作品タイトル不明
仲間が居た
監視室。
確かにそう書いてあった。
地下へ下りる階段の手前、檻と階段に挟まれた部屋の表札が監視室だった。
俺達はゴーリスに誘導されるまま地下へ。
この先は牢獄だろう。
だったらここでゴーリスを締め上げて階段を逆走してしまえば・・・ッ‼ と思ってしまうが、それじゃぁダメだ。
ゴーリスと連れて歩くのは得策じゃねぇし、置いていくにしても階段ってのは都合が悪い。
発見される可能性もそうだし、自力で意識を戻した時も厄介だ。
拘束する手段も手足を縛るぐらいで、壁や策に縛り付ける事ができねぇ。
だからこそ動きそうになった目玉をグッと抑え、衝動を嚙み殺して地下へ。
牢獄を確認したら、それを理由に意識を取り戻したことにしてしまえばいいだろう。
ちょっとしたお願いごときで投獄されてくれるやつはいねぇはずだしな。
そう思っていた。
だが、俺の予想は外れることになる。
「こちらの部屋でお待ちください」
連れてこられたのは手狭な部屋だ。
宿の一室と言われれば納得できそうな部屋。
ベッドと小さな机が一つ。後はよくわからねぇ引き出しが一つだけあつらえられた台。その上には申し訳程度の燭台。
他には何にもねぇ部屋。
俺達はそこへ置き去りにされた。
ゴーリスはすぐに出て行ったせいで俺はジーナと2人きり。場末の宿へ泊りに来た2人みたいにされちまった。
どうする? とジーナの方を向いて声に出す寸前。
『礼拝の時間です。部屋を出ましょう』
魔法によって礼拝とやらの時間であることを知らされる。
俺達は視線だけで意思疎通を行い、頷き合って部屋を出る。
まだ精神魔法にかかったふりを続けよう。
馬鹿みたいな顔をしたまま部屋を出ると、向かい側の部屋からもチラホラ人が出てきてる。
途中通ったが、廊下にしては広すぎると思っていた部屋の外は、そのまま集会場のようになっているらしい。
っつーか、この階層がデカい集会場を囲むように作られてるんだな。
中の部屋とそれを仕切る扉こそ普通だが、ぐるっと囲うように部屋へ押し込められてる図は牢獄のそれと大して違わねぇ。
こんな環境を作って集会だなんて、どんな目的が?
そんな問いが浮かんですぐに、解答が得られる。
「さあ! 望むがいい! 己がために‼ それこそが幸福への道だ‼」
異様な光景だった。
つい演技を忘れちまうぐらいには、異様過ぎる光景だった。
外套を纏った男の声が響き渡ると同時に、泣きながら感謝を叫ぶ声が上がるのだ。外套の男の目の前へ土下座でもするかのような姿勢をしながら。
野太い声の男が。願いが叶ったと。ここへ来たおかげだと。
それが木霊するように続く・・・ずっと。
そして、それを興味がなさそうに突っ立って見ているだけの集団がいる。
その差があまりにも開き過ぎて、疑問を超えて不気味さを感じるほどだ。
いったいなにがあったら、こんなことになるんだ?
けれど、そんなことはどうだってよくなった。
考える必要がなくなったからだ。
「――ベル‼」
「ッ⁉ ゼネスか⁉」
興味がなさそうにしていた人混みの中に、探し続けた友人の姿があった。