作品タイトル不明
選んだ責任と進む道
皇王陛下との謁見を終え、一旦部屋へ戻る。
学園の寮は、まだ相変わらず使えそうにねぇから、サンパダが用意してくれた部屋へ。
扉を通して向こう側から、なにやら声が聞こえてくるが、俺が部屋を出る直前までいたバロンとライザードだろう。
陛下との謁見は実質荷物の受け取りだけ。時間にして小1時間なんだから、アイツらが部屋に残ってても不思議はねぇ。
扉を開ければ予想通りの顔が2つ、俺を迎えてくれる。
「なにを話してたんだ?」
「当然、貴方が皇城へ呼ばれた理由について・・・ですよ」
「殿下がまた、叔父様が次期皇王に推挙されてないか心配してたんだよ」
「そのような暴挙は行われていませんよね⁉」
「されたとしても断ってるさ。これ以上の面倒はごめんだ」
「でしたら、陛下はなにようで貴方を?」
「ちょっとした荷物を受け取っただけだ」
「荷物・・・? なにも持ってないように見えるけど?」
「あぁ、それはコイツを――・・・ってなにしてんだ? とっとと入れよ」
なぜか部屋の外で固まっていたマルチナに声を掛ける。
「ですが! 私などが貴方様の部屋へ踏み入れても良いのかと」
「なんだ? 急に呼び方まで変えやがって・・・そんなだから信用を得られなかったんじゃねぇか?」
「いえ! 今までの態度が誤りでした‼ 教祖様と対峙したあの時の神々しさといったら――」
部屋の扉を半開きにしながら、そんな話をするんじゃねぇよと思いつつ、どうしようか悩んでいると。
「その声って・・・隣の教室の先生じゃない?」
「この僕の記憶でもそうなっていますね。名前は確か――マルチナでしたか。なぜそんな人物を皇王陛下から・・・とも思いますが、それ以上に。女性を荷物扱いというのはどうなのでしょうね?」
今度は部屋の中から言葉で斬り付けられる。
「詳しい話は後だ。取り敢えず中で話すぞ」
「いけません! 私は、そんな!」
「ややこしくなるから黙ってろ‼」
このやり取りこそ、聞かれるとややこしいことこの上ねぇが、言っても仕方がねぇのも確かだ。強引にでも連れ込んだ。
「それで? なにがあったんですか?」
「学園が休止してる理由は知ってるな?」
「この間の事件のせい・・・だよね? 叔父様が望福教と対立した」
「正確には教会と対立しようとした望福教が、信者を得るために学園を利用してた証拠が出たのが原因だ。しかも、そのやり方が違法だった」
「それとそこの女教師がどう関係するのでしょう?」
「コイツは望福教の人間だ。つまり――」
「この先生が証言したんだね?」
「そういうことだ。学園長がジーナになったり、俺が教師になった経緯は知ってるか? 手短に言えば、多数の失踪者が出た結果の埋め合わせだ」
「その失踪には望福教が関わっていた。それも違法なやり方で。その証言をその女教師が行い、軍が調査に入ってみれば。そのまま証拠が浮き出てきた。と、いうことでいいんでしょうかね?」
「凡そ、だがな。ちょっと前に出た行方不明も合わせて望福教の仕業であり、それをあたかも解決せしめたように見せかけた手法さえも違反であるとして、捜査が続いてるんだが・・・さっきも言った通り、コイツは望福教側の人間だった。それがなんで裏切るような真似を? ってんで、信用がなくてな。確証を得るために俺のところに送り込まれたわけだ」
「ふーん? でもなんで叔父様の所へ? そういう魔法得意だっけ?」
「いいや。本来なら拷問にでもかけりゃいいんだろうが、事情が事情でな」
「事情って?」
「コイツは俺を理由に宗教の鞍替えをしちまったらしくてな。だったら俺が直接聞いて判断した方が早いだろうって皇王陛下からのお達しだ」
「神だなどと名乗るからでは? 今からでも、取り下げてしまってはどうでしょう?」
「んなことしたら余計面倒なことになるだろ。押しかけてくる連中の相手をするぐらいなら、コイツ1人の方が幾らかマシだ・・・っつーことで、さっさと進めさせてもらうが、構わねぇよな?」
そう確認すると、マルチナは声も出さずにコクコクと頷いて返した。