作品タイトル不明
間縄の確信
「話半分に聞いてたのか? 取り敢えずの目標としては司令部の監視室って部屋を確認すること。可能ならそこの調査と、そこに在るらしい鍵を探す。ただ、ここでいう鍵ってのは何かの核心をつく、あるいは迫るための言葉で、鍵そのものじゃねぇってことには注意しろ」
「注意しろと私に言われてもね? 君は私を軍へ突き出すのだろう? そうなれば、私は尋問されるだろうから調査には付き合えないよ?」
「そこは一応だ。入り口で引き渡して終わりなら、お前を連れていく意味がねぇだろ? もちろん中まで連れ込むに決まってる。そうなった時、一緒に行動するにせよ、単独で動くにせよ、探してるもんについて知ってりゃぁ、なにかに気付けるかもしれねぇからな」
「ふふ、中まで連れ込むとは・・・中々に際どい言葉を使うね。実にいいよ。それなら聞いておくけれど、その鍵がなにかの核心に近しいことはわかったよ。でも、それはいったい何なんだい? なにに対しての鍵なのか、それがわからないと探すのにも苦労するだろう?」
「それがわからねぇから、苦労することが決まってんだよ」
はぁ・・・と、この先を思えば俺もため息が出る。
「ベルは鍵は司令塔にある監視室としか書いてやがらなかった。それがどんな形で、なにに対しての鍵なのかは一切不明だ。だが、明確に場所を書いてある以上、そこになにかあるのは間違いないはず。あるいは、一目見ればわかるようなものなのかもしれねぇが・・・」
「釈然としないね? じゃあ、その鍵とやらを手に入れたとしても、どうやって使うのかも決まってはいないわけだ」
「まぁな。その効果さえ、わかってねぇんじゃどうにもならねぇさ」
「とはいえ、ある程度の予想は付けられるね。君のお父上が将軍として頂点に君臨しているのが軍の現状。そのお父上の後ろ盾を得ているのが望福教。それでいて、姿を消した軍の士官達。その内の1人が残した言葉こそが鍵だ。ならば、その鍵は恐らくは望福教と軍を関連付けるなにか―――証拠となる道具か現場なのだろう」
「道具なら奪取か破壊でいいが・・・問題は現場だった場合だな」
「取り押さえるにしても私達2人では流石にどうにもならないだろう。皇都軍全体ともなれば、数の差は埋めがたい。多少の応援でどうにか出来る規模ではないからね」
「軍と望福教の繋がりってんなら、そこが精神魔法を掛けてる現場の可能性はあるな。監視室ってのが名目上だけの部屋で、実際にはそこへ1人ずつ呼び出しては魔法を――って寸法なら・・・」
「それは非効率的過ぎやしないかい? 1人ずつってことは、その度に精神魔法を発動させる必要があるってことだよ? そんな方法でどこまで魔力が持つだろうか?」
「ベルが消えてから半月。他の士官達も同じ時期からいないんだとすりゃぁ、そのせいで手間取ってるって考えることもできるが・・・」
「その部屋には仕掛けか道具があって、複数人へ掛ける事ができるものの、効果が薄いか、それでも時間がかかるほどの人数を相手にしているとも考えられるね。その場合はそれを破壊してしまえば、さらなる効率の低下・・・果ては頓挫まで追い詰められるかもしれない」
「そういう仕掛けや道具について心当たりはねぇのか?」
「精神魔法の研究は危険だからね。そっちの方面は詳しく無いのさ」
「わからねぇでもねぇ話だが、その割にはいつぞやに、その手の魔法を試された記憶があるんだがな?」
「あれは大丈夫だよ。ちょっと気持ちよくなったり、気分が良くなったりするだけの魔法だからね。キケンナンカナイヨ」
「十分やべぇだろ」
「ともかくだ! やるべきことはわかったんだ。それで? その監視室というのは、司令部のどこにあるんだい?」
「・・・さぁな?」
「・・・・・・まさか、そこからなのかい?」
「仕方ねぇだろ! 文句ならベルの奴に言いやがれ‼」
「まったく、君はなんでも私に頼りすぎなんじゃないのかい? いくら天才だと持ち上げられようとも。私にだって、出来ることと出来ないことがあるんだよ?」
「その腹立つ顔をやめろ変態! お前が天才的なのは、その変態さ加減だけだろうが‼」
どこか勝ち誇った顔をするジーナがあまりにも鬱陶しく、そこからしばらくはくだらねぇ言い合いに終始することになった。