作品タイトル不明
間柄の進展
俺のギフトについて教えておくべきか・・・?
”加護の恩寵”
周囲に加護を振りまき、そのLvを引き上げる異端の極みのようなギフト。
龍王と等しいだけの力を持つと言われたギフト。
だがその存在を知れば、この後の展開には大いに巻き込まれていくだろう。
なにせ現教会が崇めるのは加護を授けてくれる神様。
俺のギフトはそれを体現してるんだからな。
言ってしまえば俺は神様を名乗れるってわけだ。
騙るのとは違う。
確かな力を持って証明できちまう。
ただ、そうなると望福教とは全面戦争になるだろう。
なんてったって聞くところによりゃぁ、神様なんて存在しない! っつー主張を念頭においた宗教らしいからな。
一応、今の俺に神様を名乗るつもりはない。
そんな面倒なことをしたいとは思わない。
っつーか、そうであるなら今までその機会は何度でもあった。
そうしてこなかったことを今更になって利用しようなんざ思わねぇ・・・少なくとも、俺は―――。
けど、だ。
教皇の爺さん・・・グレアムに会いに行くっつーことになりゃぁ話は別だ。
恐らくあの爺さんは俺に頼むだろう。
『今こそ神を名乗り、私に力を貸してくれ』と。
そんな予感がある。
望福教には爺さんの息子夫婦も関わってるっつーからな。
爺さんの性格からして放置は不可能なはず。
かと言って、対抗手段はほとんどない。
ほとんどないが・・・確実なものなら確かにある。
そうなった時、あの爺さんが躊躇うとは思わない。
頭を下げるに留まらず、必要ならばすべてを差し出すつもりだろう・・・それこそ命でさえ。
それを交渉の材料にされようもんなら、俺は断れる気がしねぇ。
俺にとっちゃ親より世話になった相手だからな。
それ故に迷う。
ここでこいつらに俺のギフトを明かせば、是非そうするべきだって話になるだろうからだ。
ジェーンやビューティーはともかくとして。
マンサ商会からすれば、このまま国教が入れ替わると流れに乗り遅れることになる。
先にすり寄った商会に旨みを握られるのは面白くないはずだ。
逆に現教会が残れば、今までの取引に加えて、俺を連れて行ったことで恩も売れることになる。
どっちが得かなんて言うまでもねぇ。
ライザードにとっては国教がどうなるかはどうでもいいだろう。
だが、この問題がすぐにでも片付けば、皇王位の継承が遅らせられるかもしれねぇ。
この中途半端な状態が続き、皇王陛下が体調不良のままであれば、高確率で皇王位はライザン皇太子殿下へと引き継がれる。
それはライザードの望むところじゃぁねぇ。
そしてバロン。
バロンにとっては宗教どうのは関係なく、ただ俺の地位が上がったことに喜ぶ気がする。
兄上がバロンへ俺の話をする時は再三持ち上げて話していたようだからな。
ようやくまっとうな評価を得る時が来たんだとでも考えるかもしれねぇ。
できることをやれってのは冒険者の鉄則だが、生憎と冒険者家業もやめてしばらくたった。
気持ちだけを優先して動くことの無意味さも理解して久しいが、心を殺した先に望む未来がないことはもっと昔から知っている。
前者を教えてくれたのはグレアムの爺さん。後者を突き付けてくれたのは御父上。
どちらを選んでも、俺に残るのは面倒なことだけだ。
いっそ逃げるっつー選択ができりゃぁ良かったのかもしれねぇが・・・。
俺の視線の先には子供達の姿がある。
そして俺は曲がりなりにも教師なんだ。
情けねぇ背中を見せるわけにもいかねぇし、冒険者ギルドのこともある。一度引き受けた仕事を途中で投げるのもどうかと思っちまうわけだ。
だったもう仕方がねぇ。
誰かの願いを叶えてやろう。
その相手ぐらいはせめて、俺の意思で。
そう決心して、俺はこの場で自身のギフトについて明かした。