軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

離間の刻3

「貴公の名は覚えておこう。しかし・・・」

「しかし、なんでしょう?」

「代行、なのだな?」

「ええ、その通り。私はあくまでも教祖様の代行。それになにか問題が?」

「いいや。委細承知した。貴公の言が正しければ、その内容は私から皇王陛下へ届けることを約束しよう」

「・・・ッ! お待ちください! それではお話が違います‼ 先程までは陛下への取次と言っていたではありませんか⁉」

「そうだな。しかし、貴公は代行なのであろう? その教祖とやらが何者かも知らぬが、本人が直接現れないのであれば、その程度のこと。至急ではあれど、危急ではないと判断できる。故に、代行には代行で構わないはずだ」

違うか? と問えば、周りが一斉に文句を言い出す。

さながら躾の行き届いた犬といった様相だ。

その顔ぶれの中には女教師のマルチナや、そいつから先輩と呼ばれていた男もいる。

俺が気付いてなかっただけで、探せば他にも見知った顔が見つかるかもしれねぇな。

ま、そんなもんを見たいとは思わねぇが・・・。

「そうとは限らないはずです! 教祖様はなんの理由も無しに代行を立てているわけではない‼ それを考慮せずに代行だからなどと――」

「それは陛下も同じ。さっきも言ったはずだな? 皇王陛下は今現在、体調を崩しておられる。そこを特別に・・・というのであれば、相応の誠意がなければ認められはしない」

「――ッ‼ そんなことを言って! 本当は貴方にそんな権利などないのではありませんか⁉ 陛下への取次など、この場を欺くための嘘で、実現できないからそう言っているだけなのではありませんか⁉ 私が間違っていた! 証拠もなしに言葉を鵜吞みにするべきではなかった‼ やはりこのまま皇城へ―――‼」

「嘘ではないが疑うなともいうまい。ただしな・・・無法を働こうというのならば、その報いは受けてもらうぞ? 例え何人であっても、この私を無視して正門をくぐることは出来ぬと思え」

不用意な言葉尻を刈り取るように威圧して前に出る。

その強行突破は御父上であっても許しはしない。

それだけの気迫を以って圧し潰す。

「で、であれば証拠を‼ 貴方が皇王陛下へ直接、嘆願できる立場であるという証拠を示していただきたい‼」

「いいだろう。それを証明するにあたって、皇城には抜け道があるという噂は知っているな?」

「それくらい国民であれば、誰でも聞いたことはありますが・・・しかし」

「これはその噂が本当であることの証明だ。私は皇王陛下の寝室で―――」

とまで口にしたところで、首筋に痛みと熱が生じ、気道が締まり呼吸さえ難儀になる。

「――それはっ⁉」

「・・・・・・これが、私が皇城へ。ひいては皇王陛下へ直接お会いできる証拠だ」

そうして指すのは首元に浮かび上がった呪印。

「首という急所への呪いは相当のことがなければ成立しない。命にかかわるのでな。さらに言えば、呪いという方式も長く続くようなものではない。呪いに込められた魔力にも限度があるためだ。そして、この呪印には王家の紋がある。疑う余地はないはずだ。なにより、これについては私よりもそちらの英雄様の方が詳しいのではないか?」

そう言って指差すと、御父上へ注目が集まる。

だが、やはり反応は薄い。

「本当のことですか? お答えください。将軍!」

「・・・・・・偽りではない。私にも覚えがある」

ここに来て初めて聞いた御父上の声。

覇気のかけらもありゃしねぇが、偽物ってわけじゃぁなさそうだ。残念ながらな。

「証拠は示せたようだな。次はそちらの番だ。私の案に納得できたのならば、そちらの言う重大事項とやらの説明をしてもらって構わない。もし、私の案に納得できないのであれば、教祖様とやらを呼んでくるがいい」

さて、これで時間稼ぎになるか黒幕の顔を拝めるはずだが・・・その後はどうするかな。

ここまでくると、もう他に方法を思いつかねぇよ。

淡い希望も打ち砕かれたことだし、いよいよ肚を括る時が来たのかもしれねぇな。