだよ。さっさといくぞ?」

俺達は回収班と合流した。