作品タイトル不明
side――ジーナ
まずいことになったね。
やっぱり学園の管理なんて仕事・・・彼のためとはいえ、安請け合いするんじゃなかった。
まさか出資者まで含めての大仕掛けだなんて、誰が予想できるって言うんだい?
いや、天才たる私であれば可能だったかもしれないけれどね?
ちょっと研究の方も手が離せなくて・・・・・・。
おかげで次元魔法について面白いことを発見したのだけれど、これはまだ公表はできないだろうね。
せめてこの発見を彼には伝えておきたいところなのだけれど、残念ながらそれも出来そうにない。
なぜなら今、私は投獄されそうになっているからだ。
なんでそんなことになっているのかと言えば、なんてことはない。
彼が調べていた望福教なる組織が反逆を起こしたからだ。
しかも、私が管理することになった学園の生徒や教師まで巻き込んで。
いやはや、やってくれたなと思ったよ。
そうした理由については見当が付くし、その効果は実際に絶大だった。
なにより、彼の父。
英雄ダンデが向こうについたのも大きな影響を与えたようだ。
その報告を受けて皇王陛下は倒れられ、そのせいで王宮の中はてんやわんやの騒ぎらしい。
おっと、すまないね? それは私が追われている理由からは遠いものだ。
私が投獄されそうになっている原因は、皇都貴族の子息達を多大なる危険にさらしたからだ。
私からすれば、子供達が遠方へ出払ってる状況での蜂起なのだ。学園に巣食っていた望福教が一枚かんでいるのは明白。
けれど、外から見れば―――私は情勢も読めずに子供危険にさらした管理者でしかない。
その責任を追及されているというわけだ。
投獄と言っても刑が待っているわけじゃない。
取り調べ・・・あるいは事情聴取とでも言おうか。そういう尋問が待っているだけなのだが。
あえて言おう。
そんなものに付き合っている暇は、私にはないのだ。
彼が自らの生徒達を連れて皇都を去ってから1月強。
舞い戻るにはまだ時間がかかるだろう。
私が投獄されているなどと知れば、彼ならすぐにでも助け出してくれるだろうが、それまで監視下に置かれ、研究からも引き離さっるのは苦痛以外の何物でもない。
だから私は捕まってなどやらない。
無責任だと言われようとも、研究所に籠らせてもらうことにする。
転移扉無しに研究所まで来ようとすれば1月以上の移動が必要。
そのころには彼がこの問題をどうにかしているか、そうでなくとも望福教との関連性を暴いてくれるはずだ。
転移扉は勝手に使えないよう細工しておけばいい。
それまでは研究に精を出し、更に未来の・・・けれど、いずれ必ず必要になる力を蓄えるんだ。
なぁに、事態が動きそうになったらまた顔を出せばいいだけさ。
彼が父親と向き合う瞬間も見てみたいからね。
しかし、挨拶も無しに姿を消しては彼にも薄情者だと言われかねない。
彼にだけわかるような暗号を・・・とも思ったけれど、それはそれで文句を言われそうだね。
普通に手紙を書くとしよう。
学園の寮では踏み入られる可能性があるから、彼の古巣。冒険者ギルドへ預けておけば安心だ。
受付でそのことを依頼すると、彼のことをお兄ちゃんなどと呼ぶ小娘に出会った。
小娘・・・と呼ぶにはちょっと成熟しすぎているかな? いやいや、私のような大人の魅力を持つ女からすれば、十二分に小娘だとも。うん。
彼には妹などいないからね。彼との関係は気になるけれど、追及している暇などない。捕まれば追及されるのは私だからね!
さあ! 後は頼んだよゼネス‼
私は優雅に研究しながら君の到着を待っているからね!
皇都へ着いたら、すぐにでも私に会いに来てくれたまえ‼