軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

離間の刻2

「・・・・・・・・・・・・」

「返答も無しとは、随分と身勝手ではないか?」

虚ろな瞳を睨んでみるが、どう見ても俺を認識さえしていない。

本当にただの人形のようだ。

「いきなり現れては好き放題に場をかき乱す。貴方こそ何者です? この場を設けたのはこの私。何か質問があるなら私が答えましょう」

なんの反応を見せない御父上の前に、ズイッと身体を踊り出して返すのは、やはり外套を纏った男。

今までの男より声が低く、しゃがれ落ち着いた印象を受ける。

「我が名はゼネス。ゼネス・C・グラーニン。そこに控えるダンデ・L・グラーニンの実子である。親子の会話を遮るなど無粋とは思わないか?」

「なるほど、これは失礼しました。しかしながら、親子の会話というのなら、私にも同じことが言えます。貴方が背に庇うそこの教皇は我が父グレアム。その息子である私達にも、同じく会話の権利があるのではありませんか?」

「ほう。それは驚いた。教皇殿からそのような話は聞いたことがなかったのでな。遠くからでは御父上が教皇殿に無茶を言って言うように感じられたのだ。許せ」

「そのようなこともありましょう。ご理解いただけたなら幸いです」

「ああ。だが、まさかこの場が親子の対談場だなどと、誰が思う? 神聖な皇城の門前であるからな。立場ある者どうしの諍いかと早合点してしまった。しかし、そうでないならば――この場では見合わぬ対談。一度、解散してはどうだ?」

「そうは参りません! ことは一刻を争うのです‼ もはや我々だけでは決定できぬほどの重大事項。故に皇王陛下のお言葉をいただこうという次第! 解散など、もってのほか」

男が語気を強く否定すると同時に周囲が騒ぎ立てる。

「では説明いただこうか? 決めきれぬ重大事項とは何なのか、それがどう我が御父上と繋がるのか、そしてなぜ。皇王陛下のお言葉を欲するのか」

「そのような時間は―――」

「時間がないのは陛下も同じ。このような集会は予定にはないはず。なにより、体調を崩されておられる陛下へ謁見など、本来ならば出来るわけもない。にもかかわらず、それを押しての強硬だろう? であれば、説明ぐらいはしてもらわなければな? 出来ないのであれば正規の手段に頼るがいい」

「ですが、我々には貴方にそうしなければならない理由がない」

「理由がない? そんなはずがないだろう。私も国民が1人。このような騒ぎの詳細を知る権利ぐらいは持ち合わせている。それにだ・・・」

「それに・・・なんでしょうか?」

「私は今、皇王陛下から直接のご命令をいただいている」

「そのご命令とは?」

「緊急時の取次だ。つまり、もし貴公の話が本当に至急のものであるならば、私から皇王陛下へ。すぐにでも取次をさせてもらうということだ」

そこまで言い切ると、男はあからさまに目の色を変え、襟元を正すと同時、

「申し遅れました。私の名はグレンゼー。望福教の教祖様を代行して、この場にいます。以後、お見知りおきを」

被っていた外套の頭巾を脱いで、仰々しく一礼をする。

ゆっくりと上げられたその顔には確かに。教皇の爺さんに似たところがあった。