軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

中間の監視

警備を担当していた最後の1人を引き連れて、俺達は階段を登る。

その中でジーナの魔眼によって魅了されているのをいいことに、兵士から情報を聞き出しててみたんだが、予想通りの答えしか返ってはこなかった。

「分かったことと言えば、軍へ入隊してまだ3か月にも満たないこと、あの空間や外套の集団についてはなにも知らなかったこと、警備を言いと渡されたのがついさっきということ、それを伝えてきたのがゴーリス准将だということ。どれもあまり意味がない。けど、准将が直接新兵に指示を出していることを考えれば、施設内に人手がないのは間違いなさそうだ」

「お前が聞いた通りなら、外でなにか問題が起きてそうだな。抜け出した後の方が忙しいかもしれねぇぞ?」

「参ったな。少しくらいは休憩したいんだが・・・それより。魔眼っていうのは恐ろしいな? 魔法も無しに人を操れるだなんて、なにも知らなければ君が疑われていたんじゃないのか?」

「その言葉はおかしいね? 現に捜索対象として追われていたわけだからね。それはつまり、魔眼の力を知っていたから、ということになる。最悪、身代わりにでもするつもりなんじゃないかな? それほど便利なものではないのだけれど・・・」

「そうなのか? 見た限り、魅了は強力な力だと思うのだが? 他にも出来ることがあるんだろう? 所謂、ギフト本の知識に過ぎないけれど」

「こいつは目から光線も出せるぞ。目が合ったら死ぬと思え」

「光線⁉ それはすごいな。死ぬのか?」

「死なないよ! まぁ出来なくはないけれどね。そんなことをするぐらいなら普通に魔法を使うさ。なにより、魅了の力なんて持って数分、魔眼の存在を知られていたら通用しないような代物さ。なにせ、目を合わせなければいけないわけだからね。対策なんていくらでも取れる。他の能力も似たようなものさ」

「俺はお前のところに集まる変態共は、全員が全員魅了されてるもんだとばかりに思ってたけどな」

「ゼネス! 君は私をなんだと思っているんだい⁉ 大切にしたい相手にそんなものを使うわけがないだろう‼ なにより、魔眼になど頼らなくとも、この私は十分に魅力的なはずだ‼ あれらは私が手ずから勧誘し、その手練手管で落としてきた者達だ‼ そこを勘違いされたくはないね‼」

「その言い方もいかがなものかと思うな。怪しさが増しているじゃないか――っと! 話しているうちに、もう階段は終わりらしいね。ここからは注意して進もう」

くだらねぇことを言ってる間に地上への扉が見えた。

ベルの喚起を受けて、予定通りの並びに替わる。

先頭は哀れな新兵君だ。

そろそろ魔眼の魅了効果も切れるだろうし、最後に一働きしてもらおう。

扉を開けさせ、俺達は連行されているフリ。

これなら万が一に見つかっていたとしても、いきなり襲ってこられることはないだろうという考えだ。

まぁ襲い掛かられたとしても、新兵を盾にすればいいだけだって案でもあるんだが、あまり物騒なことにはしたくない――ってのがベルの言い分だ。

ご丁寧に閉鎖された空間へ押し込めた上で監視までしてるんだから、扉の向こうには兵が隊列組んで待ち構えているもんだと思ってたんだがが・・・拍子抜けなことにそこには誰もおらず、もぬけの殻。

どういうことだ? と3人で顔を見合わせるが、答えなど出るはずもなく。

そのまますぐ隣の監視室へ押し入る。鍵も掛かってはいなかった。

ガチャッ‼ と勢いよく扉を開き、雪崩れ込むようにして中へ入るが。

「こっちもか」

ついに感想が口から零れるほどの空振り。

「誰もいないようだね?」

「そんなはずは・・・・・・」

あまりの予想外っぷりに、ベルも慌てて狭い部屋を見渡すが、人が隠れられるような場所はない。

壁には黒い板が打ち付けられていて、壁に向かうように机が設置されている。更にその上には魔法道具の類がズラリと並んでやがる。

「なにか知らないかい?」

部屋の外に取り残されていた新兵にジーナが聞くが、首を振る。

「下で集会をしている間は警備が居るから休憩している・・・とか、そういうのはあり得るのかな?」

「あり得ない・・・と思う。軍はいつでも非常事態を想定しているんだ。休憩するにしても交代制で、誰かは常にその場を担当しているのが普通だよ」

「だとすると、その正常な状態を維持できないだけのなにかが起きたわけだ。ベルザフォン君が聞いたという話は。私達が想像するより、はるかに大事だったりするのかもしれないね?」

「そうでないことを祈るよ」