軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間柄の進展

「まさか・・・そんなことが出来るのですか⁉ いやしかし、そうであるならば、ゼネスさんと教皇様の関係についても、おおよそ推測ができますね」

「素晴らしいですわ! そのような力がありながら、力に溺れず・・・自らの意思でこれまで生きてらっしゃったのですね! 素晴らしすぎますわ‼」

俺の秘密について多大な興味を示していた2人の反応はこんな感じだった。

残る子供達は驚きはしていたが、その重要性をそこまで理解していないのか、あるいは気にしていないのか、関心はしたものの持ち上げるような態度はなかった。

代わりに、

「そんな秘密を持っておきながら、自分は蚊帳の外にされるだなんて言っていたんですか? 信じられませんね。貴方ならこんな状況、どうとでもできるんじゃないですか‼」

ライザードは騙された! といった具合に顔を赤くして抗議する。

「少なくとも、俺にそんな気はねぇからな」

「そうなのかもしれませんね。ですが、ここでそんな秘密を明かすということは・・・それ即ち、そういうことなんじゃないんですか?」

「どうだろうな? 求められる役を俺がこなせるとも思わねぇんだが――」

「叔父様なら心配ないと思うよ? だって叔父様にはいっつも説得力があるから!」

バロンが力強く肯定してくれるが、やりたくもねぇ役柄に向いていると言われてもな。

「とにかく、教皇からの呼び出しはそういうことだ。これ以上俺と一緒にいれば、お前らも俺と同じ陣営だと思われる可能性がある。そのことを理解した上で、次の行動を選べ」

「そのことなんですけど・・・」

俺の言葉に応じるように、ジェーンがおずおずと手を挙げる。

「一緒に行かなかった場合、僕達はどうなりますか? 家に帰るんでしょうか?」

「ああ、そのことなんだが――サンパダ商会頭。頼んでいた情報は?」

「ええ。こちらに」

話を振るとサンパダは待ってましたとばかりに用意していた資料を配る。

「それはゼネスさんに頼まれて、皆様のご家庭を調べた結果になります。ゼネスさんには全員分の。それ以外の皆様には、ご自身のご家庭の分をお配りしています」

領都セイルスルーから皇都までの移動の間。

俺はサンパダに事情を知らせる手紙を出し、ビューティーやジェーンの実家についてどうなってるか、情報を集めてもらっていた。

もちろん、バロンやライザードについても、同じように調査を頼んだが、相手が相手だ。そこまで有力な情報は得られちゃいない。

それと、エイラスの分はない。サンパダ自身が親だからな。

「これは・・・っ⁉ 困ってしまいますわね‼ ラブリーお姉様が出奔⁉」

「僕の方も難しい状況みたいだ・・・父が幽閉されるだなんて・・・」

っつーことで、だ。

「俺も今見て知ったが、お前らの実家も危ないらしい。俺と一緒に来ない場合は、このサンパダに面倒を見てもらうことになる。金銭が必要な場合も、用立ててもらえる。支払いは俺が受け持つからな。ライザードと、バロンもだ」

俺がそう言うと同時に、サンパダが一礼する。

「娘の大切な友人であり、皆様は殿下をはじめ今後の皇国を担う人材。私共で良ければ、大切にお世話させていただきたく思います」

丁寧なその所作からは信頼がにじみ出ている。

身を預けたとしても、ぞんざいな扱いを受けないだろうという信頼が。

「でも、これって本当のことなんでしょうか? 父が幽閉されるだなんて、なにかの間違いなんじゃ・・・」

「私の方も気になりますわ! ラブリーお姉様に限って逃げおおせるとは思いませんわ!」

2人の主張も尤もだと、サンパダが頷いて前に出る。

「では順に説明させて頂きます。まずエスカー騎士爵ですが、ここ1か月以上、邸宅へお戻りになっておりません。更に街中での目撃情報もなく、最後に確認されたのは軍内部の会議において、望福教を支持する現状への疑問と不満を述べたことが記録されています。その後の消息が不明であることから、どこかに幽閉されている可能性が高いと考えられます」

どうやってそれを知ったのかは気になるが、状況を聞けば確かに。

ジェーンの父、エスカー騎士爵はその武勇において爵位を賜ったはず。

それが姿を見せないのであれば、どこかで捕まっている可能性は高い。

「次にラブリー様ですが、こちらも1か月ほど前のことになります。貴族会でどちらの宗教を支持するのかを、話し合う会が催されたらしいのですが、そこでとある有力貴族と真っ向からぶつかる形となり、話がもつれた結果。相手の面子を立てるために、ご実家を通して結婚の話が浮上いたしまして。どうやらそれを避けるために、ラブリー様は姿を隠されたようです」

一介の商人が、やはりどうやって貴族会の話なんぞをという疑問は残るが。

あり得なくもない話だ。

「そのお相手のとある有力貴族というのは・・・?」

「明言は避けますが・・・現在望福教を支持する侯爵家になります」

「侯爵、ですの・・・心当たりがありますわね!」

どうやらビューティーにはどの家かわかるようだ。

まぁ、付き合いのある家なんだろう。

そうでもなけりゃ、爵位の低い側から反論など難しいだろうからな。

結婚で手打ちって話になる程度には交流のある家か。

さぞ全力での抗議だったんだろうな。

「では! 私は先生についていくことに決めましたわ!」

「即決だな?」

「ラブリーお姉様は望福教なる団体を支持する相手を糾弾したのでしょう。であれば、お姉様は現教会派ということになりますわ! ですから、ここはお姉様に恩を売るためにも先生にくっついていこうと思いますの‼」

「面倒なことになるかもしれねぇぞ?」

「お姉様よりはマシですわ‼」

そう言い切れるって、どんだけなんだよ。ラブリーお姉様ってのは・・・。

「僕も、先生についていっても・・・いい、でしょうか?」

「そりゃぁ構わねぇが? いいのか?」

「はい。父も恐らく教会を支持したんだと思います。父は祈祷とか、そういうことにうるさいところがあったので。それに・・・・・・」

「それに?」

「それは、まだ・・・内緒です。ダメ・・・でしょうか?」

俯きがちに上目使いになる教え子を相手に、断るだけの理由が、俺にはなかった。