軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

廂間の会合

「よく・・・来てくれた。商会頭殿も、よく連れてきてくれた」

「滅相もございません。私はなにも・・・全てはゼネスさん本人の意思でございます」

いつぞやの離れで見慣れた爺は待っていた。

「状況が状況だからな。迷ってる暇もねぇ」

「そっちの小さいのは・・・?」

「俺が受け持ってる生徒だ」

「お主が教師なぞをやっているとは聞き及んでいたが、まさか生徒まで連れてくるとはな・・・」

「状況が状況だからな」

俺は子供達を軽く爺に紹介する。

ビューティー、ジェーン、エイラス・・・そして、バロンとライザード。

エイラスの紹介時にはサンパダが少々はしゃいだが、それは置いておこう。

後ろ2人も俺にくっついて来ていた。

バロンは実家が北の辺境な以上、帰るに帰れねぇし、御父上のこともある。

ライザードについては、皇王陛下周辺の情報を得るなら俺の近くにいた方がいいだろうという判断だそうだ。

下手に皇宮へ戻ると、行動を制限され兼ねないという懸念からだな。

「それにしても・・・教会の中には、このような場所もあるのですね」

「どのような場所にでも、このような空間はあるものだ。皇宮内にもあるであろぅ?」

「この僕は足を踏み入れたことなどありませんが・・・ええ、きっとあるのでしょうね」

「皇宮にもこんな普通の家みたいな建物があるんだ?」

「形まではわかりませんよ。ですがもしかしたら、よく似た建物があるかも知れませんね」

バロンの少し外れた感想にも、ライザードはどこか丁寧に答えている。

それがなぜか気になるところだが、掘り下げている時間はない。

「それで? 状況・・・いや、戦況はどうなってる? って聞くべきか?」

「戦況か・・・言い得て妙だのぅ。拮抗している――と言いたいところだ」

「思ったよりも追い込まれてるのか?」

「それが、わからぬのだ」

「どういうことだ?」

「望福教はこちらへ直接的に働きかけて来ぬのだ。いや、宗教戦争自体がそのようなものなのかも知れぬが、全体が掴めないまま時間だけが過ぎているように感じてしまう」

「具体的な変化は?」

「集会への参加者が減少しているのはもちろん。寄付金も減り、薬の購入数も減少傾向にある」

集会ってのは所謂、お祈り会みたいなアレのことか。

それが減るってのはまぁわかる。

対抗勢力の台頭で信者が引き抜かれたり、面倒を避けようと様子見で足が遠のいたり、行かなくなる理由は幾らでもある。

寄付金も似たようなもんだ。

だが、薬の購入数が減るってのはどういうことだ?

「心水のことは聞いたが、それ以外にもなにか出回ってるのか?」

「そのようなことはないはずだ。皇都全体で外出の頻度が減ったからかも知れぬな」

「町全体にまで影響を与えるような事態になってるのか?」

「うむ。一時期よりはマシだがな。どちらを信仰するかで頻繁に争いが起きたほどだ」

「心水を売りつけるための演出かもな」

「それだけではないだろぅ。もっと単純に。対立を煽っておるのだと、儂は考えて居る」

「対立を?」

「ここに来るまでの町の雰囲気はどうだった?」

マンサ商会の馬車に乗って町を突っ切ったときと、ここへ来るために歩いてきた街の雰囲気を思い出す。

「・・・・・・異様、の一言に尽きるな」

「そうだろぅ? ああなった原因は、貴族街で行われる望福教の集会のせいなのだ」

「集会だけで?」

「そうだ。言うたとおり、望福教の集会は貴族街で行われておる。そこへ、一部商会が力を貸す形で集会は開かれておる。それに参加すると返礼品がもらえるのだが―――・・・」

「貴族様しか参加できねぇって?」

「逆だ。庶民であっても望福教へ入信したものなら出入り自由となっておるのだ」

「なるほどな。あの睨むような視線はそういうことか」

信仰に厚い人間なら、返礼品なんて物で釣りたがる望福教も、それを支持する商会も気に食わなくて当然。

更に望福教を信仰しない貴族からすれば、貴族街へ庶民が危機として集まる状況も見過ごせねぇ。

「かといって、こちらからできることもない。同じようなことをしては信仰を失うであろう・・・しかし、これといった打開策も思い浮かばんのだ」

「まどろっこしいが、効いては来る嫌な手だな。真綿で首を締めるような」

「返礼品の中身も生活用品でな・・・庶民の参加が多いようだ」

「信仰は数だからな。面子を気にする貴族様相手にするよりはそっちの方が手っ取り早いんだろう」

「お主の父親を取り込んどるおかげで、面子の方も立っておるようだがのぅ」

「その御父上だが、なんで向こう側に付いてるか・・・わからねぇか?」

「残念だが、これといった決定的なものはない。しかし、」

「しかし?」

「これかも知れぬと、思い当たるものは浮上した」

「そいつは?」

「それがだな―――」